※ 直轄部隊の体裁
この足の向かう先は一つ。 暗部専用の訓練所・・・・ というか、山。 通称 第七演習場だ。
正規の忍びが勝手に中に入って、もし戻ってこなくても。 それは全て自己責任、という所。
でもやましい事はないし、寧ろ任務だし、気配を消さずに正面から入れば、何の問題ない。
思ったんだ、もし警備中の暗部の隊員がお化けに間違えられてたら。 いや、“もし” じゃない。
ほぼこれは確信だ。 下忍や卒業生ならもう面が割れてるはず、こっちの可能性は無いに等しい。
里内を見回っていてくれた暗部隊員を、よりによってお化け扱いするなんて。 あってはならない。
だからこの任務は、内々におさめるべきじゃないかと思う。 こんな事がありましたよ、とお知らせ。
その上で、子供たち皆には言い聞かせましたから大丈夫です、と報告。 今後の注意事項を促して。
完璧に気配を消すか、堂々と里内を巡回するか。 そうすれば今後同じ事は起こらない。 だろ?
Dランク任務報告書にはこう書く。 アカデミーの怪談の真相は恐怖心が見せた幻でした、と。
「 肝試しと銘打ったからか、一般人が驚いたのは、何の足音もさせず見回っていた中忍でした。
急に現れた人影に驚き、もしかしたら本物かも、と互いの恐怖心を煽ってしまったようです。
少し臆病な人が一緒に来た連れに “今の人、足音しなかったよね?” と問いかけたとします。
すると音など気にしていなかった連れは “本当??” となり、二人して “ゾ〜” っとなります。
話を耳にした見回り中の忍び数人も、まさか自分達が驚かせていたとは思わなかったでしょう。
生徒たちには調査中会ったので、見回り中の忍びがお化け扱いされたんだ、と言っておきました。
怪談の噂を面白おかしく広めた子も、先生がお化け扱いされたと知ったら反省するでしょう。 」
・・・・・・どうよ、これ。 これこそ完璧な任務報告だろ? 暗部隊員は三代目が選抜した忍びたち。
ご自分の部隊の面々が、誤解されたそもそもの原因なんですよ? ・・・・なんて。 言えないよな?
これは決して虚偽の報告じゃない、暗部には事の顛末を知らせるんだから。 ・・・・・それに。
暗部の上下関係は恐ろしいほど徹底してるらしいし。 部隊を束ねる長たちが知ったら、厳罰モノ。
そんな誤解を与えて三代目にポケットマネーで任務依頼までさせて! なっとらん!! とか。
そういうのも全部ひっくるめてナシに出来る。 ・・・・・と。 さすがにこれは考えすぎかな?
⇒ いや、やはり虚偽の報告は中忍としての常識に欠ける!
⇒ 誰の顔も潰すことなく、全てが丸く収まる方法は・・・