※ アカデミー生の証言

“なんだい? 何か用かい?” なんだか未熟でおどおどした視線を感じたから声をかけてみた。
やっぱりか。 年少クラスだろうアカデミーの生徒数人が姿を現す。 どの子も不安げな表情だ。




自分たちの気が本物のお化けを呼んだかもしれない、と怯えてる子がいるのを思い出した。
ここはアレだな。 お化け騒ぎの正体は生身の人間だと、ハッキリ示した方がいいな。

この前の “校舎でドッキリ肝試し” の時、誰かが気になって遊びに来てたんだなぁ!
頑張ってたお化け役の生徒の邪魔にならない様に、隠れて様子を見てたんだろうなぁ!
こんなとこから覗いてたら本物のお化けかと思っちゃうよなー、人騒がせだなぁ!

お化け騒ぎの正体は人間! と、下にいる生徒たちに聞こえるように大きな声で独り言を叫ぶ。
無駄に何度も壁を蹴り回転ジャンプしながら、顔を見合わせている生徒たちの前に姿を見せた。
“アカデミーの怪談の正体見たり!!” と大げさに、Yの字で着地のポーズを決めて。


・・・ん? そうだよ? この調査は怖がってるみんなの為に、火影様が依頼されたんだよ。
もう安心、アカデミーにお化けはいないよ? 変な場所から覗いてたから間違えられただけ。
あからさまにホッと安心した雰囲気が生徒たちの間に流れ始めた。 くす! 分かり易いな。

おや? 一人だけまだ腑に落ちない顔をしている子が・・・・ どうした? 何かあった??
その子は言った。 白塗りのお面みたいなのが宙に浮いてた、と。 ・・・・・・暗部だな。
そうか。 この子は当日見回っていた暗部を偶然見てしまったのか。 タイムリーな・・・・・。

「それは暗部だ。 正式名称は知ってるな?」
「うん! あんさつせんじゅつとくしゅぶたいっ!」
「納涼祭りは里を挙げての催し、見回っていたのは里の忍びだ。」
「「「「先生も?!」」」」

「そうだ、アカデミーの先生も暗部も。 皆で里中を巡回してたんだ。」
「・・・・・じゃぁ、先生たちがお化けに間違えられちゃったの?」
「そうだな、そういう事になるな。 ・・・・それって悔しいよな?」
「「「「・・・・うん。」」」」

もし今後、暗部を見かけても、お化け扱いは駄目だぞ? 皆を陰から守ってるんだから。 いいな?
そう言うとすぐに、はいっ! と元気な声で返事が返ってきた。 うん、みんな素直ないい子たちだ。
くすっ! 体術の訓練中だったのか。 年少クラスの子たちは、はしゃぎながら校庭に戻って行った。


お化けごときを怖がっているうちが花。 時が来れば生身の人間の方が怖いと嫌でも気付くからな。
う〜ん。 卒業した下忍たちの仕業かと思ったけど。 覗き魔は暗部という可能性も出てきた・・・・




⇒ 今年の卒業生は確か・・・ よし、ガイ上忍の第三班に協力を仰ごう!
⇒ ちょっと緊張するけど、暗部の訓練所、第七演習場に行ってみるかな。