変わらないもの 2   @BC DEF




「アスマ君は同じ中忍だからもう知ってるよね? テンゾウ君と、こっちがイルカ君。」
「お、任務規則の鬼、はたけカカシか。」
「はたけ?? わー、キバの英雄、白いサクモの子供だーーー!」
「【白い牙、英雄のサクモ】だよ。イルカ、子供なんて言っちゃだめだ、この人は中忍なんだから。」
「・・・・・。」

オレは六歳のころから隊長クラス、木の葉の中忍として任務に出ていた。ひとりでも生きていける。
なのに父さんが自害してから、ミナト先生がやたらかまってくる。 父さんは弱いだけだ。
足でまといを犠牲にするのは当たり前だ。そして、弱い忍びが死ぬのも当たり前だ。
今日は火影屋敷に行くからと、任務帰りに拉致同然に連れてこられた。

「ほら、カカシ君挨拶は?」
「・・・・口のきき方を知らん奴らに名乗る必要はない。」
「・・・・・もう一度言うよ? ・・・挨拶は?」
「・・・カカシ、 ・・・波風ミナト班中忍、はたけカカシだ。」

ちっ、先生の目が戦闘モードだ。逆らわない方がイイ。弟子に対して実力行使なのはどうかと思う。
アスマは知ってる。三代目の息子だ。 後の二人は・・・全然知らない奴らだ。
ひとりはチャクラがほとんど感じられない。もうひとりは、おもしろいチャクラを持っている様だ。
なんで、こんなチビたちが、火影屋敷にいるんだか・・・

「白い牙サクモ!! お前の父ちゃん大好きー  おれ、だいふぁん!! サクモ伝説!!」
「す、すみません、はたけ中忍、イルカはサクモさんの大ファンなんですよ。」
「サクモ伝説つってな、コイツの父ちゃんが、仲間救出の場面をよく聞かせてんだよ。」
「・・・・・カじゃないの? 弱い忍びの話じゃ・・・・」
「あー、カカシ君、子供の夢はブチ壊さない様にしようね? ・・・お兄さんでしょ?」

逆らうだけ無駄か・・・ はっきりいってオレの実力じゃ、ミナト先生にはかなわない。
オレの先生は、木の葉の黄色い閃光と呼ばれ、姿を見たら逃げろと、他国から恐れられている。
こんな、ノホホンとしているが、騙されてはいけない。 先生の通った後には何も残らない。
さしずめ、このイルカとかいうガキに会わせたかったんだろう。なにがサクモ伝説だ、笑わせる。

「ミナト、まだクシナにOKもらえないのか?」
「海野!! 聞いてよ〜、 あ、カカシ君、今日はお泊まり予定だから、みんなと仲良くね?」
「はあ?! ちょ、ちょっと待って下さい先生! ミナト先生!!」
「わーい!! カカシくん、おとまりー!! 白いキバの中忍!!」
「・・・・・こいつ!」
「はたけ中忍、ホントすみません!」
「くっくっくっ、カカシ、いちいちつっぱるなって。こいつらの前じゃ、おれ達はただの兄貴だ。」
「・・・・・・・。」

まったく、今日は厄日だ。 まさか明日の休暇、ココで過ごさせるつもりじゃないよな・・・
オレの悪い予感は的中した。 オレはイルカにせがまれて、一日中親父の話をする羽目になった。
好きな食べ物は? 好きな色は? 好きな動物は? どうでもいいことばかり聞いてくる。
アスマは面白そうに、テンゾウはオロオロしながら、その様子を見ていた。



そうやって知った、任務以外での木の葉の仲間・・・ 確かに、こいつらの前じゃ、ただの兄貴だ。
ガキの言う事に、イチイチ腹を立てるような、無駄な労力は使いたくない。
アスマは任務に出るたび、よくイルカやテンゾウにお菓子を買ってやっていた。
オレも嫌みで真似てみたら、木の実や、草にも大喜びする。
バツが悪くて、後で大福を買って持っていったら、大変な事になった。歓喜の嵐だ。

「クルミも、ヨモギもおいしかったけど、大福最高!!」
「ボクはクルミ大好きだよ? もちろん、大福最高!!」
「な、楽しいだろ? 食ってるとこがまた可愛いんだ、コレが。」
「・・・・まあね。ハムスターみたいだよね、口一杯つめこんで・・・誰も取らないっつーの。」

里に帰ってきたらココに寄るようになった。オレは一人っ子だから、兄弟が出来たみたいで嬉しかった。
イルカの親父フリークには頭が痛かったが。けど、基本的にオレは父さんとは違う。オレは弱くない。
忍界大戦は終結しているが、いまだ国境付近では、小さないざこざが後を絶たない。
アスマはよく規則の鬼というが、ルールを守らないと隊に乱れが生じる。それは死を意味する。
オレは次の上忍試験に推薦されている。ルールを守らない奴はクズだ。そんな奴は隊にいらない。