変わらないもの 7
@AB
CDE
我に返ったオレが見たもの・・・それはぐにゃりとしたイルカの喉だった。 慌てて手を放す。
オレに殺し方の指定さえしなければ、完全に復讐は果たせていたはずだ。 瞬殺しただろうから。
こんな時だが、相手が一般人でよかったと、思った。 窒息死させるなんて、お譲さまらしい発想だ。
オレは今、イルカを絞殺した。 ・・・早く・・・その目を開けてくれと祈る。
「テンゾウ、カカシの呪縛が解けたぞ! イルカを蘇生させるんじゃ!!」
「はい、火影様!!」
「カカシ、お主から完全に死呪詛の思念が消えるまでは、辛いじゃろうが、まだ近寄ってはならん。」
「・・・ええ、わかっています。」
テンゾウは木遁でイルカを包み、脳と心臓に少しずつチャクラで刺激を与える。
やがて木遁の繭を割り、中から出て来たイルカは“俺、蛾になった気分”と言って笑った。
おかげで、“ボクの木遁はみの虫に見えますか”と、涙目のテンゾウがしつこく聞いてくる。
オレは、“見えなくもないこともないかもしれない”と言っておいた。アレはどう見てもみの虫だ。
「もう大丈夫じゃ、カカシ。 死呪詛の思念は完全に消えたぞ。」
「イルカ、・・・触ってもいい?」
オレは恐る恐るイルカの頬に触った。 十本の指で、手のひらでイルカの顔を包み込む。
「カカシ兄ちゃん、俺、愛してるとか、好きとかの違いがよくわかんないけど、
俺の命なんて何度でも賭けれるぐらい、カカシ兄ちゃんのことが大好きだ。ずっと前から。」
真っ直ぐにオレを見てイルカが言った。 オレは思わず、その目を手で覆ってしまった。
「イルカは前から、はたけ親子命だしね・・・・ あれ、カカシ先輩、どうしたんですか?」
「あー・・・・いや、そういや、オレが命名したんだったネ、“天然口説きマシーン”ってサ・・・・」
「わはは。 なんと、カカシはうまいことを言いおるのぉ。 わはははは。」
「三代目の反応は、その時のアスマと同じですよ。 さすが親子、血は争えませんねぇ。」
「そのバカ息子から、明日帰って来ると連絡が入ってたぞ?」
イルカは目を覆っていたオレの手をヨイショとのかして三代目にかけ寄る。
オレの一世一代の告白と、イルカからの情熱的な返事が、アスマの帰還ニュースでぶち壊しになった。
でもいい、イルカの本心が聞けた。身も心も、これから俺だけを特別に知っていけばそれでいい。
「ほんと? やったー!! アスマ兄ちゃんが帰って来る!!」
「そういや、この前、火の寺に寄った時、人相変わってたな・・・」
「え・・・先輩、まさか頭丸めて清い坊主になってたとか言いませんよね?」
「その逆。ボウボウだった。モミあげとあご髭つながってたもん。完璧に生臭坊主デショ。」
「「 えーーー!!! 」」
帰還したアスマ先輩は、カカシ先輩と、髭を剃る気満々のイルカとボクに迎えられた。
どこにいても髭を剃ろうとクナイで飛びかかって来るボクらに、とうとうその理由を話した。
火の寺にたまたま寄った中忍のくのいちに一目ぼれして、彼女の好みを色々と調べたらしい。
男くさくて優しくてガッシリした人が好み。でも、男くさい=髭 というのは単純すぎないだろうか?
「まさか、カカシの方がイルカを口説いたなんてな、信じられねぇ。」
「昔からカカシ先輩一筋だったイルカが、恋愛を自覚しても、逆はないと思ってましたよ。」
「テンゾウ、おめぇにや、惚れた女や・・・ まあ、カカシみたいに男でもいいがよ、いねぇのか?」
「ええ、ボクは・・・ ボクの血は。 ・・・未来に残してはいけないんです。」
大蛇丸の実験の産物、そんな危険な血を、未来の木の葉に残せる訳がない。でも里の為に何かを残す。
あの日火影岩で見た光景を忘れない。尾獣の気に直に触れられるのは、木遁チャクラだけだ。
九尾を封印されたナルトが、いつかボクの木遁を必要とする時が来るかもしれない。
ボクは里の皆を守りたい。歴代の火影様のように。皆がいつもいてくれたから、今のボクがいる。
「ち、しょーがねーな。おれがお前らの代わりに、ガキ作りまくってやるよ。」
「あはは! アスマ先輩、まだ夕日さんに告白もしてないのに!! あははは!」
「お前らの長兄だからよ、親父に孫の顔ぐらい見せてやらなきゃなー。紅産んでくれるかなぁ。」
「もう、ヤメテ下さいって、はははは。 順番すっ飛ばしすぎですって、ははは!」
イルカは将来、忍者アカデミーの教師になると言って、教員試験にチャレンジしている。
イルカのまいた種を、カカシ先輩やボクが育てるのは、未来に火の意志を繋げる事だと思う。
血はつながっていなくても、信じあえる仲間がいる事は強みだ。 実際ボク達がそうだからね。
余談だが。 イルカの周りには、いつも三代目やボク達のうちの誰かがいただろう?
アスマ先輩・カカシ先輩・ボク。 これで手を出そうなんてバカは、木の葉にいるはずがない。
なのにカカシ先輩はイルカのお初に大喜びだった。 ・・・・紳士も一皮むけば、ただのエロ魔人である。
キリ番777・真子様のリク、冷たい紳士カカシ・イルカは身も心もカカシしか知らずけなげ、でした! 聖