合言葉は死の警告 2   @BC DEF GHI




完璧ですよ、カカシ先輩! この合言葉を聞かされたら、イルカはボク達の情人だと気付けますよ!
・・・・まさかとは思いますが。 こんな分かり易い情報提示で気付かない上忍なんていませんよね?
常日頃から裏を読む訓練をされているボク達 暗部と違っても、そこは木の葉の上忍を名乗る訳ですから。
そんなお馬鹿さんは木の葉に必要ない。 あ、推薦という形で“根”に放り込むのも面白いですね。

「チョット! ソレは名案かも! 里には必要のない上忍連中、殺すより生かせ、って?」
「ダンソウの所でなら、例えそれだけ鈍感でも問題なくやっていけるでしょう。」
「ウン、同感。 狩るのは簡単だけど、結局 木の葉から人がいなくなるだけだもんネ?」
「降格勧告をして失意のままマジ抜けされるより、適材適所ではないでしょうか。」

「テンゾウ・・・・・・。 いや、部隊長補佐。 お前もイイ感じのチョイ悪になったネ?」
「それはどうも、部隊長。 ・・・・・まだまだカカシ先輩の足元にも及びませんけどね?」
「フフフ、イイねぇ・・・・ 塵も積もれば山となる、ってか?」
「お馬鹿さんは裏資金作りに励んでもらうに限りますよ。」





使えない上忍を推薦して根に回したら。 ダンゾウは自分の手駒が増えたと単純に喜ぶでしょう。
木の葉の裏資金をバリバリ蓄えられるv とか。 暗部養成組織 根の増員に舞い上がりそうです。
“ワシなくして猿飛なし!” っていうのが、ダンゾウの自論で萌えポインツでもありますから。
ダンゾウは三代目に喜んでほしいが為に、暗部の養成組織を作り上げ、かつ資金集めに余念がない。

その莫大な資金を三代目の貢物じゃなくて里の皆の為に使えば、ちょっとは褒めてもらえるのに。
三代目にガンガン謎の貢物をしては、その度に気味悪がられる不憫な男だとしても、使い道はある。
無意味なラブコールを飛ばしても、三代目は右から左。 まあ、筋金入りの女体好きですもんね?

三代目の気を引きたいから、という邪な理由でも、木の葉の裏資金を作らせたら右に出る者はいない。
火の国の花街でなら三代目の方が有名だけど、オカルトマニアの間では奴はちょっとした有名人だ。
なんでも “交霊できる忍者” らしい。 オカルトマニアでの通り名なんと、五芒星のダンゾウ。
包帯で撒かれた半身に、五芒星から呼び出した有名なイタコを取りつかせているとか。 どんな忍者だ。


「もうその時点で、アンタただの詐欺師でショ?! って、ツッコみたいよネ?」
「降霊会で霊を呼び出せます・・・ って。 写真の中の故人に変化してるだけだし。」
「ま、一種のカウンセリングだネ。 依頼人があんなので納得するならイイんじゃないの?」
「そんなもんなんでしょうかねえ。 肉親がいないボクには今一つピンと来ないんですが。」

「キッカケはナンでもイイんだーヨ。 それもギブ&テイクでショ。」
「なるほど。 そういわれればその様な気もしないでもないですね。」
「オカルトマニアは自己満足、ダンゾウは忍術でボロ儲け、その結果、里が潤うんだもん。」
「なんとかとハサミは使いよう、って事ですね? 三代目はまた気味悪がるでしょうけど。」


我らがエロと愛の伝道師は、誰もが認める里の父。 が、そんな偉大な父でも認めたくない事もある。
志村ダンゾウのあの腕の包帯の下には、“I LOVE ヒルゼン” という刺青がある事とか。
一途な思いを一方的に寄せる幼馴染など、超女体好きの三代目には “ウザい”だけだったりする。

そんな女体好きの三代目火影が、里でのお楽しみで育てた愛玩忍は男、うみのイルカ。 ボク達の情人。
これでも結構警戒してるんだよね。 ダンゾウがイルカを利用しないか、って。 分からない?
イルカを手なずければ、三代目との接点が出来る、貢物ナシで火影に面会できるだろう?
危惧してるのはそれだけじゃないから、根の動きを少しでも知っておきたいんだよ、ボク達。

だからそういう情報を流してもらうのに丁度いいんだ。 お馬鹿さんの上忍達なら打ってつけだよ。
イルカの尻も守れるし、狙った理由で難癖つけて、そういう奴をスパイに送り込む事が出来るなら。
貢物の為に面会する機会がたくさん持てて、いつもは報われないダンゾウもチョッピリ幸せ気分になれる。

謎の貢物でも、やっぱり塵も積もれば山ですよ。 里もほんのちょこっと潤うんだし、良い事尽めだ。
よし、これでどう転んでも完璧ですね。 早速三代目にイルカの使用する合言葉を伝えに行きましょう!
忍びは先手必勝。 好きモノ上忍やダンゾウがイルカに近づく前に、なんとしてもボク達が阻止する!!








「三代目、イルカの使う合言葉なんですが、オレ達が考えましたv」
「 “ゴールデンハムスター” って、なかなかいいと思いません?」
「おお、カカシ、テンゾウ! 丁度ええところに。 イルカを迎えにいってやってくれ。」
「「???」」

「いやなに、いつもの様に砂ネズミの式が来ての。 知りたかった事は聞けたのじゃ。」
「迎えに、って・・・・・ そりゃ喜んで迎えに行きますケド。」
「え? だって今度の任務は里内での調査、でしたよね? 確か。」
「・・・・そうじゃ。 里内である調査を頼んでおった。」

「合言葉も必要ないし、里内ならボク達の目が届くし、なんの心配もしてませんでしたが。」
「三代目、もしかしてイルカ・・・・ また何かに巻き込まれている、とかいいます?」
「これ以上は必要ないと判断した。 調査はもうよいと言って連れて帰ってきてくれんか。」
「・・・・・任務の中止を?」
「・・・・・どこに行けば?」

「・・・・暗部養成組織の根じゃ。」
「「なんですと?!」」
「ワシはダンゾウと顔を合わせたくない。 ウインクされるでのぉ。」
「「り、了解です。 早急に。」」
「うむ! 頼んだぞ、カカシ、テンゾウ!!」


なんと。 今の任務は里内の簡単な調査、だから安心と悠長に考えてたけど。 まさか“根”だとは。
・・・・・・・カカシ先輩。 気のせいでしょうか。 ボク、もの凄く嫌な予感がするんですが・・・・・。