Lucky Day 5   @AB CEF G




おれ達は、部隊長の木遁で捕縛された。 四柱牢の術に閉じ込められている。 ・・・・なんで?!
無機質な木の牢の中、柱の間から各々が顔を出し、部隊長に疑問を投げかける。 どうしてですか?!
部隊長はそんなおれ達の叫びに振り向きもせず、地面に手をつきキョロキョロと何かを探し始めた。
・・・・・?? もしかして・・・・ 失くしモノは戌部隊長のチャクラ刀じゃ・・・・ ない、とか?

「部隊長っ!! 失くしたのは、チャクラ刀じゃないんですね?!」
「なんなんッスか、教えて下さい! 一緒に探すッスよっ!」
「邪魔はしません、皆で探した方が早いじゃないですかっ!」

「・・・・ふう。 おとなしくそこに入ってるか、帰るか。 どっちかにしてくれるかな?」

本来なら震え上がりそうな気配も言葉も。 どこか力無く感じるのは気のせいかな・・・・。
部隊長に、先輩がキレると思わせるような物。 親父さんの形見のチャクラ刀だと思った。
でもチャクラ刀は、部隊長の右足にしっかりと巻かれてる。 それに部隊長が心なしか淋しそうだ。



「なあ。 部隊長、なんか・・・・ ちょっと泣きそうな雰囲気じゃないか?」
「・・・・・・オレもそう思ったッス。 年相応って言うか、なんて言うか・・・・。」
「戌部隊長が激怒するモノ、部隊長が泣きそうなモノって・・・・ 何かしら?」

おれ達は考えた。 そしてはからずともある予想に行き着く。 うみの中忍関係の何かかも、と。
絶対そうだ、今度こそ。 部隊長がカカシさんにバレたくない事で、失くすと悲しいモノ。
きっと、うみの中忍からもらった大切な物なんだ! もしかして三人お揃いのモノかも・・・・・。
地面に四つん這いになって、シャカシャカと探しものしている部隊長の後姿の、なんと淋しい事か。


「部隊長達の、うみの中忍に対する執着度は・・・・ もの凄かったわよね。」
「メチャ許容範囲狭そうッスよ。 オレらにも見せたくないモノ、なんじゃないッスか?」
「でも、せっかく戻って来たからには、部隊長の役に立ちたいよな・・・・。」

気持ちはわからなくもないけど、なんとか部隊長を説得出来ないものかと、いろいろ提案してみる。
目隠しをして探しますからと言ってみた。 もし触ったら指を細切れにするからね、と返ってきた。
じゃあ、触らないように薄目開けて探しますからと言えば、でも見たら目を潰すからね、と。
それなら目隠しの上、木の棒で探しますからと提案。 そんなモノで突いたら殺すよ、だった。

「ど、どうすれば良いのかしら・・・・。」
「でもあの反応は、間違いないッス。 うみの中忍関係っすヨ、絶対っ!」
「部隊長にとっては、おれ達がいない方が良かったんだ、きっと・・・・・。」

せっかく普段から迷惑をかけてる部隊長の為に、又、暗部内の平穏の為に役に立てると思ったのに。
結局、邪魔をしているだけ。 何の役にも立ってない。 部隊長、スミマセンでした・・・・。



どんよりと沈んでいたら突然、四柱牢の術が解けた。 あれ? 出ても・・・・いいの??
ちょっぴり向うへ離れてしまっていた部隊長が、慌てて戻って来ておれ達にこう言った。

「カカシ先輩の気配だ。 お前ら先輩に、自分達は手伝ってないってアピールするんだ、わかったね?」

な・・・・ なんですと?! 戌部隊長の気配?! お前分かる? だよな、全然、分かんないよな?
それだけ言うと部隊長は、マッハでさっきの離れた場所へ戻り、また探し始めた。 了解です、部隊長。
部隊長がそう言うなら、きっとそうなんだ。 手伝ってないアピールか・・・・ 何の為に??
なんとかカカシさんの気をそらせって事かな。 それならおれ達も、少しは役に立てるかも!

「わたしたちの無駄なお節介をアピール? それを理由に、足止めしてろってコトかしら。」
「だぶんそうッスね。 時間を稼いでろってコトだと思うッス。」
「よし、今までの経緯を正直に話そう。 なるべく時間をかけて。」

おれ達忍びに甘い火影様や、キラキラな瞳で感動してたうみの中忍と違い、カカシさんは疑り深い。
興味のない事を話しても聞いてもらえない、多分。 でもこの事に関してなら、聞いてくれるはずだ。
火影様の両腕の戌部隊と猫部隊が、部隊長達のケンカが原因で、衝突なんてしちゃいけない。
それに。 あんな淋しそうな部隊長を見たら、仲のいいカカシさんだってきっと・・・・。 

「そうッスね。 ここまで心配して見に来た戌部隊長に、あの背中を見てもらうッス。」
「ええ。 あたしたちの部隊長は、きっと探し物を見つけるわ。 心を込めて話しましょう。」
「・・・・・ひょっとしたら、何も言わないで里に戻ってくれるかも、だ。」


「・・・・・・ふ〜ん。 なにがどうなってんのか、聞かせてチョーダイ?」

「「「本人、キターーーーーッッ!!!」」」

いつのまにか後ろに、戌部隊長が腕組みをして立っていた。 ・・・・・・チビリそうになったよ、おれ達。