Lucky Day 6   @AB CDF G




「三代目が許可したからネ。 テンゾウはお前達を追い返せないと思ったんだーヨ。」

マジこのヒトが敵だったら、今死んでた。 おれ達は戌部隊長に促されて、事のいきさつを全て話す。
木遁の小屋の中で帰り支度をし、得物を砥いでいたら、突然の叫びがあがった事。
ベストから何かを落としてしまって、『カカシ先輩が キレる』と部隊長が呟いた事。
先に帰れと部隊長命令が下りたので、面をとって上忍として戻り、探し物を手伝おうと思った事。

「オレら失くしたのは、カカシさんのチャクラ刀だと思い込んでたんッス。」
「チャクラ刀にまつわる話は有名です。 おれ達は一緒に斬られる覚悟で戻ったんですが。」
「でもチャクラ刀は、部隊長のゲートルにちゃんと巻かれていました。」

「チャクラ刀じゃないヨ? ・・・・で、今まで手伝ってたの?」

「いえ。 いきなり四柱牢の術で捕縛ッス。 さっきまで閉じ込められてたッス。」
「なんとか説得して、皆で探しましょうと提案しました、その方が早いから、って。」
「説得は失敗しました。 触ってもダメ、見てもダメって言われて。 おれ達お節介の役立たずです。」

おれ達がそこまで言うと、カカシさんはあの話の真実を教えてくれた。 あれは自我刀だ、と。
白い牙が残した はたけ家のチャクラ刀は、どこかで落としたとしても、必ず戻ってくるそうだ。
本来の持ち主の元へ、刀の意志で。 あの刀は意志を持っていて、自分で持ち主を選ぶらしい。
カカシさん以外でテンゾウさんが扱えるのも、あの刀が自ら認めたからだ、と言った。


「じゃあ、カカシさんが腕を落としたっていう話は・・・・」
「そ。 アレが認めてないヤツが触ったら、首が飛んじゃうのヨ。」
「戌部隊長は、触ろうとした隊員を守ろうとしただけッスね?」
「まあ、腕ぐらいならすぐつくし? 切り口も綺麗だし?」
「そ、そういう事だったんですね・・・・。」

いや、それ間違ってると思います。 口で言えば済む事だと思います。 殺気を飛ばすだけでも。
・・・・・・って、カカシさんに言える奴がいたら、一生ついて行っちゃうよ、どこまででも。
チャクラ刀を貸したって聞いたから、ソレが落とし物なんだと思い込んでたけど。 全然、違った。
うみの中忍からもらった大事な物を失くしたらしい。 おれ達、見ても触ってもダメなんだよな。


「カカシさん、あの哀愁漂う背中を見て下さい。 あんなに必死になってずっと探してるんです。」
「きっと、うみの中忍グッズなんッスよ。 部隊長、地面に這いつくばって頑張ってるッス。」
「あたしたちも手伝いたいんですが、部隊長が許してくれません。」

「ん、手伝ってないんだね、わかった。 もいっこダケ聞きたいんだケド?」
「「「い、いくつでもどうぞっ!!」」」

こうやって会話を引き延ばしている間にでも、部隊長が発見するかも。 そしたら全部、丸く収まる。
戌部隊長は、ベストのどの部分が切れていたのか、を聞いた。 ・・・は? それって重要な事??
ま、まあいいや。 いろいろ会話を続ければ続けるだけ、時間稼ぎの“足止め”になってる訳だし。
コレっておれ達、結構役立ってる? 部隊長の為、暗部内抗争防止の為に、イイ仕事してるよな?


「えっと、確か・・・・ 真ん中の下の部分でした。」
「スッパリ切れてたッス。 あ、でも、怪我はしてないッスよ、部隊長。」
「ええ。 掠めただけみたいです。 だから気付かなかったのかもしれませんね。」

「あちゃー、ソッチか。 んじゃ、オレも手伝ってやるか。」
「「「!!! 戌部隊長っっっ!!!」」」

今朝のうみの中忍じゃないけど、今おれ達、猛烈に感動してますっ! てっきり険悪になると・・・・。
『もし見つからなかったら、テンゾウ、雷切で穴開けてやる』 とか言いだすかも、って!!
やっぱり戌猫班の両部隊長は、とてつもなく仲がいいんだ。 忙しい身なのに、様子を見に来たし!
おれ達も、そんな部隊長達を見習います! 仲間同士助け合い、里の為に敵を殺しまくりますっっっ!!

「土遁! 心中斬首の術っ!!」
「え!?」「ぎゃっ!!」「ちょっ?!」
「後で出してやるからネ、じゃ!」


「「「 なんで〜〜〜〜?! 」」」

なんて理想の家族像なんだと、めちゃめちゃ感動していたら、その本人に心中斬首の術をくらった。
おれ達は今、首だけが地面から出てて、体が土の中に埋まってる。 指一本さえ動かせない。
・・・・コレ本来、敵の拷問の時に使うヤツだよな? こんな・・・・ 捕縛用に使うなんて・・・・。
幾多の戦場をかい潜って来たコピー忍者、やる事が徹底してるよ。 さすが写輪眼のカカシだ・・・・。