内部監査忍 2
@BC
DEF
GHI
・・・・カカシ先輩、なんですかあの人。 え、アカデミーの先生? なんでそんな人がここに??
だってここは火影室ですよ? 確かに、なんかお掃除とか、整理整頓らしき動きはしてますが・・・・。
アレって任務なんでしょうか。 ただの雑用のような気がしてなりません。 へー、三代目がねぇ。
火影室のお掃除を中忍に頼んだと、先生なのにそんな雑用を引き受けたと、ふーん、そういう訳ですか。
「・・・・・掃除しながら不躾な視線を飛ばしておいて、ですか??」
「ウン、オレになんか言いたいみたいなんだケド、言えないらしいヨ?」
「・・・・・イヤだなあ。 ボクまでスキャンされてるんですけど。」
「アレでもネ、気付かれてないつもりらしいカラ。 そっとしといてあげて?」
暗部の隊員の火影室への出入りは自由。 一般人や下忍なら、暗部が同じ部屋にいる事すら気付かない。
例え中に暗部がいると気付いても、大抵ペコリとお辞儀をするだけだ。 見続けたりしないのに・・・・。
書類なんかを片付けるフリしながら、窓ガラスに映った姿をじっと確認したりして。 あのね?
そっちから見えるって事は、こっちからも見えるって事なんだけど? なんだかなぁ・・・・。
「無遠慮な視線が反射してささります。 ちょっと小突いて来ていいですか?」
「ダメにきまってるでショ? お前が小突いたらイルカ先生、穴開いちゃうじゃない。」
「イルカ先生?? ああ、ナルトの・・・・。 人柱力をかばった先生ですか。」
「ウン。 仲間の大切さを知ってる先生だヨ。 ・・・・・ナゾの視線だケド。」
あの話は里内で話題になった。 ナルトが殺されそうになった時、アカデミー教師が身を挺して庇ったと。
何も知らない一般人や、九尾の記憶が新しい里の者は“余計なこと”をと口ぐちに言っていたと聞く。
渦巻ナルトは九尾の人柱力だ。 尾獣の中でも一番凶暴な九尾の狐。 それを12年前、腹に封印された。
いくら亡き四代目の術でも、渦巻の民の生命力がなければ、尾獣を赤ん坊に封印など出来なかっただろう。
「嫉妬?? ・・・・・情熱?? ・・・・・敵対心??」
「う〜ん、お前もそう思う? なんかね、複雑な視線なんだよネ。」
「まあ、暗部を恐れずに見続ける根性は、なかなかのモノですね。」
「そのうち言ってくるでショ。 最近特に、ムズムズしてるみたいだカラ。」
珍しい、他の人間の視線を気にするなんて。 ははは、カカシ先輩はどうやら楽しんでいるらしい。
確かにね。 畏怖や恐怖・媚びや色欲なんかの視線ではないから、うっとおしいけど面白い。
カカシ先輩は忍服で待機してるけど、ボクは暗部の猫面だ。 先輩と話してるというだけで・・・・
もうね、さっきから火影室の窓ガラス反射の視線がこれでもか、ってぐらい飛ばされて来てる。
「・・・・・ボクまで仲間か、みたいな。 なんか、監視されてる気分になって来ました。」
「監視?? ・・・・・あ、そうか。 探ってるな、とは思ったんだケド、監視か!」
「え? まさか。 あの人・・・・ 内部監査忍なんですか??」
「オレが人柱力・写輪眼の保護と、暗部部隊長を両立出来るか、それを監査されてるんだ・・・・。」
内部監査忍、それは・・・・。 火影様に頼まれて、極秘で仲間を査定する任務を請け負う忍びの事。
つまりは草や内通者・怪しい動きをする仲間に近付き、火影様に報告する。 その報告いかんで、
拷問部に連行されるか、泳がされるか、黙認されるかが決まる。 バレバレだからこそ気付かない。
さすが三代目、忍びは裏の裏を読め、裏の裏は表。 アカデミー教師か、確かに意表を突いた人選だよ。
火影様から『集中出来んのじゃったら、火影室の掃除でもしておれ!』って、受付から放り出された。
でも部屋にはあのカカシ上忍が!! そしてなんと、猫面の暗部も! ふたりはなにやら親しげだ。
猫と言えば、部隊長。 暗部には部隊長と同じ面の部隊がある。 戌・猫・猿・酉の四部隊だ。
他里では四天王と呼ばれ、恐れられているとか。 ・・・・・はっ?! まさかな。 まさかっ?!
もしナルト達を利用したカカシ上忍が、他の暗部の部隊長達とツルんでいたら?? 四天王が・・・・。
人柱力を写輪眼で操って、四天王が里を支配したら?? ここから世界征服への足がかりを?!
あれ? サクラは?? ・・・・ナルトを釣る為の餌とか?! うがぁーーーーっっっ!!
どうしよう、じっちゃん!! 俺、とんでもなく恐ろしい事を想像しちゃったよっ! うぅ、胃が痛い。