内部監査忍 6
@AB
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少し早いけど、大丈夫だろう。 カオルさんを伴ってみっちゃんまでやって来た。 え、二階が貸し切り?
わぁ、気を使ってくれたんだな・・・・。 ボク達は暗部だから、なかなか面をはずして寛げないし。
でもココなら、三代目が後ろについてるから気兼ねなく飲める。 でも飲食自由って、何気に凄くない?
全部三代目持ちか・・・・。 さすが内部監査忍、顔パスでしかも経費を使いたい放題とは・・・・・。
「・・・・お久しぶりです、女将さん。」
「ボクも。 だいぶご無沙汰してました。」
「うふふ。 カオルちゃんも、テンゾーちゃんも、立派になって。 私、嬉しいわ。」
まいったなぁ。 だからちょっと苦手だったんだ。 女将さんにかかったら、いつもボクは子供扱い。
でも、カオルさんも、なんだ? 確かにね、三代目と苦楽を共にして来た情人なら、そういうモノかも。
きっと女将さんから見たら、ボク達暗部の部隊長達も、アカデミーの先生も、皆子供みたいなんだろうな。
内部監査忍に対しても“あんまり虐めないであげてね、過保護で心配性で淋しがりな子なのよ”だもん。
「・・・・・・イルカちゃん? 誰だソレ。」
「だからっ! もうカオルさんは黙ってて下さい! 女将さん、先に上行ってますから。」
「どうぞどうぞ。 あ、そうだ、イルカちゃん今日は禁酒デーにしたから。 飲ませないでね?」
「? 飲ませてあげないんですか?? あ、そうか。 仕事中って事になるのか・・・・。」
「私が禁止したのよ。 暗部の部隊長の前ですもの、キリッと先生でいて欲しいから。」
「・・・・・ああ、例の監査忍か。 なるほど。」
小料理屋だから、そんなに大きくはない。 一階はカウンターと四人がけの机が二つ。 二階は8畳一間。
普段は女将さんだけ。 予約が入ると、仲居さん任務をウチの下忍に依頼する。 Dランクのお得意様だ。
まだ来てないみたいだけど。 きっと今日も、木の葉の下忍がスリーマンセルで手伝いに来るんだろうな。
違う遊びをたくさん覚えて。 ここ4〜5年はとんとご無沙汰だった。 なんかね、照れくさいというか。
エロ本隠してる場所を知ってるのに、あえて知らないフリしてるお母さんみたいなんだもん、美智子さん。
ボクは親の顔を知らないから。 昔は三代目と美智子さんが親かも、なんて思ったりした事もあった。
懐かしい階段を上る。 三代目によく連れて来てもらったな。 先輩やコウ部隊長と一緒に・・・・。
「あ・・・・・。 早いですね、もう来てたんですか。」
「は、はいっ!! ちょっと水筒に料理酒を入れ替えて・・・・ あわわわわ。」
「・・・・? まあいい。 猿班 部隊長のカオルだ。」
「あ、アカデミー教員兼受付忍の、うみのイルカですぅっ!」
待ち合わせは7時だったけど、イルカ先生は6時前に来てたみたいだ。 ボク達は6時に来たから。
凄い気合いだな。 さっきの話だと、美智子さんはイルカ先生の事を良く知ってるみたいだった。
シャキッと先生でいろ、とは。 ボク達の階級に臆さずしっかり査定をしろ、という事なのだろう。
美智子さんも監査忍とグルだな。 そりゃそうか。 三代目の情人の中で一番信頼されてるもん。
「まだカカシ先輩達は来ませんが、先に始めてましょう。 あ、ボクは猫班のテンゾウです。」
「ぎゃっ! 面が!!! いえ、はいっ! 猫部隊長ですよね、存じておりますとも!!」
「・・・・・カカシなら上忍師と暗部、両立できる。 もちろんおれ達も、だ。」
「?! そ・・・・ それは・・・・ 上忍師&部隊長の組織が出来るという事でしょうか?」
ん? 組織?? いや、確かにボク達は上忍師になるのが夢だし、里に良い忍びを残したいとも思ってる。
でも実際問題、ボクら部隊長が上忍として下忍認定試験を実施しても、合格するアカデミー生はいない。
アズサさんは自分のシゴキについてこい、とか。 カオルさんは見つからずに自分を追跡しろ、とか。
ボクは第五演習場の巨大アナコンダを倒せたら、だ。 今までそれらに応えられた卒業生はいなかった。
麦茶が入ってたマイボトルに、下からこっそり持って来た“鬼殺し”を入れる。 みっちゃんの隠し味だ。
“剣菱”も“菊水”も辛口で良いんだけど、料理酒として使うにはもったいないのよね、って言ってた。
日本酒の、しかも辛口が大好きな美智子さんが使う料理酒なら、普通に飲めるはず。 これが俺の予想。
お! 思ってた通り、美味い! ・・・・よし、気合いを入れて、モヤモヤをスッキリさせるぞっ!
つい、味見のつもりが。 もうちょっと足しておこう・・・・ って、なんで?! 来るのはや過ぎっ!!
ちょっと待ってて、まだスタンバってないんですよ。 鬼殺し、水筒一杯にしてそれからですっ!
自己紹介って・・・・ ちょっと! ぎゃぁーーーっ!! め、面が!! 取っても良いんですか?!
はははは・・・・・ 世界征服を目論む、上忍師兼部隊長の組織なんか出来上がった日にゃ、終わりだ。
俺に素顔をさらしたという事は、つまり・・・・。 部隊長のみなさんはグルなんですね?
「・・・・・そんな手口には乗りません! 目を見なければ良いんですから!」
「「???」」
美智子さんと三代目の好みは俺にも受け継がれた。 日本酒は辛口が旨い! 水筒の鬼殺しをグビッといく。
お、俺を孕ませて言う事聞かせるつもりだな? 子供の命が惜しかったら、とか。 その手には乗らないぞ!!