狛犬さんの事情 1   ABC DEF GHI




オレ達のイルカ君は任務に出てる。 上忍と中忍三名のフォーマンセルで、上忍の討伐任務の補助。
ま、任務内容は基本的に守秘義務があるケド、オレ達が“教えて?”と言えば、知るコトが出来る。
なんてったって、火影直属 暗殺戦術特殊部隊の部隊長と補佐だから! 人呼んで里の精鋭軍団だから!

暗部は火影様と裏で二人三脚、木の葉の財源赤字の危機を乗り越えた時も、貧しさに耐え頑張ったの。
雑魚にクナイや手裏剣なんか使わないヨ? 忍刀のみでコト足りるカラ、みたいな威圧感を醸し出して。
戦った敵は誰ひとり逃さなかった。 だって、後でちまちま忍具拾ってる姿を見せられないじゃない。
経費を節約しつつ民や仲間を守る、なんて水鳥の遊泳策は、オレ達エリート軍団にしか出来ないでショ?

そんなジリ貧で頑張ったオレ達に、三代目と木の葉カンパニーの会長はイルカ君との交際を認めてくれた。
だからこうやって迎えに来たのヨ。 公私混同と言うなかれ、自分達の任務はとっくに終わらせてある。
他の忍びの任務に支障が出ない限り、オレ達の行動は黙認されるのヨ。 だって暗部の黄金コンビだもん!








この辺りの森に居るはずなんだケド・・・・ もし任務完了間近なら、イルカ君をお持ち帰りしちゃう。
任務がもうすぐ終わるなら、フォーマンセルの中忍一人抜けても、ナンの問題もない。 それにネ?
カジキ上忍が三代目に報告する時、暗部の二人が連れて帰りましたって言えばOK! 送り迎え黙認だし。
ホント、会長の言う通りだったヨ。 しっかりと筋を通して大正解。 今がめちゃくちゃ楽しいモン。

「カジキ上忍、お疲れさまー! 首尾はどう?」
「悪質詐欺集団のアジトは見つかりましたか?」
「あ、カカシさん、テンゾウさん、お疲れ様です! はい、首尾は上々ですよ。」
「「中忍達は?? ・・・・・・・戻って・・・ 来てない??」」
「今丁度、囮に出した中忍達の情報待ち・・・・・ なんですよ。」

「いや、危ない囮ではないですよ? おびき寄せの囮ですから。 すぐ三人揃う手筈です。」
「一人を騙しやすそうなカモに? さすがカジキ上忍ですね。 複数いたら相手は諦めますからね。」
「はは! で、囮に二人が合流、詐欺集団は退散。 三人が後をつけてアジトを発見しました。」
「だったらもうそろそろ戻ってくるネ。 後はカジキ上忍が作戦を立てて狩るだけ、だもんネ?」
「ええ、ヤツらの居場所を突き止めれば、腕利きの忍び崩れがいようが、いつでも狩れますからね。」

ン? オレ達?? 任務の帰りなんだよネー。 カジキ上忍の結界陣営があったから寄ってみたのヨ。
・・・・・・遅いネ? 報告があってどれぐらい?? ・・・・・・二時間か・・・・。 イヤ〜な予感。
だってイルカ君の迷子癖はイヤというほど知ってる。 だてに長年見守って来たワケじゃないからネ。

ここ一年間の成長期で、なんとなくイタズラしたくなっちゃう雰囲気もなぜか備わっちゃったのヨ。
元来の親切そうオーラに加え、そのめちゃめちゃ騙しやすそうオーラも加わったおかげで、危機が倍増。
だからテンゾウとオレ、必ずどっちかの影か、もしくはオレの忍犬チームの誰かをつけてたんだから。
中忍になれば小隊行動、隊の仲間のコトもあるから単独で動くコトはまずない、と踏んでたのにコレだ!

「迷子癖を・・・・・ 侮り過ぎていましたね・・・・・ くそっ!」
「騙し易そうオーラもネ・・・・ 困っている人ホイホイだということも、だヨ。」
「昔は、あの帰巣本能だけに頼ってれいば充分でしたけど・・・・」
「中忍になって請け負う任務じゃ、帰り道云々以前の問題だーヨ。」

「・・・・?? カカシさん?? テンゾウさん??」
「カジキ上忍。 アジトの場所、教えて。 オレ達がソイツら狩りに行くからサ。」
「え?! まあ、どんなヤツがいようが、お二人なら瞬殺でしょうからね! ははは!」
「中忍達が戻ってきたら、カジキ隊は帰還して下さい。 三代目にはボク達の名を出せばOKです。」

「了解です! ではおれの討伐任務は、暗部に引き継ぎという事で。」
「「任せて。」」


「帰り道に寄ってくれて、中忍達の戻りが少し遅いだけで・・・・・ さすが暗部の黄金コンビだなぁ!」

ねぇ、テンゾウ。 オレってサ、沸点低いでショ? 熱くなるまでに時間がかかるよネ?
ケド、一旦熱くなったら手に負えないのって・・・・ 補佐のお前が、一番良く知ってるよネ?
もし・・・・・ もしイルカ君にナニかあったら、オレはキレるヨ? そりゃーもう暴れまくるヨ?
本来ならオレがそうなっても、お前が止めに入るんだろうケド。 こればっかりは・・・・・・ ねぇ?

「止めるだなんて冗談じゃない。 ・・・・当然、ボクだってキレますよ、ふふふふ・・・・」
「ネー 待ちに待った中忍昇格、イルカ君とオレ達のイチャラブ生活はこれから、って時に!」
「この日を夢見てひたすら我慢して耐えて来たのに・・・・」
「落ち着いて仕切り直しをしようと思った矢先に・・・・・」

そう、あれから。 イルカ君ちに同行、イルカ君が ?? ってなってる間に矢継ぎ早にコクった。
攻撃は最大の防御なり! オレ達がいかにイルカ君を長い間見守って来たかを、聞くも涙語るも涙でネ。
押せ押せ恩着せ攻撃のその甲斐あってか、最終的にはオレ達の恋人になる、って理解してくれたのヨ。
ニブチンのイルカ君を早速ひん剥き、いざ愛の世界へ! と思いきや、お菊ちゃんに興奮し過ぎて暴発。

「「 まだ合体してないのにっっ!! 」」