狛犬さんの事情 2
@BC
DEF
GHI
言葉責めって知ってる? わりとよく聞くと思うんだけど。 でもその逆って、あんまり聞かないよね?
・・・・誘い言葉浴びせ? 煽り文句掛け? とにかく逆なんだよね、天然誘い魔的な言葉の羅列。
普通はその答えを言わせたいが為に質問するでしょう? “今どんな気持ち?”“どこに感じる?”とか。
聞く前に答えるって・・・・・ なんて言えばいいのかな・・・・ カカシ先輩も分かんないらしいよ?
『『これが・・・・・ 夢にまでみたイルカ君の・・・・・ ゴックン ・・・・ 』』
『そんなにじっくりと・・・・ お尻の穴を見ないで下さい・・・ 俺、恥ずかしい・・・ です・・・・』
『『・・・・・・・・?! ・・・っ!!』』
『ぁ・・・・ 今、足に・・・・ トロって来た・・・・ あったかい・・・・』
『『・・・・・・・・・・・。 ( 出ちゃったじゃないっ!! ) 』』
・・・・・とか。 イルカ君はボク達がまだ何の準備もしていないのに、勝手に一人でお話してくれる。
これって我慢に我慢を重ねて来たボク達にとって、拷問だよ? お菊ちゃんに大興奮してたボク達は発射。
ボク達のする事に、いちいち中継して感想を言ってくれるから、ホール中までたどり着けずにすぐ暴発。
無理やり突っ込んで血だらけにする訳にはいかない。 ボク達の大切なイルカ君のお菊ちゃんだから。
先輩もボクも、まだ完全に制覇出来ていないんだ、実は。 上のお口も下のお口もデンジャラスゾーン。
上のお口にたどり着く前に、イルカ君の舌がたどたどしく伸びて来て・・・・ 舐められたとたんに発射。
下のお口は最悪。 尻たぶを広げて当てがった途端にお菊ちゃんがヒクヒクと波打ち、尻たぶに発射だ。
・・・・・ボクの恥辱蔓が唯一、イルカ君の上のお口を制した先駆者。 こんな事が許されていいのだろうか?
いや、いいはずない。 だから仕切り直しをしようと。 まあ、こんな事情をボク達は抱えているんだよ。
聞けば悪質な詐欺集団は、困ったフリしてカモに近付き助けてもらい、大衆雑誌に載せたいと口説く。
“世の中まだ捨てたもんじゃない、困っている人に手を差し伸べた優しい人達、という特集なんです”と。
ぜひに、と連れて行かれた所で恥ずかしい写真を撮られ、ユスリのネタにされる。 金銭の要求だ。
ネガごと売ると言ってくるが、もちろんネガ自体を複製して再度、また再度と要求してくるらしい。
少し考えれば分かる。 そんな恐喝に折れてお金を支払ったとしても、一回で終わる訳がないのにね?
ただの詐欺集団じゃないんだ。 一度に大金は要求しない。 少しずつ、何度にも分けて、何年も続く。
ちょっとした御店のお嬢さんやお坊ちゃんなんかは、自分のお小遣いでなんとかなるぐらいの額。
ちゃんと本人が払える程度の額を要求するんだよ。 だからそのまま臭いモノには蓋で、発覚しなかった。
考えてもごらんよ、例え金額が少なくても、そういう被害者が何十人もいれば膨大な金額になるよね?
塵を積もらせて山にするんだよ、確かに頭はいい。 まあ、こうやって事が発覚すれば別だけど。
やっとどこかのお嬢さんが発起したみたいで、その娘の親から、奴らを懲らしめてくれと依頼が来た。
依頼は“懲らしめてくれ”でも、大商人らしくそういう言い方をしただけで、“暗殺してくれ”って事だ。
被害は娘だけではない、ならばいっそ始末した方が世の為だ、と名のある御店の主人なら思うだろうから。
火の国の名のある人物ならば、その名のステイタスアップとも言えるこういう機会を、決して逃さない。
例え世間体の為だとしても、結果的には世の悪の粛清が行われる。 そのきっかけは何でもいいんだよ。
泣き寝入りなんてしなくていい、誰だって声を上げて良いんだ。 直接手を下すのはボク達忍びだからね。
俗に言う必要悪、毒を持って毒を制す、だよ。 その為に国や里の民を守る忍びの里、っていうのがある。
まあ、イタチごっこだけどね。 善と悪は表裏一体。 どんなに頑張っても、“悪” は無くならない。
「・・・・・・・ねぇ、テンゾウ。 恥ずかしい写真って・・・・ やっぱH系だと思う?」
「今時、鼻眼鏡や腹に顔描くぐらいじゃ、誰も恥ずかしいとは思わないでしょうし。」
「だよネー。 なんか色々、イイコトしたんだろうなー。 さすがに喰いはしないと思うケド。」
「ええ、大事な金づるですからね。 結構頭良いですから、それはないと思いますよ。」
ボク達も早く良い事したいよっ! せっかく迎えに来たのに、イルカ君はカジキ陣営に戻って来ず。
もう二時間も前に式でアジトの報告が来た、っていうのに!! 木の葉の中忍が三人いて何やってんの?
とっとと後をつけて、居場所を特定したら上忍がいる元の場所に戻ってくる。 それだけじゃないか!?
時間かかり過ぎ! ・・・・・・と、普通の中忍ならその首尾の悪さを指摘するだけで十分なんだけど。
「他の二人が合流したとしても、イルカ君だけ別口で連れてかれちゃったかも、ですね・・・・」
「そうだネ。 連れてかれたっていうより、しっかりクッキリついてっちゃったかもしれないネ。」
「「なんてったってデンジャラスイルカ君、だから。」」