狛犬さんの事情 8   @AB CDE FHI




ヌリヌリ・・・・・ ・・・・・ふぅ。 デンジャラスイルカ君に挑発されて。 本日、何度目かの発射。
・・・・・挑発? あ、そうだ、挑発ですよ、挑発。 誘い言葉浴びせだとか、煽り文句掛けだとか。
律儀にエロ感想の中継とは・・・・・ つまり、挑発されてるんですよね、ボク達。 しかも無意識で。
イルカ君の一連の行動に、いいネーミングが浮びました。 天然挑発誘い魔です。 わー ピッタリ。

そんな天然挑発誘い魔のイルカ君は、ウメちゃんの卵を拾い集めて、持って帰ってもいいかと聞いた。
うん、いいよ? 当然じゃないか。 それはイルカ君があんなに頑張って産み落とした卵だよ?
途端に大喜びしてボク達に飛びついて来たイルカ君。 ちゅ、ちゅ、ってしてくれるのは嬉しいんだけど。

「アー ココ、全部燃やすから。 着替えようか?」
「了解です! その前に水遁で洗いっこしましょう!」
「わ! 教えてー!! どうするんですか?!」

「ンー わりと簡単。 手のひらに水溜まりをイメージして・・・・・」
「んー っと・・・・ 水遁っ! ・・・・と、と、と・・・・・ わ、出し過ぎちゃう!」
「あはは! でも上手いよ?  ふふふ、そう・・・・ うん、そんな感じ!!」

水遁を纏った手のひらに、小さな水溜まりを作りながら、いろんな液にまみれたボク達の体を洗いっこ。
主に自分達の息子から飛び出したモノだけど。 あとイルカ君のたくさんの汗と、三人分の涙もね。
キャー キャー 騒ぎながら水をかけ合った。 どうせ燃やすからと、先輩と水の虎や龍を出してみたり。
一年も待って暴発続き。 一日も早くイルカ君と合体したいけど。 でもね、今、もの凄く楽しい。
 






結局イルカ君は、ウメちゃんの卵一個だけを持ち出した。 後のは、建物と一緒に燃やしてあげるそうだ。
ちゃんと説明したんだよ? あの話はイルカ君を良家のお坊ちゃんだと思った奴らが作った話だ、って。
でもイルカ君は違うと言ったんだ。 イルカ君の言い分を聞いてみれば、なるほどそうか、と感心する。
よくそこまで都合のいい解釈が出来るな、と。 まあ、それでこそボク達のイルカ君・・・ なんだけど!

あの人達は、きっと俺が忍びだと気付いたんです。 ウミガメに変化出来るなんて、忍びだけでしょう?
引き受けたからには出来る限りの事はしよう、なるべく本格的に産んであげよう、そう思いました。
・・・・・・・・・だって! 全然騙されたと思ってなかった。 逆に忍びを頼ってきたと思っていたんだ。

天然挑発誘い魔のイルカ君の事だ、奴らが何か話す前に、とっとと裸になって入れ始めたんだろうね。
そしてそんなイルカ君に感謝するフリして、忍び崩れの奴らは泣きマネの一つもしたかもしれない。
とにかくイルカ君は、自分では良い事をしたと思っているんだよ。 ・・・・・・だからって、ねえ?
その理論からいくと、ボク達は善良な民を殺した極悪非道な木の葉の忍び、って事になるんだけど??

「でもアイツらがカジキ上忍のターゲットの、詐欺集団。 コレは間違いないヨ?」
「そうですか。 悪の道に走ってしまうほど・・・ ウメちゃんとの別れが悲しかったんだろうな・・・・」
「いや、そもそもそれが・・・・・ まあ、いいや。 うん、イルカ君は頑張ったもん。」

「・・・・ひょっとしたらサ、イルカ君の変化したウメちゃんの産卵で、目が覚めたかもネ?」
「・・・・そうだよ。 ウメちゃんが頑張った様に、自分ももう一回頑張ってみよう、って。」
「そうかな? へへへ! でも。 俺と一緒に泣いてくれてありがとう、カカシさん、テンゾウさん!」
「「・・・・・・・・・・イルカ君が・・・・ 頑張ったからね?」」

・・・・・カカシ先輩。 そう言えば昔、狛犬さんだと言われた時も、こうやって夢を持たせましたよね?
あの時も既に思い込みの激しい激鈍感な下忍だったけど。 なんにでも素直に反応して、感激して・・・・
ボク達に、今みたいにやっぱりお礼を言って。 いや、あの時は狛犬さんに、だけど。 嬉しかったな。
もしかして、天然挑発誘い魔にしたのは・・・ デンジャラスイルカ君にしたのはボク達かもしれませんよ?

だから一緒に・・・・ と。 イルカ君はウメちゃんの卵四個を、自称飼い主の男の元に送ったんだね。
あれだけ自分が頑張って産み落としたのに。 本当は五個全部を持って帰りたかったはずなのに。
今度生まれ変わる時は、大好きなウメちゃんと一緒にウミガメに生まれ変われるように・・・・ って。
あ、一緒に人間に生まれ変わるのもアリだ! そうしたら今度は道を外れないし! そう言って笑った。

アナルパールをここまで神聖なモノに変えてしまう、そんな人間この世に存在しない。 もう、ミラクルだ。
だからって訳じゃないけど。 この持って帰って来た大人の玩具の一部が、殊の外可愛く思えますよ、先輩。
ウメちゃんの卵じゃなく、ちゃんとした名前をつけてあげて、暗部隊員達に見せびらかしたい気分です。