狛犬さんの事情 9   @AB CDE FGI




あの後、詳しいコトは省いて、カジキ隊の任務の手助け、及び暗殺遂行をしたと火影様に報告。
三代目は、先に里に戻ったカジキ上忍と中忍ズから報告を受けていたらしく、ホクホクとご満悦だった。
詐欺集団粛清に声を上げた、一人の勇気あるお嬢さん・・・・と、その親御さんに続き、他の被害者も。
たくさんの被害者・・・・ の親から任務依頼が殺到。 木の葉の里は充分過ぎるほど潤ったらしい。

ま、それも世間体の為、かもしれないけどネ。 だってどの名のある人物も、その思惑は同じだモン。
悪質な詐欺集団の粛清を頼んだのは我々なんですよ、悪は見過ごせませんからね・・・・・ みたいな。
どいつもこいつも、自分達の名を上げる方法をよく心得てる、ってなもん。 ウチの里はボロ儲け。

そしてどこをどう巡り巡ったのか、木の葉の忍びがウミガメの保護に協力したコトになっていた。
水の国にほど近い海岸のある町から、数が少なくなっているウミガメ保護の協力のお礼にと、卵が。
アー 言っとくけど本物の卵じゃないヨ? 大粒の真珠で作ったツルツルピカピカの卵型の宝石。
それが届けられたんだって。 これからも協力をお願いします、って。 ウメちゃんの卵とは大違い。

暗部の待機所には三代目直筆の掛け軸がある。 【水鳥は優雅に水面を泳ぐべし】っていうヤツ。
例のジリ貧生活を送っていた時の名残。 コレを見る度に正露丸を飲んだ思い出も甦ってくるんだよネ。
その掛け軸の前に、真珠独特の清楚な風格を漂わせて、ウミガメの卵型真珠が飾られていたんだ。

オレ達、ウメちゃんの卵を持って来て、皆に自慢しなくて・・・・・ よかったネ、テンゾウ・・・・
と言いつつ、オレ達のイルカ君の産んだパールの方が、何倍も可愛いモン! って思ってる。 でショ?

「でもさ、アレってやっぱり、被害者はあの話に騙されて連れて行かれちゃった、ってコト??」
「まあ、イルカ君の様に“そうか忍びだから頼みに来たんだ”とは思わなかったでしょうけど。」
「理由はどうであれ、悲しんでる人の役に立ってあげたかった・・・・ って、コトなのかな。」
「・・・・心優しいだの、立派だのとおだてられて、ついてっちゃたんでしょうね。」

「「・・・・・さすがブルジョワ。」」

あんな話が出来上がっていたのは多分・・・・ 金持ちの連中が動いたから。 で、寄付でもしたんだ。
里に悪の粛清を依頼するコトは、人の噂の的になる。 その噂を最大限に活かす方法は・・・・ ってネ。
木の葉に粛清を頼んだら、自分達の過ちも償うモノだと論されました、これまでのせめてもの償いに、と。

どいつもこいつも狸ばかりだから、どうすれば自分達に世間の同情を集められるかを知っている。
あの詐欺集団はウミガメの密輸をしていた、娘や息子は脅されて手伝わされていた、と告白するんだ。
そうしてウミガメの保護活動に多額の寄付をすれば、我が子を下手な噂から守れて世間体もバッチリ。
まさか、あんなバカげた話に騙されました、なんて公表できるワケないもんネ? ま、こんなトコでショ。

「で、無理やりアナルパールを入れられて、引っ張り出された写真を撮られた。 バカだネー?」
「ボク達のイルカ君は違いますよ? 自分で入れて自分で産み落としましたから! 立派です!」
「「やっぱりイルカ君は最高vv」」

そんなのに騙されちゃって、ついて行って脅されるぐらいのおバカな民でも、騙すほうに比べればマシ。
オレ達里の忍びがどっちの味方につくかと言えば、当然前者だヨ。 例え体裁を保つ為に使われてもネ。
結果、詐欺集団はこの世から消えた。 木の葉の里も潤った。 ナンにも関係ないウミガメ保護の町も。
コレって、トータルすればイイコトばかりでショ? ようは結果が大事。 終わり良ければすべて良し!

「カカシさん! テンゾウさん!! 火影様に見せてもらいましたよ、卵真珠!!」
「アハハ! どうだった? 綺麗だったでショ。」
「はい! ・・・・・でもウメちゃんの卵の方が・・・・ 可愛いです。」
「うん、ボク達もそう思ったよ。 くすくす!」

「・・・・・・・もう一回、産んでもいい?」
「「!!!」」
「二人に手を繋いでもらって・・・・ もう一回産んでみたい・・・・」
「「・・・・・・・・・い、いつだって・・・・・・ ゴクリ・・・ 産んでいいよ?」」

こうやって股間直撃の言葉を、いとも簡単に出してしまう。 するとオレ達は違うモノを出したくなる。
再び元気になりかけるオレ達の息子には、お前達もう少しだから頑張ろうネ? と励ましてあげた。
テンゾウが、天然挑発誘い魔というナイスなネーミングを考案。 通称デンジャラスイルカ君降臨だ。