狛犬さんの事情 3
@AC
DEF
GHI
二時間前、追跡・偵察の任を言い渡された中忍から、詐欺集団のアジトを発見したと、式が飛んできた。
カジキ上忍は、当然三人一緒に行動していると思ってる。 三人で後をつけて三人で偵察していると。
他里の関与や忍び崩れが混ざっているか、仕掛けや出入り口はどこか、人数は、等の情報待ちだ。
たった二時間前だと思うなかれ。 デンジャラスイルカ君にとって二時間という時間は迷子タイム確定。
しかも詐欺手口の囮の囮。 困ってるフリしてるヤツを助ける? それってモロ、イルカ君の得意技だヨ。
囮じゃなく、普通にやっちゃうネ。 作戦通りなら、雑誌に特集を載せる話をした時点で他の二人が合流。
カモが一人きりでないと判ったら、安全をみてソイツらは引き下がる。 そこから追跡開始・・・ のはず。
これが本来の木の葉のフォーマンセルなら、ナンの心配もない。 カジキ上忍の言う様に首尾は上々だヨ。
でもイルカ君だから。 オレ達の頭によぎったのは、詐欺手口に素で引っ掛かったイルカ君と追跡組二人。
三人一緒でなくても、ソイツらの後をつけてアジトを発見する、という任務は遂行できるからネ。
式には、“偵察続行中、内部が詳しく分かり次第、合流します”とあった。 “合流”というのがミソ。
おそらくカジキ上忍は、三人が戻ってくる意味でとらえている。 ・・・・ヤ、普通はそう思うトコだし。
オレ達二人の予想では、中忍二人が隙を見てイルカ君を助け出し合流、って意味だと思うんだよネ。
バッチリひっかかっちゃってる気がするのヨ、困ってるフリにサ。 だってデンジャラスイルカ君だもん。
オレ達はカジキ上忍から無理やり暗殺任務を引き継ぎ、中忍ズが調べた詐欺軍団のアジトとやらに到着。
こんな予想は当たんなくていいのヨ! と、ツッコミたくなるぐらいの光景が、目に入って来た。
建物の中の様子を窺っている中忍ズは二人。 どっちもイルカ君じゃない。 ハハハ・・・・ やっぱりか!
屋根に貼り付き、天窓らしきところから二人して覗き込んでいる。 テンゾウ、蔦で巻いて連れて来て?
「了解ですっ!! 木遁っ! 黙殺縛り!! 中忍ズ、捕縛っ!!」
「ヨシ、オレも頑張っちゃうヨ? イノイチさんオリジナル! 加速光合成の術っっ!!」
「わぁぁあっっ!!! 何やってるんですか、先輩っっ! あああ!! 中忍ズがっ!!」
「オー 育つコト、育つコト! さすが山中花店で重宝されてるだけはあるネ。」
今は亡き親友のオビトに、大好きな触手プレイを見せてあげようとしたケド、イルカ君に惚れて断念。
替わりに、というワケじゃないケド、オビトのくれた写輪眼で術を千個コピーしよう、って決めたの。
マイルールを決めて願掛け修行すればその夢は叶うのだ! とか、ガイが言ってたしネ。 モノは試し。
だからオレも願掛けをした。 千個術をコピーしたら、オビトは天国でリンと会えて触手プレイ! って。
千個なんて至難の業でショ? だからありとあらゆる術を片っ端からコピって行った。 只今、半分達成。
記念すべき五百個目がこれ。 イノイチさんが自分ちの花を育てる為に開発した術、加速光合成の術。
木遁と相性がイイだろうと思って、チョット加勢しただけなのに・・・・ 蔦の葉がスンゴイ巨大に成長。
蔦の葉に隙間なく覆われた中忍ズは呼吸困難で苦しそうだ。 あとチョットだけだから我慢してネ?
コントロールが追いつかないほどに成長を遂げた蔦の葉、テンゾウは蔦ごと消滅させるしかないから。
ボトボトと二人が落ちて来る。 チョット中忍でショ? 着地ぐらい音を立てないで落ちて来なさいヨ。
「ふぅ! 危うく窒息死させるところだった・・・・ 君達、大丈夫??」
「「ゴホゴホ・・・ す・・・ すみませんでした!! つい・・・・ 出来心で・・・・」」
「コッチこそ、ごめーんネ? あんなに育つなんて思わなくてサ・・・・ ン? 出来心??」
「海野中忍とは、合流しようと思ってたんです! ホントです!」
「出てきた所を見計らって、カジキ隊長の所へ戻る予定でした!」
「中で何やってるのかなー とか。 ・・・・・な?」
「早く出てこないかなー とか。 ・・・・・な?」
ワザとらしく困ってる人を、イルカ君は助けたんだよネ? んで、これまたワザとらしく君らが合流した。
察するところ、一人で買い物に出た良家のお坊ちゃまを心配して迎えに来た下働きの二人・・・ とか?
ヤツらはそそくさと退散したが、イルカ君が待ったをかけ、君らの出端をくじいた。 で、君らが退散。
この人達は詐欺集団じゃない、本当に困っている人だから、とか。 ・・・・・こんな感じで合ってる?
「「すげーーーーっ!! さすが暗部ですね!! どこかで見てたんですか?!」」
「もう顔は割れてるし、忍びがいるかもしれないから変化も出来ないし・・・・」
「殺される心配はありませんから、海野中忍は後で助けようと、後をつけました。」
「「・・・・・・・・・・・・。」」
「あの・・・・ 海野中忍を覗いて楽しんでた・・・・ なんて事はないですから!!」
「ちゃんと偵察しました! 海野中忍の様子が・・・・ 気になったもんで・・・・」
「「丁度、助けようとしていたところなんです!!」」
「「へーーーーー。」」
さっきもうチョット窒息させときゃよかったかな・・・・ 必死で言いワケしてるわりには嬉しそうだネ?
・・・・・・取り合えず中忍ズは帰ってヨシ! カジキ上忍にイルカ君の救出もするから、って言っといて?
どうやら建物の中でイルカ君は、マンセル仲間の中忍ズでさえ、覗きたいようなコトになってるらしいヨ?