あなたな生活 10   @AB CDE FGH JK




『並足ライドウの名の元に進言致します。 忍びの立場を利用し、木の葉の名を汚した輩がおります。』
『なにぃ?! 一般人を弄んでるとな?! それは本当か超真面目なライドウッ!!』
『なんと里の上忍達が?! 激真面目なライドウが言うなら間違いはないっ!!』

『むむむ・・・・・ まさかカカシとテンゾウが・・・・・ ワシ、何気に火影の立場がピンチ?』
『ほう? 猿飛直属の暗部が問題を起こしたか。 これは火影を横取りするチャンス・・・ ふっふっふっ!』

『待て待て、ダンゾウ! 初代様の盆栽をお主にもやるゆえ、チャラにするのじゃ!』
『そうじゃ、テンゾウにとびっきり可愛いミニ盆栽をだしてもらうのじゃ!』
『婚約を破棄すれば問題ないじゃろ? 初代様仕立てのミニ盆栽は可愛いぞぃ?』

『・・・・カカシの保管しているイチャパラ初版限定本をつけるなら、目を瞑ってやらんこともない。』
『おお! 取引成立じゃっ! プレミアイチャパラとミニミニ盆栽で手を打つぞぃ!!』
『ほ! 見てますかー 初代様、二代目様! サルは火影として立派にやっておりますぞ!!』
『そうじゃ、猿飛が火影。 これは初代様と二代目様の遺言じゃからの。 猿飛しか駄目じゃ!』
『ゆえに婚約は白紙! 本人が望むならライドウとあなたな生活を送る事を許可するぞぃ!』

『『『『わっはっはっはっはっ!!』』』』

・・・・・・・・こんな事にならなくて、本当によかったですよね。 やっとこさ一息ついた感じです。

え?! カカシ先輩、知らなかったんですか?! あ、カカシ先輩んちには忍犬ズがいますからね。
先輩が家でぐっすり眠っている間や、お花遊びしてる時には、留守番忍犬ズが撃退してたんですよ。
そうです。 ダンゾウは前からカカシ先輩の無二のお宝、イチャパラ初版限定本を狙ってたんです。

三代目の初版本を狙って、時々根の連中を火影屋敷に忍び込ませては失敗しているじゃないですか。
ええ、よく火影屋敷の扉の内側に、裸にひん剥かれて張りつけにされてる根の忍びが、失敗こいた奴らです。
以前コウさんが偽物をチラつかせては囮につかってました。 根の奴らを確実に釣れるから、って。
あれは三代目と先輩しか持ってませんからね。 ここぞとばかりにそういう機会に付け込むでしょう。


「おのれダンゾウめ。 オレのプレミアイチャパラを・・・・っ!!」
「根の忍びごときでは、カカシ先輩の忍犬ズにはかないませんよ。 ふふ!」
「ヤー アイツら纏めてサラサラヘアになるぐらいブラッシングしてあげたいv」
「いいですね! 今度三人でブラッシングしてあげましょう!」


「イルカちゃんとしては間に合わなかった・・・・ でも少し考えてくれ。 スタートラインが同じなら。」
「?? へ?? あの・・・・ ラ、ライドウさん??」
「中忍 海野イルカとして。 おれの側にいて欲しいと思っている、と言ったら?」
「・・・・・・それは・・・・ あの・・・・。」

犬塚さんが“気難しい愛犬もご満悦 ホンワカ獣な香り”とかいうシャンプーを売り出したそうで・・・・
はぁ?! ちょっと、そこっ!! 何二人の世界を作ろうとしてるんです?! はい、もっと離れて!
ライドウさん! ボク達が愛犬話で盛り上がってるからって、どさくさにまぎれに口説かないで下さいよ!


まったく! 油断も隙もあったもんじゃないっ! ライドウさんは自他共に認めるクソ真面目な性格。
もしボク達が逆の立場だったら、ない事ない事ガンガン吹き込んでイルカを手に入れるよ、当然じゃないか。
でもライドウさんは、ご意見番にデマを吹き込んでイルカを横取りするより、真っ向勝負を好む人だ。
スタートラインが同じなら、って。 そんなの・・・・ イルカに選ばせようとするなんて、酷いよ・・・

ボク達は盆栽三鉢と交換で、あなたな生活を手に入れたという自覚がある。 決められた婚約者だからと。
そう言って、ナルトんちの屋根にいたイルカを丸めこんだ。 フェアじゃない、そんなの分かってるよ。
イルカの望郷の念とナルトへの気持ちを利用してボク達と一緒に生きて行こうね、と誘導したんだから。


「里で最初に出迎えてくれた人がライドウさんだったら違ったかも、って。 確かにそう思いました。」
「うん。 さっき、そう言ってくれたよな。」
「はい、それは俺の正直な気持ちでしたから。」
「「・・・・・・・・・・。」」

一般人 木の実のイルカちゃんとしてではなく、中忍 海野イルカとしてこれから自分の側にいて欲しい。
・・・・それはボク達も伝えた言葉だ。 ライドウさんは、どこまでも同じ気持ちなんだと再認識した。
でも止めて下さい。 そうやって正攻法に出られたら、ボク達・・・・・ イルカが混乱してしまう。
自分の意思でボク達を選んだのか、すり込まれたのか、どっちだろうって、迷ってしまうじゃないですか・・・・