一目あったその日から 1
ABC
DEF
GHI
今ボクは、大変困った状況に置かれている。 前門の虎、後門の狼。 ジリジリと彼らが詰め寄って来る。
何でこんな事に・・・・。 ボクはちょっと、気になる子の話をしてみただけだ、恋バナというヤツを。
ボクは、暗殺戦術特殊部隊、火影様直属の暗殺部隊の隊員。 やっと所属部隊が決まった新人だ。
この前まで特に、カカシ先輩とか、はたけ先輩とか、戌部隊長とかに、良いようにコキ使われていた。
カカシ先輩は、戌部隊の部隊長。 猫部隊に所属になったから、もう戌部隊のところに行かなくてイイ。
うちのコウ部隊長が、カカシ先輩の目の事でからかったとかで、猫部隊と戌部隊はちょっと・・・。
「て〜ん〜ぞ〜くん? もう逃げられないよ〜? ふふ、ふふふっ・・・・・」
「ぶ、部隊長、こんな時だけ、戌部隊と意気投合しなくても・・・」
「ふ、甘いなテンゾウ。 コイツはその手の話が大好物。 自称、暗部のキューピットだーヨ。」
「いや、だから・・・ ボクは・・・」
戌部隊と猫部隊は、事あるごとに衝突する。 やれ、うちの方が暗殺成功率が良いとか、帰還率が良いとか。
『オッドアイみたいでいいな〜 俺も欲しい〜』これ、その時のうちの部隊長のセリフだって。
動物のオッドアイ種は、皆人気がある。 部隊長は純粋にそう思っただけで、からかった訳じゃない。
けどそれはカカシ先輩にとって、軽々しくふれて欲しくない事だったんじゃないかな。
「ちょっと、ほんとにもう、勘弁して下さいよ、ボクの片思いなんですから。」
「あーーー、言っちゃった。 それ言ったらコイツはりきっちゃうヨー? イキガイだから。」
「な、なんでですかっ!! そっとしといて下さいよ! ボクはこのままでいいんです!!」
「駄目だよ、てんぞ〜くん。 先手必勝、ここは忍びだらけ、後で後悔するよ〜?」
カカシ先輩は、木の葉の白い牙の息子。 悲劇の英雄の息子だ。 だからあの目が入っているのは、
生まれ持ってのモノじゃない。 何か理由があって、移植された別の人のモノかも。 うちは一族の写輪眼。
ボクみたいに、べつに望んだ訳じゃないのに、埋め込まれたモノかもしれない・・・・。
暗部にいる人たちは、皆様々な背景をかかえている。 それはお節介な、うちの部隊長も例外じゃない。
「ふふふ・・・ 俺はね〜、死ぬまでに何人くっつけられるかが、イキガイなんだよ〜。」
「そ、そんなはた迷惑な生き甲斐、作らないで下さいよっ!!」
「一番の自慢は、四代目とクシナさん。 雷の九尾拉致事件をミナト先生に知らせたのがコイツ。」
「え・・・ 四代目ご夫婦が・・・ 部隊長のお節介で??」
「お節介とは何だっ! キッカケ作りの演出と、言ってよ〜 あそこには、最高のドラマがあった!」
「雲隠れの忍びから、お姫様を助け出した王子様。 実際、アレがキッカケだもんネー。」
「あの・・・ 部隊長達は・・・ 仲が悪いんじゃ・・・ ないんですか?」
「? 超〜ハイパ〜仲良しじゃ無いけど、全然悪くはないよ? なんで〜?」
今、凄い事実が判明した。 てっきり戌部隊と猫部隊は仲が悪いと思ってた。 隊長同士がそうだからと。
よく考えたら、こんな息ぴったりに挟み撃ち出来る訳ない。 ・・・・ボク達隊員は、踊らされていた?
なにかにつけて、戌部隊には先を越されるなとか、上をいくぞとか。 それって結局、意識の向上の為?
だとしたらボク達は、部隊長達の思惑通り、隊員同志、張り合いながら、成長している事になる・・・。
「ま、戌と猫は火影様の両腕だからね。 張り合ってこそ伸びる奴らだし?」
「・・・・・ボクらは、尻を叩かれてたダケなんです、か。」
「う〜ん、やっぱり聡明だね、カカシが欲しがるだけはあるよ。」
「・・・・・・結局、猫部隊に持っていかれちゃったケドねぇ?」
なんか、もの凄く悔しい。 おまけに人の恋バナをネタにして、遊ぶつもりだ、絶対。
カカシ先輩とか、はたけ先輩とか、戌部隊長とか、更にうちのコウ部隊長まで加わる・・・・ くそぉ!
やっと部隊外の戌部隊部隊長のパシリから卒業できると思ってたのに、これからもそうなのか?!
暗部なんて・・・・ 暗部なんて、ぬけてやるーっ! 超真面目なボクの、いるところじゃないっ!
「・・・・・ボク・・・・。 普通の上忍に戻りますっ!!」
「あ、逃げた!! コウ、残念だったネー。 アレ、明らかに本命だよネー。」
「ん〜 今日の所は、見逃してあげようかな〜 絶対聞き出して、くっつけちゃる!」
「オレとコウの隙を見て逃げるなんて、やるなぁ。 あーあ、戌に欲しかったー、残念!」
「カカシは目をかけてるつもりだろうけど、いまいち相手に、伝わってないと思うよ〜」