一目あったその日から 6   @AB CDF GHI




「えっとね、 ・・・このハカマを・・・・ こうやってとるんだよ?」
「わわわ、結構、難しいね、指で潰しちゃいそう・・・」
「お前、頭使いなさいよ、オレ達は忍びでショ?」
「おお〜、この薄さは、チャクラコントロールの訓練にもなるね〜」

ツクシの胴体に巻き付いているヒダヒダの取り方を、イルカ君が実演してくれた。
ボクはその通りにやったけど、ペテン師達はチャクラを使用して、スパスパ切り取っている。

むかっ! 火影様が食べるのに、そんなミもフタもないやり方なんて、愛情がこもってないっ!
ちゃんとイルカ君みたいに・・・・・   ははは、イルカ君もチャクラを使って取ってた・・・・

「この量を考えたら、そうするでショ、普通。」
「凄い量だけど、ゆでるとチンマリしちゃうから。 エへへへ、テンゾウさんって、マメだね。」
「背負い込み型の苦労性だもんね〜、てんぞーくんは。 ひょっとしてM男くん?」
「えむお・・・ってなに?」
「ンー、イルカ知りたい? 知っちゃう? 調教されちゃう??」

なに言ってんだ、このショタ男、順番無視かっ!! まだ告ってもいないだろ、オスマグロめっ!!
だいたい、イルカ君に、イルカ君が、イルカ君・・・・  を、ち、ちょ、調教・・・・
***ご主人様がいないのにひとりでしちゃって、ごめんなさい。 俺にお仕置きをして下さい・・・***
はっ?! そ、そんなの、イルカ君じゃないっっ!! ス、スゴク良いけど、なんか違うっっ!!

ダメダメ、ダメーッ! カ、カカシ先輩、ヤメテ下さいっ!! イルカ君にヘンなこと教えるのっ!!」
「うん、やっぱりコンビより、トリオの方がにぎやかで良いよね〜!」
「部隊長! 口火切ったのは部隊長ですよっ?! なんでそういう風に話を持っていくんですかっ!!」
「お前、なんか想像してたでショ。 間があったヨ? ヤダねー、ムッツリのM男くんは。」
「誰がMですかっ!! ボクはどっちかって言うと、S寄りですっっ!!」

「「ほう。」」

な、なに言わすんだ、ペテン師どもっ!! イルカ君に、ヘンな目で見られたらどうすんの?!
もうホント、どっか行って、ジャマ。 ボクとイルカ君の、せっかくのデートがメチャクチャだ。
カカシ先輩は、イルカ君のコト調教しちゃうのかなぁ。 先輩は有言実行のヒトだから心配・・・。
Mなイルカ君は捨てがたいけど。 やっぱりイルカ君は、普通に反応してくれた方が良い!


「なんかわかんないけど、暗部の人達って、仲良くて良いな。 よかったね、テンゾウさん。」
「・・・・・ははははは。」
「猫部隊は仲良しだもんね〜、てんぞーくん?」
「オレだって前から可愛がってるヨ。 ネ、テンゾウ?」
ボクはイルカ君とだけ仲良しの方が良いのに・・・・・。」

仲良し、可愛がってる・・・・ アレを仲良しで、可愛がってると言うのか・・・・。
ボクの脳裏に、この三カ月間のペテン師絡みの思い出が、まるで走馬灯のように、駆け巡っていた。

囮にされたり、殿させられたり、チャクラ奪い取られたり、敵陣の前に投げ飛ばされたり・・・・
“財布を忘れた”と言っては、パシラされた。 パブにスナック、キャバクラにイメクラ・・・・
思い出したら腹が立ってきた。 コウ部隊長もカカシ先輩も、いっぱい女の人と遊んでる。
ボクはイルカ君一筋なのに、なにもそのボクから、取り上げる事ないじゃないか。 あんまりだ。

「終わりーーーっ! 凄いっ! みんなでやると、あっと言う間だね!」
「楽しみだね〜、どんな味がするのかな〜?」
「後で火影室に寄ってみて? じっちゃんに言っとくから。」
「わかった。 これからイルカはクッキングタイムだネ? 後で楽しみにしてるヨ。」

「コウさん、カカシさん、テンゾウさん、手伝ってくれてありがとう。 また、あとでねー!!」
「イルカ君、ボクの方こそ、変わらずに誘ってくれて、ありがとうっ!」

うん。 ボクはイルカ君だけでいい。 ボクが木遁を使いこなせるようになっても、暗部に入っても、
いつも変わらずに接してくれる君が、大好きだ。 ボク達は忍びだから安定した未来はない。
だからこそ今を大切にしなきゃ。 だって、この先イルカ君のような人間に会えるとは限らない。
ボクが生きている時間だけ、イルカ君と一緒にいたいんだ。 それは長ければ長いだけ、きっと幸せ。

「早熟な健全男児のカカシは、この二年間、欲望をずっと抑え続けているんだよ〜。」
「カカシ・・・先輩? ・・・・・いっぱい女の人に、乗っかられてましたよね・・・?」
「んーーーー、オレね、自分から乗っかりたいって思ったの、イルカだけだから。」

なに言ってるんですか、自分から、なんてそんなこと・・・・ 自分から? あの、カカシ先輩が??
“んー、女の顔なんかいちいち覚えてないヨー”とか、外道な事を平気で言ってた先輩・・・
“オレは寝てるだけ、自分で動いたコトないモン”とか、オスマグロ発言をかましてたカカシ先輩・・・
内容は自慢できる事じゃないけど、任務以外でカカシ先輩のこんな真剣な顔と声は・・・ 始めてだ。