一目あったその日から 7
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CDE
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《ネズミ侵入》の知らせを受けた。 待機中の忍びは、侵入者を捕縛、拷問部に連行、だって。
もちろんヒマになったボク達は、侵入者を囲んで捕まえて、拷問部に引き渡した。 いい汗かいたな。
よし、向かうは火影室。 だってイルカ君が“あとで、火影室に寄ってみて?”って、言ってたから。
「もうイルカちゃん、ツクシ料理作って持ってきてるかなぁ〜」
「三代目の好みって謎だけど、イルカが作るのは何でもオイシイのよ。」
「ボクも知ってます。 木遁の修行中、よく差し入れしてもらってましたから。」
・・・・・別れてから結構たったのに、イルカ君が火影室に来てなかった。 まだ早かったか。
“つくしのゴマあえ”は時間かかるのかな。 イルカ君の料理の腕は、もうプロの領域だ。
努力家のイルカ君は、とことんまで追求するらしい。 要領も良いし。 忍びとしては下忍だけどね?
物を作ったり、人に教えたりするのがすごく上手。 イルカ君は、サポートタイプの忍者に向いてる。
「・・・・テンゾウのくせに。 山に隠れて、そんなオイシイ思いしてたんだ?」
「ボクは修行中の二年間、それだけが楽しみだったんで・・・・・ いぢえぇぇぇっ!!」
「だから〜、てんぞーくんの耳ひっぱるの、やめなさいって〜、とれちゃうでしょ?」
ボク達は報告が済んだのに、火影室にまだ陣取ってる。 三代目に邪魔呼ばわりされても。
そろそろ三代目の視線が痛くなり出した。 だんだん言い訳も苦しくなってきた。 ・・・・・遅い。
「部隊長、カカシ先輩・・・・・ いくらなんでも、遅すぎませんか? 夕方です・・・・」
「うん、おかしいね。 いつもなら少しでも早く、火影様に食べさせてあげようとするのに。」
「いい加減、叩き出そうと思おておったが・・・・ イルカが差し入れに来くる予定じゃったか。」
「オレ達、材料を探す手伝いをしてたんですよ。 確か昼前には・・・ イルカと別行動しました。」
「なんと、昼前にイルカと別れたのか?! 何事もなければいいんじゃが、念のため捜索せよ。」
「「「了解ですっ!!」」」
ボクの馬鹿! ボクもあの時、一緒にイルカ君の家へ手伝いに行けばよかった。 でも、そうしたら・・・
もれなくペテン師どもも一緒に来てただろう。 そしてボクだけネズミ捕りに行かされてたよ、きっと。
どっちにしても駄目じゃないかっ! ・・・うぅ・・・・イルカ君、ちゃんと家にいてね・・・・
・・・・あれ? でも家って・・・どこ? いっつも火影室の周りで会うから、ボク、知らないよ?!
あえて家を尋ねなくても、イルカ君は火影室に入り浸ってて、そんなの気にしたコトもなかった。
先頭を行く先輩は、まっすぐある場所に向かってる。 どこか心当たりがあるみたい。 ここは ・・・
《小料理屋 みっちゃん》 三代目の囲っている情人のひとり、美智子さんがやってるお店だ。
イルカ君は火影様に紹介されて、ここの台所を使わせてもらっているらしい。 料理が上手くなる訳だよ。
「あら、いらっしゃい。 まだ開店時間じゃないけど、二階で待っててちょうだい?」
「女将さんっ! 今日、イルカ、台所借りに来た?」
「イルカちゃん? うふふ、また何か作ってくれる予定なのね? でも来てないわねぇ、まだ。」
「ありがと〜、女将さん。 今度はお客さんでくるからね〜」
次に先輩が行った先は、ボクが修行に籠ってた森のある山と、反対の山。 ・・・・こんなとこに?
温水がわき出ていて、天然の温泉がたくさんある。 あるのは温泉街と、森の中の秘湯ぐらいなもんだ。
・・・・ひょっとして、この森の中にイルカ君ちがあるのかな? ・・・・・ホントにあった。
ボクが改造したログハウスより小さくてボロだけど、泳げるくらい大きな温泉のそばに、小屋が。
「・・・・・・いないネ。 っていうか、帰った形跡がない・・・・。」
「う〜ん・・・・ 死んではないよ? あの時、なにも感じなかったから〜」
「そ、そうですよね、コウ部隊長が・・・・ 警告しないハズないですもんね。」
部隊長は、近くにある死の臭いを感じる事が出来る。 ずっと先の死の臭いまではわからないらしい。
それがまとわりついていたら、その人が。 それが漂っていたら、その場所に。 死が口を開けている。
だから必ず部隊長は警告をするんだ。 “死ぬかも”・・・って。 その場だけでも回避できるから。
ちょっとだけ落ち着いた。 コウ部隊長がそういうなら、命にかかわるような危機に陥ってはいない。
「オレのイルカが・・・・ どこに行ったと思う?! コウ!!!」
「らしくないよ〜 忍犬使いでしょ、カカシ。」
「そ、そうネ・・・・・ 口寄せの術っ!!」
「ボクのイルカ君が・・・・ 助けて下さい、部隊長っ!!」
「てんぞーくんは木遁で、木から情報を集めればイイじゃない。」
「あ、そっか! 木遁、木千里眼っ!!」
「ふふふふ、やっぱり、トリオいいなぁ。 楽しそうだし、俺も面白いし〜。」