一目あったその日から 4   @AB DEF GHI




何でこ、ここ、ここ、ここにふたりがいるんですかっ!!
「ショック〜 てんぞーくんが、ニワトリになっちゃた〜!」
「まさか・・・ 猫部隊から酉部隊に移る気? だったら戌に来なさいヨ、戌に。」
「わー、アズサさんとこ行くの? 彼女、好きなんだよね〜、俺の母ちゃんみたいだから。」
「わわわ、話がどんどん進んでるヨ! イ、イルカ君、とりあえず、ボク、猫部隊だから。」

ペテン師どもにも驚かされたけど、イルカ君が、ふたりと面識がある事に、もっとビックリした。
さらに、酉部隊のアズサさんまで・・・ ひょっとして猿部隊のカオルさんのコトも??
あ、暗部って・・・・そんなオープンな所だったの? イルカ君、平気で名前、口にしてるし・・・。
でもこれって、イルカ君を部隊長達から、遠ざける必要がない、ってことだよね?


「イルカ君・・・・ 暗部の部隊長の名前まで、知ってるの、どうして?」
「?? みんなが名前で呼べって言ったから。 他になんにもつけるな、って。」
「俺は“暗部の猫さん”って連呼されて“タチだっつてんだろ!”って毎回なったから〜。 それで。」
「オレはコイツが“コウさん”って呼ばれてるの聞いて、イイなーって思ったの。 それで。」
「ははは・・・・イルカ君、火影様の所に入り浸りだし、隊員を知らない方がオカシイよね・・・・。」

・・・良く考えたら守秘義務だ。 イルカ君は個人名まで知っていたのに、ボクにすら言わなかった。
暗部隊員の顔と名前は、よっぽど信用している相手でないと教えない。 何が起きるかわからないから。
ボクが“部隊長”と言ったから? 正式な暗部隊員になった事がわかったから、名前を呼んだんだ。
それまではしっかりと守秘義務を守ってた。 だったらきっと、ボクのコトも部隊長達に言ってない。


「・・・・ん? あそこにたくさん生えてるっ!  わーい! 全部イタダキ!」
「あ、イルカ君!  ・・・・行っちゃった・・・・。」

「ビックリしたよ〜、よりによって、イルカちゃんかぁ。 てんぞーくんって、苦労性だね〜」
「?? よりによって?? 苦労性? まさか男だからとか馬鹿なコト、言いませんよね?」
「んな訳ないでショ。 イルカは駄目なの、まだ14才だし。 今襲ったら、犯罪だから。」
「犯罪って・・・ フケて見られますが、ボクも同じ年ですよ? 何言ってるんですかっ!」

そりゃボクは実験体だから、正式な年齢はわからないけど。 そんな上じゃない、はず・・・。
ひょっとして、ボクの実年齢が判明して、イルカ君より5〜6歳年上なのかな? そしたら待つダケだ。
イルカ君がもうチョット育つまで、我慢しよう。 うん、それで問題解決。 今も、一方通行進行中だし。
う・・・自分で言ったら悲しくなった。 もっと強くなって部隊長を襲名! 目指せ下剋上だっ!!


「暗部のキューピットの名はダテじゃないよ〜? よし、可愛い後輩の為に頑張ちゃうっ!」
「!!! 部隊長! 襲名なんて考えてすみませんでした! ついていきます、どこまでもっ!!」
「ちょっと! どういうコト?! イルカはオレがツバつけてるの、知ってるでショ、コウ!!」
「・・・・・・・は? カカシ先輩が?  なにソレ・・・・ 犯罪って、自分の事ですか?!」

まずい。 あのカカシ先輩と、かぶるなんて。 で、でも、部隊長はボクの味方だ。 ・・・・と思う。
自分で“暗部のキューピット”とか言っちゃう、イタイ人だけど。 頼りになるのは間違いない。
人と人をくっつけるのが趣味なんて、ただのお節介。 けど、部隊長ならそれだけじゃないのかも。

うちの部隊長は人の近い死期がわかる。 小さい頃死にかけて、気が付いたらそうなってたそうだ。
だから部隊長が“そっちに行ったら死ぬかも”と言ったら、暗部の隊員はみんなその道を避ける。

「この裏切り者っ! まだお子ちゃまだから、待っててあげなさいって言ったの、お前でショ?!」
「まぁまぁ、カカシ、抑えて、抑えて。 てんぞーくんをセットでくっつけようと思う。 ど〜お?」
「セ、セットォ?! そんな特売のオマケみたいに言わないで下さいよっ!」
「んー、オレも忙しいから、いつも一緒にいれる訳じゃないしね・・・ ナルホド、悪くないネ。」

悪くない?! 悪いに決まってるっ! だいたい何で、カカシ先輩がイルカ君を? マグロなのに?
先輩は“乗っかりたい男”でも有名。 本人曰く“女がソレでイイって言ってるし”だって。
カカシ先輩がたまに色街へ餌やりに行くと、砂糖にたかる蟻みたいに女が群がって来る。
この顔と体を見た女なら、マグロでもイイという気持ちになっても不思議じゃないよ。 エロいから。


「悪いですっ! ボクはイルカ君を先輩のような、ショタでマグロ男に渡し・・・・ いでででで!
「んー 誰が、ショタでマグロなのかナー。 この耳、ちぎっちゃってイイ?」
「もちろん駄目。 ハイおしまい、そこまで〜。  よしよし、こわかったね〜、てんぞーくん。」
「コウは甘やかすからネ。 やっぱ、戌に入れてビシバシやった方が、伸びると思うヨ?」

うぅ、痛かった。 ボクの耳がもうチョットでちぎられるとこだった、コピー忍者、写輪眼のカカシに。
先輩は、木の葉の上忍の中でも超有名人。 他国の指名手配書上位に、毎年、名を連ねている。
ココまで賞金額があがったら、逆に挑んでくる者はいない。 命という代償を支払う事になるから。

ほんとのコト言われたからって、大人げない。 変な思考のコウ部隊長が、本物の天使に見える。