一目あったその日から 8
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カカシ先輩は忍犬を使って、ボクは森の木々の記憶を覗いて、イルカ君を探した。 灯台もと暗し。
イルカ君はこの森の中にいた。 たぶん小屋に戻る途中だったんじゃないかな。 温泉好きだし。
ツクシを摘んでハカマを取ったから、アクで汚れた手と体を、綺麗にしたかったんだ。 だけど・・・・
「イルカ君・・・・ 寝てる?? 先輩、なんですかコレ?!」
「・・・・・・この霧は、一体・・・ コウ、何だと思う?」
「なんだろうね〜? “死”じゃないコトは確かだよ〜」
イルカ君はある木の根元で、オレンジ色の霧状のモノに包まれて、眠っていた。 ツクシの袋も一緒に。
ソレは座ったヒトが、木にもたれかかっている姿のようにも見える。 膝枕をしているように。
イルカ君の頭に置かれた手らしき部分が、ゆっくりと動く。 まるで、頭をなでてるみたいだ。
世の中には、不思議な生き物がたくさんいるけど、こんな霧状の生き物(?)は見た事がない。
「ニコニコしながら寝てるネー 幸せな夢をみてるのかナ・・・・」
「ホントに。 なんか、起こすのかわいそうですよね・・・・」
「ってことは、コレに触ってみるんだ・・・・ 結構、勇気いるよね〜」
ボクもカカシ先輩も、ヨシ・・・って感じで気合い入れて、ソレに触ってみた。 大丈夫、害はなさそう。
とりあえず、この謎なオレンジの霧を、イルカ君から剥がさなきゃ、起こせないから、つかんでみた。
“チャレンジャーに拍手!!”とか言って、コウ部隊長は高みの見物だ。 手伝ってくれても良いのに。
信じられない事にその霧状のモノは、しっかりとした感触があった。 誰かの腕をつかんでいるようだ。
「う〜ん・・・・ あれ?? 俺、何で・・・・??」
「イルカ君! 良かったっ!! 心配したんだよ?」
「イルカ、いい夢見てたんだネ。 しかし気持ち悪いねぇ、コレ。 皮膚の感触がする。」
「そ、そんな・・・・ 俺の父ちゃんと母ちゃんが・・・・・」
イルカ君は両親の夢を見ていたらしい。 この霧がリアルな夢を見せていたようだ。
霧状のモノの感触は、先輩の言う通り、皮膚のようだった。 温度も体温のように生温かい。
ホントに不思議な霧だ・・・・。 これにヒト型の皮をかぶせたら、人間のようになるかも・・・
「カカシ先輩っ! この霧、もの凄い勢いで形が変化していま・・・ うわっ!!!」
「なんだ、コイツ?! テンゾウ、下がれっ! ・・・・クソッ、イルカッ!!!」
「カカシッ! てんぞーくんっ!! 大丈夫?! !!! イルカちゃん、逃げてっ!!」
「え? え? え? な、なに?! なんなの、これっ!! いゃぁーーーっ!!!!」
霧は二本のロープのように、細長く伸びたと思ったら、その先端が丸くなった。 ツクシみたいに。
さっきまでオレンジ色をしていた霧は、赤い色になった。 なんていうか、その・・・・ アレだ。
形はもうヒト型をとどめていない。 あえて言うなら、先っぽがかろうじて、ある部分に似ている。
男には必ずついているモノ。 そう、ブツとかナニとか息子とか呼ばれている、ホニャララな部分。
・・・・助けたいのは山々なんだけど。 ねえ、カカシ先輩、助けたいですよね? ね?
ボク中忍になって、筆下ろしに連れて行かれたんですよ、三代目に。 廓でお相手してもらいました。
すごく年上のお姉さんで、とっても気持ちよかったです。 あれが、性の目覚めってやつですかね?
え、先輩もそうですか、四代目に・・・・・・って、あなた中忍昇格の時、六歳でしょ?!
「いやー、あの時はナニがナンだか、さっぱりでねぇ。 転がってるダケだったーヨ。」
「カカシ先輩がオスマグロな訳が、やっと理解できました。」
「中忍昇格したら連れて行くのが、当時の決まりだって。 ミナト先生に妥協の文字はなーいヨ。」
「・・・・黄色い閃光。 なんて恐ろしいヒトだったんだ・・・・。」
「・・・・・・絶景。」
「・・・・・・壮観。」
赤い霧状の二本のロープが巻き付いて、イルカ君の胴体は、太めの枝と一緒に、固定されている。
足を持ち上げられ、服に隙間ができた。 そこからロープの先っぽが、スルスルと入っていく。
一本は前、もう一本は後ろ。 腕は頭の上で止められているから、もう首しか動かせない。
あぁ・・・ 桃色に染まった頬が可愛い。 折りたたまれて、ピクピク動く足の先も可愛い。
「あちゃー 欲望という名の魔物に、二年間抑えて来た理性が喰われちゃったね〜」