人生の楽しみ 10   @AB CDE FGH




オレ達が囮の雨隠れを殺しに行った時、イルカは里長宅の裏庭で、すでに仮死状態になっていた。
恐ろしいコトだが、イルカのオリジナル“リアル死んだフリ”はチャクラを使わない。
イタズラが高じて、心臓の血流まで思い通りにコントロール出来るようになった・・・ らしい。
だから小さい頃は大人達を本気でビビらせた。 その才能を他で生かせれば、良かったのにネ?

「やはり、人質は皆殺されておったか。 雨隠れじゃから予想はしておったが・・・。」
「里長は、今度からは直接、木の葉隠れに依頼するって、言ってくれました。」
「お礼まで言われちゃいましたよ。 照れちゃいますね、仕事しただけなのに。」
「・・・なんか、イイですネ、ああいうの。 多少、汚しても寛大でしたヨ。」
「うむ。 皆、ご苦労じゃった。」

アラシは川の国に雨忍を届けに行ったから、まだ帰ってこない。 ま、新人の教育って事で。

せっかくいいコトしたかナ〜って思っても、だいたいが、怖がられたり、嫌がられたり?
劇中劇作戦は何度もしたけど、今回のように感謝されたのはハジメテ。 ちょっと感激したヨ。
潜入員が、イルカが里長の印象を和らげてくれた。 オレ達だけならあんなに和まなかったモン。

ホント、イルカって不思議。 どんだけオレ達を骨抜きにしたら、気が済むんだろう。
オレとテンゾウが仮死状態のイルカに血でハートマークをほっぺに描いたのネ? なかなか上手に描けた。
そんなオレ達の力作を“偶然って凄い”のひと言で終わらせ、チャッチャと消しちゃうぐらい鈍感。
なのに。 そんな可愛くない反応が可愛いなんて・・・・ こりゃ、かなり重症ダーネ。


「じゃ、オレ達はもう帰りますヨ? 猫と遊ぶんだから。」
「三代目、今度は邪魔しないで下さいね? さぁ、イルカちゃん、帰ろ?」
「げ、まだ言ってる! お、俺は着ませんからね、そんなモン!! ノー、サンキュー!!」

「まあまあ、駄々こねると、あの姿のままで散歩だヨ? もちろん抱っこでネv」
「断固拒否! 断る!!  ・・・・って、言っても・・・ 無駄なんですよね?」
「そう、無駄に抵抗したら倍返し。 ちょとずつ学習してるね? エライ、エライv」
「うぅぅうぅ・・・・・ 着ればいいんでしょ、着ればっ!」

オニゲシは良質なモルヒネがとれる。 オレ達忍びに効き目は薄いが、その有効利用は麻酔薬だ。
それを悪用すると、大麻薬が精製出来る。 こっちは中毒性がある為、オレ達忍びでさえ手を焼く。
中毒になると、抜くのに一週間はかかる。 ま、一般人なら人生の破滅、決して抜けだせないヨ。

オレ達は、清水チャクラの中毒、もうアレがないと生きていけない。 イルカはオレ達の麻薬なの。
こんな和む麻薬なら一生抜けなくてもイイ。 むしろ死ぬまで摂取し続けたい。 重度の常習者だネ。


イルカに会うまで、なんで死んでもイイって思ってたんだろう。 死んだら何もかも終わりなのに。
あの声を聞く事も出来ない、抱きしめてももらえない、美味しいご飯も食べられない。
木の葉きってのエリート、向かうところ敵なしだったオレ達。 それは里を背負ってるというコト。
死んだら、周りを悲しませるダケ。 こんな簡単な事に気付かなかった。 テンゾウもオレも。

「ごめんイルカ、先に帰ってて? ちょっとダケ用事を済ませてくるから。」
「え? (ラッキー! じっちゃんの所に隠れていよう!) 分かった、先に帰ってる!!」
「・・・ボク達すぐ戻るよ? その家に時いなかったら・・・・ わかってるよね?」

「う・・・・・うぅ・・・ この、変態エロ兄弟っ!!  わ〜ん!!」

イルカは半泣きになって駆けて行った。 あぶない、外なのに犯してやりたくなった・・・。
帰って人生を楽しむ前に、部下を生き残れる暗部に軌道修正してやらなければならない。
部下達を監督するのもオレ達の役目、アイツらのタルミは自分達のせいだ。 カツを入れてこよう。

フフフ! ねぇ、どう思うテンゾウ。 イルカさ、ちゃんとキグルミ着て待っててくれるかな?
イルカには犬の方が似合うと思ったケド、猫も楽しみになってきたヨ。 マンチカンのキグルミ!




「はて? ・・・・・・あやつら・・・・ 猫なんぞ飼っておったかのぉ・・・・?」
「ただ今戻りました!」

「おお、アラシ、ご苦労じゃった。 して、川の国には・・・・。」
「はい。 雨忍を投げ入れてきました。   では、おれはこれで・・・。」
「またんか、報告書をだせ。 お主が提出すると、あヤツらが言っておったぞ?」
「は?! またおれですか??  ・・・・・分かりました、書いて提出します・・・・。」


「うむ。 確かに受け取った。  ・・・・ほれ、帰ってよいぞ?」
「火影様、お願いがあります。」
「なんじゃ? 申してみよ。」
「・・・・おれの配属部隊、猿か酉で、お願いします。」

「ほほほほ。 わかった。 もともと鷹の目一族じゃから、酉部隊にと、考えておった。」
「よ、よかった・・・・。 戌か猫に入ったらパシリ決定でしたよ・・・・。」
「ほほほ、いい勉強になったとみえる。 この短期間で目覚ましい成長じゃ、アラシよ。」
「・・・・はい。 火影様のご期待に添えるよう、酉部隊で頑張ります。」
「うむ。 部隊長達のように、必ずや、生きて木の葉に戻って来る暗部になれ。」
「はい!!」




アラシ君(裏の主人公:笑)は、部隊長達に感化されて立派な暗部隊員へと成長するのです。   聖