人生の楽しみ 4
@AB
DEF
GHI
ここは、ボクが木遁で作り出した小屋の天井裏。 外から見たら、ただの古ぼけた空家だ。
感知タイプの忍び用に、チャクラを飛ばして探ると、中の生体反応が鼠に見える様にしてある。
アラシには、ここから御燈の里の様子を観察してもらう。 あいつは鷹の目一族のヤツだから。
「ここから読める?」
「はい、大丈夫です。」
「ん、優秀、優秀。 んじゃ、ヨロシク。」
「雨隠れの本隊に、作戦は成功していると思わせたいから、ボク達は出かけるね。」
「潜伏中の雨忍を何人か、始末して来るヨ。 小出しにやらないと時間稼げないモンね。」
「了解です。 いってらっしゃい!」
鷹の目一族は、遠くからでも獲物に焦点を当てる事が出来ると言われている。 守備の要だ。
多くは、おもに外界の監視要員として、火の国の国境付近の守備を任されている。
その一族から暗部入りは稀だ。 アラシの様に突出した特技があれば、忍びとしての幅が広がる。
ボクもカカシ先輩も、彼にはおおいに期待している。 きっと、三代目も。
だからあの時、ボク達の支援に寄越したんだ。 ジンさんと、ハスナさんだけで大丈夫だったのに。
あのふたりから、何かを学ばせようと、考えたからかもしれない。 今の彼を見て確信した。
アラシは、生き残れる強い奴に成長する。 この前と今とじゃ、任務への姿勢が、まるで違うから。
「先輩、アラシ、猫部隊にくれませんか? なかなか楽しみな人材だし。」
「え〜、ジンになついてるんだヨ? 当然、戌部隊でショ。」
「先輩んとこは、これでもかってぐらい、人材いるじゃないですか!」
「テンゾウのとこだって、いっぱいいるジャン。 ハスナだって・・・・ あ、今、水の国か。」
そんな日常の会話をしながら、敵を殺す。 ひとりづつおびき出して片づけた。
派手にやり過ぎると、ボク達のほうが強いって、バレちゃうからね。 適度に逃げて、追わせる。
潜入部隊だったらもっと上手なんだけど、ふたりしか発見できませんでした・・・みたいな感じで。
この里に潜伏している雨隠れは、全部で12人。 さっき走り回って、チャクラを確認できた。
あんまりダラダラしてても、作為的に取られちゃうから、今日はこれで引きあげよう。
「タダ―イマ。 何か分かった?」
「お帰りなさい、だいたいの事情は呑み込めました。」
「わー、アラシ呼んで、大正解!」
「人質をとられています。 全ての住民の家から一人ずつ。」
「なるほどネ。 雨隠れに、協力せざるを得ない状況だったんダ。」
「凄い速さで情報収集できたね。 さすが鷹の目一族だ。」
だけど・・・ 雨隠れにしてみれば、この里の民も捨て駒。 人質が全員無事だとは考えにくい。
信憑性を持たせる為に何人かを残しておくかもしれないけど、最悪の場合、既に全員殺されてる。
御燈の里長に協力してもらうのが、一番良いんだけど、ボク達は暗部として面会済みだからなぁ。
こんな時あらためて、すぐ民間人の中に溶け込める、潜入部隊のありがたさを感じる。
里長には、川の国と同盟を結んだので、雨隠れの討伐には協力できないと、はっきり断られた。
御燈の里長は、雨隠れに協力すれば、人質は無事に帰ってくると、思い込んでる風だった・・・。
人質の生存率の低さ、その後里がたどるだろう運命を、何としても伝えたい。 どうするかなぁ。
影分身を出してもイイけど本隊の殲滅に備えて、出来るだけチャクラを温存しておきたいし。
ボクじゃ、もういい案が浮かばないや。 カカシ先輩に聞いてみるか・・・。
「これから、うみのさんに連絡するんですけど、なんて書きます?」
「はぁ? なにいってんの、お前。」
「イルカちゃん? ・・・どういうこと??」
「え・・・ あれ? も、もう知ってるものとばかり・・・・。」
イルカちゃんが・・・ 潜入員が御燈の里に入っていたなら、アラシの情報収集の速さも頷ける。
里長と自然な形で接触して、色々な問答をしたんだろう。 それとわからないように。
アラシは唇を読み、イルカちゃんからの報告を受ける。 三代目が早々に手を打ってたんだ。
イルカちゃんがアラシと一緒に来たなら、どうして気付けなかったんだろう。 ・・・なんで?!
「イルカが御燈の里に潜ってんの?! 嘘だろ? オレがチャクラを見逃す訳がない!」
「イルカちゃんのチャクラを感じ取れないなんて! ボク達の愛が足りないの?!」
「いや、あの・・・ 火影様からの式・・・・ 届いてませんか?」
「「来てない!!」」