愛しの天敵 12   @AB CDE FGH IJL




なんたる醜態! 牽制しまくって、木の葉史上最恐の暗部黄金時代とまで言われる様にしたのに!
昨日の敵は今日の友、よもや旧天敵に恋するなんて、ミナト先生やクシナさんでも思うまい。
捕虜モノの小芝居の時に見た乳首にドッキリした時点で、こうなるコトも予想しておくべきだったヨ。
一瞬でも野郎の乳首が気になったのは、うみのイルカの乳首だったから! おバカ炸裂じゃないのっ!

部下達はオレ達の心の変化をオレ達自身より早く感じ取ってたんだネ、それこそ状況の先読みだヨ。
いつも口を酸っぱくして教えてきたの。 状況の把握と先読みこそが戦場で生き残る道だぞ、って。
アイツらはオレ達の教えを理解して実行してたんだネ、ストレス解消にボコってごめんヨ・・・・

・・・・と、心の中だけで謝っておく。 だって今更、惚れちゃったv なんて言えるワケないもん。
アレはアレ、ソレはソレ。 で、コレはコレ。 実戦組手は部下の鍛錬に役立ったからイーブンだし!
うみのイルカの謎の価値観じゃないケド、今回のコレはオレ達にとって貸し借りじゃないからネ?

「ボク達が幸せならボク達の部下達も幸せ。」
「オレ達の幸せだから当然、オレ達も幸せ。」
「「ついでに今ならもれなくうみのイルカも幸せ。」」

暗部の長達の幸せに貢献するのは部下としての通常行動、アイツらも自分で言ってたじゃないの。
そんな部下の好意を無にするなんて、ソレこそ暗部の長として一番しちゃいけないコトだよネ?!
仲間が切り開いた血路を無視するなんてあり得ないもん、お前らの犠牲は無駄にはしなーいヨ。
・・・・・・・ヤ、死んでないし、ココは四面楚歌の戦場じゃないけどネ? そういう気持ちってコト!







こんな期限ギリギリの瀬戸際になって気付くなんて。 もうあと何日もないヨ、どうすんのサ。
うみのイルカめ、勝手にオレ達の私生活にズカズカ入り込んでトンズラこくだって?! させるかっ!
だいたい、元々の印象が悪すぎ。 最初から可愛いく誘ってくれば問題はなかったのに・・・・・

「テンゾウ、ヤツの記憶が浸透するまで、あと何日もないよネ? チャンスは転がってたのに!」
「ええ。 何度も浮きは引いていたのに。 釣竿に食いついてる魚をバラす事になりますね。」
「「・・・・・・・・・・・ちっ!」」

オレ達は木の葉の暗部、司令塔。 部下の期待には必ず応えて来た、鬼仕事が出来る忍びだヨ?
釣竿の餌を食ってる魚を何度もバラしてただなんてどんな釣り名人?! ヤ、釣り名人じゃないケド!
考えれば考えるだけ、自分達の鈍感具合と無神経でマイペースなうみのイルカに腹が立ってきたヨ!

「駄目です、カカシ先輩! 熱くなっては勝機を逃がします!! クールダウンです!」
「そ・・・そーだったネ。 こと、ヤツに関しては冷静なはずのスーパー優秀な頭脳が・・・・」
「ええ、怒りは周りを見えなくする要因です。 カッカしてしまったら奴の思う壺です。」
「ウン。 ペースを乱されっぱなしじゃ性に合わないよネ?! 冷静に、冷静に・・・・」

「「・・・・こういう時は深呼吸っ!」」
「 スー ハァー ・・・・・ ヨシ! だいぶ落ち着いたヨ!」
「 すー はぁー ・・・・・ はい! 冷静沈着なボク達です!」
「「追い詰めた獲物を逃がすもんかっ! それが黄金コンビッ!!」」

・・・・オレ達ダテにトップツーって言われてるワケじゃないの。 暗部の司令塔を舐めんなヨ?
フフフ・・・・ 相手の弱点を突くのは戦略の基本。 ヤツの性質と謎の価値観を大いに刺激する!
退路を断ち敵を追い込むのは大得意。 テンゾウも言った通り、念書を書かせてゲットだ作戦!!
本人直筆の血判つき念書を自分宛てに書かせるコト。 チョットどうなのヨ、この完璧な戦略。

切り札を渡すとヤツは・・・・ これは俺宛ての俺の手紙? この一か月間の記憶を失ったなんて!
俺が忘れたせいで、お二人に淋しい思いをさせる訳にはいきません! ・・・・99・9%こうなる。
うみのイルカが今の記憶をスッパリと忘れても恋人にする方法、これぞヤツ限定の追い込み作戦!







妙に興奮気味で家の窓をブチ破ったら・・・・・ というか、木遁ですぐ直してくれるからネ、つい。
テンゾウがいると器物破損の心配する必要ないから、扉とか壁とか窓とか壊しちゃうのヨ、いつも。
ヤ、そんなコトよりも、ここ三週間ばかり真っ先に出迎えてくれてた恋人(仮)の姿が見当たらない。

アレ? いつもなら破壊音がすると『お帰りなさい! 見て〜w』って、ヤツがすっ飛んで来る。
フワフワのガウンを羽織り、ポールダンサーばりにチビチビとずらして楽しませてくれたりすんのヨ。
影分身変化のプチ食べ物シリーズがお目見え、本日の乳首隠しを披露してくれる。 どーいうコト?!
ふと見ると、ちゃぶ台の上に “うみのイルカ様”と書かれた一通の封筒があった。 ・・・・書状??

「呼び出し? ここに奴が居る事を知ってるのは三代目と部下達だけ・・・・ ですよね??」
「ウン。 ・・・・・ヤツ宛てだけど読んでもイイよネ? 今は一応オレ達恋人同士だもん。」
「「・・・・なになに? 【あうんの門でお待ち申し上げる  イタチ】 ・・・・はあ?!」」

なんで今更・・・・ ねぇ、イタチは一族虐殺の汚名を着て潜入任務に出たんじゃなかったっけ?
戻ってくるのメチャメチャ速くない? それより、なんでうみのイルカを呼び出・・・・ アッ!
もしかしたら瞳術をかけ損なったのが悔しくてサ、もう一回かけ直すつもりかもヨ?
うちは一族の期待の星、エリート中のエリートだったもん。 プライドが許さないんじゃないの?

「イタチが術をかけ直したら、記憶の残像すら残らないじゃないですか、奴は中忍ですよ?!」
「せめてデジャブ的な感覚だけでも残んないかと思ったケド、それすら無理だネ、中忍だし。」
「「完璧主義だからな、イタチは・・・・・・」」

あのイタチが記憶操作の術を中忍にまともにかけたとしたら、速攻で脳内の情報整理が終わるヨ。
うちは一族粛清の事は綺麗サッパリ忘れて元に戻る。 前はたまたま、とっさに術を発動しただけで。
・・・・・当然今のオレ達との生活のコトも。 だってイタチは秘密の情人だと信じてるだろうカラ。
義理堅い後輩は、オレ達の為に早くうみのイルカを元に戻さなきゃ、って思ったのかもネ・・・・・

・・・・・・今の記憶の欠片だけでも残んないかなー、とか。 念書を書かせるぞ! とか。
そんなどころの騒ぎじゃなかったネ。 オレ達が門をくぐってきた時はナンにも異変はなかった。
だからきっと、うみのイルカは呼び出され済だと思う。 ってコトはヤツは火影室に居るはず・・・・。


オレ達は確かに書状を手に入れた。 でもヤツ自身に書かせたモノじゃなく、イタチの呼び出し状。
せめて本日の乳首隠しがナニか知りたかったナーって思うのは、変態じゃなく男の性だよネ? ネ?