呼びかけの間 10
@AB
CDE
FGH
JK
危うく勘違いしそうになった。 てっきり、大人の玩具の詰め合わせ木箱が未練の要因かと思った。
でも彼の性的志向がそういうのに凝る人で、本人が全然気にしないなら、それを気にするはずはない。
あの部屋の隅に置いてあった観葉植物。 突然ツルが伸び出して、俺に向かって来た。 あれだった。
ひょっとしたら心停止の原因も、あの植物だったのかも。 俺は忍びだから驚かなかったけどな。
“ここから出して”欲しいのは、あの危険な植物。 自分の二の舞を起させたくなかったんだ。
他の従業員がこの部屋に寝泊まりしたら危ないって、皆に警告をしたかったんだ、そうだよ・・・・
もう安心して良いよ、俺の情人のふたりが伐採してくれた。 あの土の中にある根も処分するからね?
またもや任務協力のご褒美に、俺を強請られた。 もっと欲張って良いのに。 暗部の司令塔なのに。
欲のないふたりは、ご褒美にいつも俺を強請る。 だから俺はふたりの喜ぶ顔が見れるなら何でもする。
凄く嬉しそうに玩具を並べ始めた時は、まさかと思ったけど。 そのまさかで、全種類を入れられた。
カカシさんの選んだ玩具の次はカカシさん本人、テンゾウさんの選んだ玩具の次はテンゾウさん本人。
一つと一人がセットになって、交代で入って来た。 ふたりとも凄く楽しそうだったから俺も嬉しい。
で、どれが一番気持ち良かった? って聞かれたから、カカシさんとテンゾウさんのを握ったんだ。
だって、どれが・・・・・ って言われたから、もちろんふたりのモノが気持ちよかったに決まってる。
「「・・・・・・・・・・イルカ?」」
「えっと・・・・ 俺が一番気持ちよかったのは、コレとコレです・・・・」
「「 ・・・うがぁーーーっっ あぁぁぁおおおーーーおっっっ!!! 」」
もの凄い雄叫びと共に、俺の記憶はそこで途切れた。 ・・・・・で、今のこれは・・・・ 夢・・・・??
君は誰?? もしかして、助けを求めてたのは、君なのか?? そうだろ? 俺はね・・・・・
「ありがとうございましたイルカさん。 おかげで僕の夢が叶いました」
「? ああ、あれだね。 もう心配はいらないよ、明日にでも根を焼くから。」
「くすくす・・・・ 違います、くすくすくす・・・・・」
「ん?? あの危険な観葉植物を、この部屋から出してほしかったんじゃない・・・・ の?」
彼は言った。 自分は生まれつき心臓が弱く、ハードなセックスに耐えられない体だったと。
自分が激しく動くのは、とてもじゃないけど出来なかったから、女性には物足りないと言われた。
でも気持の良い事が好きだから、ここで働いて楽しんでいた、自分のペースで性生活を送っていた、と。
で、いつか3Pするのが夢だったらしい。 その前に心臓発作で死んじゃったけど、と微笑んだ。
「ミッキー&ツバメの写真みたでしょう? 僕大ファンだったんだけど」
「うん、大事そうにしてあったからそう思ったよ。 家族に届けるね?」
「出来れば彼らのような、カッコいい男の人ふたりと3Pをしてみたかったんだ」
「・・・・・・うん。 カカシさんもテンゾウさんもカッコいいもんね?」
「ふふ、皆さんのおかげで疑似体験できた。 もう思い残す事はないよ、ありがとう」
「あ、あれ、本当はなんて言ってたの? よく聞き取れなくて、その・・・・ 色々誤解しちゃった。」
「“出してココに、お願い、かけて”・・・・いっぱい出してかけてくれて、ありがとう」
「“出してここから、お願い助けて”てっきりそんな言葉だと。 違ったのか・・・・ ははは・・・・」
なんかちょっぴり同情しちゃった。 俺は忍びだからさほど感じなかったけど、3Pは凄い事なのか。
確かに俺の情人達は凄いけどね、俺いっつも気持ち良くってポロポロ泣いちゃうぐらいだし。
でも一般人の、それも体の弱い人には耐えられないほどハードなモノなんだ。 憧れの3Pか・・・・。
そうだよ。 健康な体で好きな人と好きな事できる・・・・ それって幸せな事なんだよ、うん。
「じゃあ、もう逝くね? ほんとにありがとう。 Hな恋人達にもよろしく」
「あ、うん、伝える。 今度は健康な体に生まれて、思う存分楽しめよな?」
凄く満足した顔で彼は消えた。 意識が鮮明になりパチリと目を開けると、そこは部屋の風呂場。
俺も風呂大好きだけどコレはちょっとな? の、この部屋の中に設置してあるガラス張りの浴室の中。
好みは人それぞれ。 このガラス張りの浴室が気に入ったから働きにきてたのかな、あの彼は。
俺はふたりにバスタオルで拭かれているところだった。 どうやらお風呂に入れてくれたらしい。
え、なんで? もう起きちゃったの? あんなにトンでたのに? やっぱり風呂場でもヤレばよかった。
その台詞から、まだし足りなかったんだな、って思った。 でも我慢して俺を洗ってくれたんだ・・・・
つい嬉しくって抱きついた。 ありがとうございました、お二人のおかげで今度こそ任務は完了です、と。
あの観葉植物の突然変異は、ひょっとしたら・・・・ あの彼の魂の、不思議なパワーに刺激されたのかも。
きっとそうだよ、可哀想な事をした。 後でテンゾウさんにお願いして、似た植物を生やしてもらおうっと。