草狩り忍 1   ABC DEF GHI J




オレはサ。 自慢じゃないけどモテるんだよネ。 強いし? 上手いし? 金持ってて顔もイイしネ。
カカシのテクにかかったら五秒で濡れちゃうv なんて玄人さんにも言われまくったりしてるワケ。
女にしてみたらこれ以上ないほど優良物件なのは分かるヨ? でもネ、皆、俺の表面ばっかり見てる。

オレの目、チャクラ消費が大きいから、なるべく余所で動きたくない。 咥えてもらうダケでイイの。
休日は忍犬達を呼び出して、ブラッシングをシャカシャカしてあげたいホド、超愛犬好きだったりネ。
オレの愛読書 イチャパラの発売日とセックスが重なったら、間違いなくイチャパラ発売日を取るヨ。
こんなオレでもイイ? って聞いたら、十人が十人、絶対引きつった顔でいいわよ? ってなる。

ンー オレ意外とそういうトコ気にすんのヨ。 ソレ本気じゃないよネ? って、ミエミエのヤツ。
忍びなんてサ、嘘を見抜かれたら終わりでショ? なのに引きつった顔で笑われてもねぇ。
スルーして一発ヤッちゃえば、そんなの気になんなくなるのかもしれないケド。 ダメなんだよネー。

忍びの仲間、特にクノイチは最悪。 一瞬引きつった後、綺麗に笑顔作るから興ざめもいいトコ。
だから遊ぶのは玄人さんだけなんだケド、こんなオレでもOKよ? な、骨のある女がいなくてサ。
さっきも言ったケド、嘘に敏感っていうのはオレ達の習性みたいなもんでショ? だからネ・・・・
玄人さんは、忍びっていうだけでもう先入観持ってる。 ンー うまくいかないよネー、ホント。


「ねぇ、ちょっと! イルカちゃん、聞いてる?」
「くすくす、木の葉の忍びの優良物件が愚痴るなんて、凄いなー な感じで聞いてますよ。」
「だったら。 今日こそコレ飲んで。 たまにはちゃんとつき合いなさいヨ。」
「分かりました、聞いてみますね。 ・・・・マスター! ご馳走になってもいいですか?」

オレ達木の葉の忍びは花街で大歓迎される。 ここはその火の国の花街の中にある、小さなスナック。
大金を水のように使ってくれる忍びは極上客。 おひざ元だからすぐに足が付くし悪さはできないしネ。
いつものように遊んでたら面白い噂を聞いた。 玄人さん達が、閉店後こっそり行くお店があるらしい。
なんでも、命の洗濯をしに行くとかなんとか。 ナヌ? プロの方々が通うお店? 当然気になるでショ。

んで、こそっと店を抜け出した遊女の後を、忍びらしくこれまたコッソリつけてつき止めたのがココ。
《木の実》はカウンターに八席あるだけのスナック。 見るからにこじんまりしてて温かそうな雰囲気。
古い木目のカウンターやゆったり座り心地の良い椅子は、忍びのオレでもホッコリと落ち着いちゃう。


「カカシさん、一杯にして下さいよ? イルカはその・・・ あんまり褒められる酒癖じゃないんで。」
「ンー 平気。 オレ忍者だし。 フフフ、少々酒癖悪くても返り討にしちゃう自信あるし?」
「あはは! そういうのじゃありません。 でも・・・・ まぁいいか。 通って下さってるしね。」
「飲めば? って言ってるのに、マスターの許可がないとダメなんて。 従業員なのに可哀想だヨ。」

我慢強く観察して、出て来た遊女の顔を見た時、驚いたのなんの。 生き生きとしちゃってるのヨ、目が。
ナニ事?! あんなに虚ろだった目が、希望に満ちた目になっちゃうの? ものの小一時間ホドで?!
オレはピンと来た。 コレは、忍術でショって。 別に木の葉の潜入員がどこの町にいようが驚かない。

店にはマスターと従業員のふたりだけ。 どちらかが木の葉の潜入員なんだろうな、なんて思ったのに。
二人ともチャクラのチャの字も感じないし、チャクラをぼかすモザイク香や店を守る結界もない。
なんで? この店って・・・・ もしや本当に唯のスナックなの?! んで、ついつい通って今に至る。
マスターと店の従業員はどちらも聞き上手。 ついね、本音を漏らしてみたり・・・ネ。

心の洗濯ってどんななの? いやいやオレの知らない忍具が開発されてるだけで、お仲間なんでショ?
三代目はプロフェッサーと呼ばれるぐらい、術や忍具の開発に命懸けてるもんネ、モザイク香改とか?
いろんな考えが浮かんでは消え、消えては浮び、通い始めてはや一ヶ月。 まあ、毎日ではないケド。


「ではマスターのお許しが出たので、俺もご馳走になります、頂きますね、カカシさん。」
「ドーゾ、ドーゾ。 なんだったら新しいボトル開けて? イルカちゃん飲酒解禁記念に。」

「おー 聞いたかイルカ。 ボトル追加だ、よしおれもじゃんじゃん加勢するぞ!」
「チョット、マスターはいつもガバガバ遠慮ナシに飲んでるでショ? まだ加勢する気?!」
「ふっふっふっ、甘いですよカカシさん。 おれの本気はこんなもんじゃありません。」
「ワーー ウチの里のアスマと紅みたいな大酒飲みのオーラが出てきた・・・・」

ここは本当に居心地がイイ。 例え潜入員であってもなくても、気取らないマスターと従業員のいる店。
オレ達忍びが寛げる店っていうのは、意外に少ない。 遊ぶのと寛ぐのとでは、意味が全然違うから。

・・・・ン? 日頃を忘れてゆったりと? コレって俗に言う、命の洗濯ってヤツじゃないの?!
あら、ま。 オレ、ハマっちゃってるヨ。 木の葉の忍びだと構えない接客とこの厚かましさに。

チョット? マスター、あんたマジで遠慮してたのネ? その飲酒スピードは見覚えあるヨ、オレ。
ウチの里の夕日紅って中忍のクノイチが、まさにそんな感じ。 酒好きのアスマが一瞬で惚れたの。
オレでもせいぜい自来也級ヨ? 間違いなく、肝臓の機能が伝説の六道仙人級でショ、アンタら。