草狩り忍 5   @AB CEF GHI J




今やすっかり猫部隊長として頼もしくなっちゃったテンゾウは、オレが戌部隊にスカウトしたかった男。

九尾襲来から一年ぐらい経ったある日、オレ達四人が三代目に呼ばれた。 暗部に入れる新人の話で。
今までは暗部待機所に・・・・ ア、ちなみに火影室だヨ? 火影室の天井裏が待機所になってんの。
だから三代目がひと声かければ、いつでも暗部参上、ってワケ。 ン? ナニ思い出してたんだっけ?


そうそう。 新人入隊者は、天井裏に自分から入って来て、何か特技を披露するのが習わしなんだケド、
ナゼかオレ達四人が呼ばれた。 だから、こりゃー 三代目の秘蔵っ子が入るんだな、って思ったネ。
聞けばあの大蛇丸の生体実験の被験者で、唯一の生き残りだって。 大蛇丸は失敗だと思ってるとか。
初代火影の細胞を人の子に移植して、木遁チャクラを生み出す実験。 でも実験は成功してたらしい。

三代目は、暗部ならナンでもアリだから目立たない、ワシって超天才! って、得意げに話してた。
そうネ、もし木遁秘術を見た者がいたとしても、ソイツは生きて誰かに喋るコトはない、必ず狩るし?
ま、オレ達の中に紛れ込ませれば、全然目立たないヨ、安心して下さいナ。 んで、お披露目終了。

その中でテンゾウ本人だけが申し訳なさそうに“特技みせるんですよね確か”って、盆栽出してた。
三代目は拍手喝采。 ンー、一生懸命考えてきたんだネー と、オレ達も温かく拍手で迎えてあげた。
オレ達の拍手は、面白かったヨー、っていう歓迎の挨拶。 くだらなかったら千本を飛ばしたりする。
アレでますます暗部は、イワク付きの部隊になっちゃったのヨ。 ま、チームカラーってコトで!



オレ達四部隊の部隊長は、それぞれ超イワク付きの忍び。 他里のヤツだったり、親殺しだったり。
死を感知するヤツだっていた。 オレも裏切り者の子ってコトで入れられたし。 でもそれはサ・・・・
オレ達を内外の忍びの目から隠す為でもあったんだよネ。 すぐ自画自賛する三代目は、言ったもん。

『そんなもん気にせん里にワシがする! 他の奴らがぐうの音もでないほど働きまくれば良いのじゃ!』

ヤ、別に元からそんなの気にしてないし? ただいつもの様に、サクサク働いてただけだった。
オレ達は暗部の部隊長に任命された当時のまま、ナニも変わらない。 変わっていったのは周りの方。
フフ、ホントにその言葉通りになった。 いつしか四天王なんて呼ばれてサ。 今では里の誉らしいヨ?


三代目の秘蔵っ子はかなり使えるヤツで、出来ればウチに入れたかったのに。 持って行かれた。
その当時の猫部隊の部隊長に。 忍犬で釣ったり色々画策したケド、全部無駄に終わったのヨ。
衝突をノラリクラリとかわすヤツだった、 機が熟すのを待ってたんだ。 まさに“猫”って感じで。
三代目のコネにアグラ掻かないで、ちゃんと一芸考えてきた真面目ボーイだったもんネ、やられたヨ。

『猫班に決まったから頑張ってね〜 って言ったv  ふふふ、甘いよカカシ。 先に言ったモン勝ち〜』

今でもアイツのしてやったりの顔を忘れないヨ。 テンゾウはそんな“先代猫”が目をかけてた男。
違う部隊のオレにも懐いてたし。 部隊長を襲名するに当たって、花街での遊び方も教えてやった。
そのテンゾウがなんと、花街のある店にオレを連れて行きたいらしい。 さては惚れた相手でも出来たな?



「カカシ先輩、今度つきあって欲しいお店があるんですけど、時間取れます?」
「ホー ついにテンゾウもオレに開拓地を教えるまでになったか、ヨシヨシ。」
「先輩が一ヶ月ぐらい前、張り込んでた店で、開拓地じゃないです。 ボク、入ってみたんですよ。」
「一ヶ月前に張り込み?? そんな任務、記憶にないケド・・・・・・ ア! ひょっとして?」

オレが一ヶ月ほど前から通うようになった店がある。 スナック 木の実だ。 ハハハ、アレ見てたの?
そうそう、命の洗濯だーヨ。 オレもその噂聞いたから、つい遊女の後をつけて行ったんだよネ。
あそこの良さが分かるなんてヤルねぇ。 うん、ほっこりするんだよネー。 媚びないしサ。
アソコ、木の葉の忍びは貸し切りにしてくれるしネ。 フフフ、だから鉢合わせしなかったんだ?

ン? でもマスターとイルカちゃんしかいないから・・・・・ テンゾウの惚れた相手って・・・・・
アチャー。 どうするか・・・・ オレ、テンゾウと仲イイしネー。 ワー こりゃ、オレでも悩むな。

コウ、お前ならなんて言う? “ゴメン、テンゾウ。 イルカちゃんはオレのコトが好きなんだーヨ”
なんてサ。 タダでさえいつも、キープ君扱いはゴメンです! って怒るテンゾウにホントのコト言う?

“そうやっていつもオイシイとこばっかり持っていくカカシ先輩なんか大嫌いだー” とか絶交されたら?
“ボク、暗部引退します。 他の部隊長を信用できなくなりました” なんて三代目に愚痴られたら?
テンゾウが出した盆栽を今も大事に育てているコトは承知の事実。 だって三代目、初代様フェチだし!

テンゾウ、恨むなら・・・・ オレのコトが大好きでメチャ愛しちゃってるイルカちゃんを恨んで?
ア、イヤ。 オレのコト好きなだけだし? イルカちゃんは別に悪くない、恨んじゃ可哀想だヨ。
素のオレ込みで、あそこまで思ってくれてるだけだもんネ・・・。 チョット、どうすんの、マジでっ!!