オセロゲーム 1
ABC
DEF
GHI
J
「え、猿魔っ ?! 久しぶりーっ!!」
「猿飛が心配して、わしを呼んだんじゃ。 しかし・・・ お前、仮にも中忍じゃろ?」
「・・・仕方ないじゃないか、病人がいるって言うから・・・」
「他国では女、子供、老人であっても信用するなと、猿飛にも言われておるだろ?」
わしはそう言って、イルカの頭をワシワシとなでてやった。これが色気たっぷりの雌なら役得じゃ。
おお、みごとに剥かれておるワイ、イルカは真っ裸に等しい恰好で、わしに抱きついてきた。
半ケツになっておるが、パンツはひっかかっとるようじゃ。 何をされそうになってかは、一目瞭然。
イルカは少し前、ストーカーにあってたらしい。 もう少し警戒をしてもいいと思うが・・・
「どうせ、病人が奥に寝ているから、忍者さん診て下さいとでも、言われたんだろ?」
「そう。 何でわかるの?」
「・・・・・・・・。 で、その女は何日か前にお前に助けられた。」
「うん。顔に、まだ新しい火傷があったから、治してあげた。」
「新しい火傷とな。水ぶくれで気持ち悪いグチャグチャの顔を、触って綺麗にしてやったと?」
「俺の医療忍術でも、大丈夫そうだった。 まだ治せる感じだったから。」
「・・・・そりゃ、泣くほど嬉しかっただろうなぁ。」
「民間人だし、むやみに殴れないじゃないか・・・。」
中忍を押さえ込める民間人などいる訳がなかろう、そりゃ敵の変化じゃ!!
わしは思いっきり、心の中でツッコんだ。 敵に好かれる才能なんて、なくて良いんじゃ!
イルカはわしが駆けつけた時、裸に剥かれて襲われておった。 昔はそんなことなかったんじゃが。
忍びの一生は儚いからの、刹那の中で出会った清い魂を、手に入れたいと思うのは当然じゃろう。
わしが如意棒でノシてやったこの女は、多分クノイチ。 己の体で絡め取ろうとしたんじゃろなぁ。
クノイチの寝技にハマったら、ほとんどの男はもうそいつから、放れられんからな・・・
任務地で敵の忍びに、親身になって世話されたら、砂漠の中のオアシスに見えても仕方がない。
例え正体を知っても、女性の顔に火傷が残ってしまうのはダメだ、とか言って、同じ結果を生むじゃろう。
もうチョット強ければ、問題はないんじゃが、がんばって中忍に毛が生える程度じゃしなぁ・・・
程よく弱いところも、敵の捕獲欲を煽るんじゃろう。 抜けとるし。 涙もろいし。
・・・ありゃ? なんでコイツ外回りなんじゃろ?? どう考えても内勤の方が向いとるように思うが。
まあいい。とにかくそんな訳で、イルカは間一髪、他里のクノイチ誘惑の危機から逃れた。
「・・・・猿猴王、猿魔様にお願いがあります!」
「ん? なんじゃ、改まって・・・気持ち悪いのぉ・・・・」
「・・・・・・尻尾、触ってもいいデスか?」
「・・・ちゃんと確認するようになったか。 ホレ、良いぞ触っても。」
「やった!! フサフサで、モコモコ!」
以前、いきなりわしの尻尾を鷲掴みにして、ブッ飛ばされたのを覚えておったか。懐かしいの・・・
ちゃんと許可を求めてきたのは、成長のあかし。 コレも、愛の鞭。 わしの教育の賜物じゃ。
“ずっと触ってみたかったんです”と言っておったしの。 とうとう我慢出来んようになったんじゃろな。
口寄せ獣、最強とまで称されておるわしを、ただの動物のように扱いおってからに・・・。
イルカは大の動物好きじゃ。 昔からわしにも、ようなついておる。 ・・・まぁ、悪い気はせんよ。
嬉しそうに尻尾をいじくりまわしておるところは、これっぽっちも忍びには見えんが。
半ケツのパンツ一丁でジャレ付きおって。 いい加減、服を着んか、服を。
動物を好きな人間に、悪い奴はおらん。 イルカはその最たる例じゃ。 ・・・ん? この気は・・・
「ねえ、運命の出会いって信じる? オレ達ね、出会っちゃたのヨ。 ちょっと前に、運命の人と!
もうそれはそれは、苦労してるのヨ。 相手は木の葉一、情を安売りしちゃうから。
確かに約束通り、上忍・暗部じゃないケド ・・・・ね?」
「・・・・・・カカシか、お前、なんか機嫌悪いのか?」
「ええ、分かっていましたとも。 動物が最大のライバルだってことを。
だだでさえ、口寄せできるカカシ先輩が羨ましいのに・・・ まさか、こうなってるなんて。
契約者 三代目、猿猴王 猿魔 ・・・凄いですね? シッポひとつでコレですか。 はははは。」
「テンゾウ、全然目が笑ってないぞ? ・・・何なんだ?」
わしは猿飛が頼むから、コイツの救援に来ただけ。 普通は感謝されるべきじゃろ?
昔からそうだったろ?! お前達のピンチにも、真っ先に駆けつけたぞ? それを・・・
「オレ達ね、忍犬から報告を受けて、すぐに向かったのよ。」
「イルカの救援は、ボク達が志願してますから。」
「・・・だから、わしも頼まれて・・・」
「こんなに頻繁に出番が来るなんて・・・ テンゾウ、やっぱり里外は禁止にしよう。」
「先輩、まだ任務は終わってません。 最後のAランクです。それまでは我慢です、イルカの為に。」
「・・・・・・。」
おーい、お前たち。 久しぶりに会ったと思ったら、ガンたれたあげく、無視か?!
昔あれだけわしに世話になっておいて、挨拶もなしか、この青二才どもめ!
猿飛−−−っ!! 大蛇丸といい、こいつ等といい、何でこんなに躾が悪いのじゃ!
まったく・・・ 最近の木の葉の忍びは尊敬の念というものが足りん! なっとらん!!