オセロゲーム 4   @AB DEF GHI J




オレ達は、訓練がてら木の葉ヶ丘公園に来た。ドッグランもあるから、オレもよく忍犬達を連れて来る。
教員試験を受けるのには、A、Bランクの任務経験が、三回以上必要だ。Bランクは問題ないはず。
暗殺などを含むAランクを、イルカが遂行できるのか疑問だ。 試したくなるのは仕方ないだろう。
イルカの動きは切れが良く、基本を忠実に守るタイプだ。 これなら子供たちのいいお手本になる。

「結構ヤルネ。 実戦経験ちゃんと積んでたんだーね。」
「くそっ、 なんてすばしっこいんだ!! アタレ!!」
「分かりやす過ぎるよ、イルカ。 これから攻撃しますって言ってる動きだよ?」
「そ、そうか・・・ んじゃ、これならどうだ!!」

「な・・・!!」
「!!!!」
「すきあり、もらった! ・・・・・やったー!! シロから一本! がんばった、俺!!」

ヤラれた。 テンゾウ、余計なコトを教えんなヨ、コイツは何でも受け止めちゃうんだから!!
攻撃しますの動きのかわりに、攻撃なんてしませんって感じで、ニコッと笑いやがった!
しかも突き入れるんじゃなくて、キャッチして鼻にチューって・・・なに? なんなの?!

あーぁ、テンゾウもヤラれてるヨ・・・・ まいった・・・海野イルカ、オレ達の負け、もう完敗。




「おーい。 あははは、あんなに夢中になって。 ブルって、やっぱり一番、獣っぽいね。」
「アイツはほっとくと一日中、鳩を追いかけまわしてるから。」
「・・・ボク呼んで来ましょうか、いつまでも帰れませんからね、あれじゃ。」

テンゾウが鳩と遊んでいるブルを噴水まで呼びに行った。 オレとイルカは木の下で待機だ。
イルカの膝の上で丸まって、アクビをしてた。首周りを掻いてもらいながら。そりゃもうイイ気持ちで。
イルカの手は何故か気持ちいい。 このオレが、思わず喉を鳴らしてしまいそうになる。

このベタベタの愛情は癖になるかもしれない。 たまに変化して、遊びに来ちゃおうかな・・・

油断した。 おかしいと思ったんだ。 あの三代目が、オレ達を一週間も遊ばせておくはずがない。
夢心地だったオレは蹴飛ばされ、イルカが突然現れた暗部の男に、連れて行かれそうになった。
そいつは、テンゾウが呼び戻したブルを見て“忍犬がなぜ・・・”と言い捨て、消えた。

用心深い拉致の方法だ、イルカの周りがオレだけになったところを狙った。 酉部隊の奴だった。

「大丈夫か、イルカ!」
「うん、平気。 ビックリした。」
「・・・おい、みたか? アイツ・・・」
「はい。 鳥系の面でしたね。・・・三代目に確認してみますか?」

テンゾウの言う様に、多分、三代目に話を聞くのが一番良い。 こうなる事を読んでいたようだから。
今迄、何事もなかったので、イルカの家なら安全だ。 きっと三代目が結界を張っているんだろう。
オレとテンゾウは念のため、ブルをイルカの家に残し、三代目のいる火影室へ向かった。
あの面は酉班だ。 ブルの顔を知っているということは、オレを知っているというコト。

「三代目。 こりゃ一体、どういうことですかねぇ?」
「ボク達をハメましたね。 全部、説明して下さい。」
「おお、良く来たの。 休暇はまだ四日あるぞ? そのままイルカの家で待機じゃ。」

「・・・・そうですか、仕方ないですね、おい、テンゾウ!!」
「はい、先輩!! ・・・三代目、こんな事はしたくなかったんですが・・・」
「なんと!! ・・・・うむむむ・・・よかろう、話してやる。」

狸ジジイが、素直に教えないであろう事も予想済みだ。 こんな時の為に、コレを用意しておいた。
三代目が前から欲しがっていたR−22指定【かまって入れてマイダーリン】だ。
いつか三代目の、無茶ブリ対策で使おうと思っていた、効果大のワイロ用エロ本、ナンバー3だ。
ちなみにナンバー7まで用意してある。三代目の好みはリサーチ済みだ。 まだ後6冊残ってる。


「・・・イルカがアカデミー教師を目指しているのは、知っておるか?」
「初日の挨拶で聞きました。 オールマイティーに忍術扱えるみたいですね。それが何か問題でも・・・?」
「体術のみですが、オレ達が、だし抜かれましたから。 対応の早さも合格点でしょ。」
「資質は問題ない。 受験資格でもある、Aランク任務の遂行数、コレが問題じゃ。」

始めオレが危惧していた通り、Aランク任務数が問題か・・・ でも、手合わせしてわかった。
イルカの動きは迷いがない。 指摘を受けたら、すぐに取り入れる柔軟性もある。
実戦経験も多数ある事が、はっきりとわかった。 3回ぐらいのAランクは単独でもこなせるだろう。

任務は成功させなければ履歴として残せないから、何かの理由で遂行困難に陥ってる、ということだ。