オセロゲーム 8   @AB CDE FHI J




「・・・・・という訳です。 とりあえずはアズサの顔を、立てておきました。」
「うむ。 よく、内々に収めてくれた。 お前たちに任せて正解じゃったの。」
「時に火影様。 ボク達は休暇中にボランティアしたんですよ? 交換条件があります。」
「むむむ・・・・ なんじゃ、申してみよ。」

「今後、イルカのAランク任務に、暗部・上忍を付けるのをヤメて下さい。」
「う〜む・・・じゃがのう・・・ あの人材を、みすみす奪われてしまうのは惜しい・・・」
「ボク達が行きます。 他里の忍びに絡め取られそうになる前に、救出します、どこにいても。」

オレとテンゾウは、どうしたらイルカのソバに、ずっといられるのかを話し合った。
まずは、また勘違いヤローを出さない為に、断固、同行を阻止する、というとこから始める。
怪しそうな時は、オレ達が出て行けばいい。 忍犬は八匹いる。 順番にお守をさせればいい。
イルカは動物が大好きだ。 きっと喜んで連れて行ってくれるだろう。 感激されるかもしれない。


「三代目、オレ一度、沈黙の黒豹を見た事があるんです。」
「・・・・凛として、近付き難かったじゃろう? 素晴らしい口寄せ獣じゃった。」
「ボクは知りませんが、想像できます。 今のイルカを見ていたら。」
「ただ独り死別した主、木の葉の忍びとの約束を通り、ずっと禁断の森を守っておった。」

もしあの黒豹が生きていたら、イルカと契約を交わしたかもしれない。
でもそうしたら、今のイルカは存在しなかっただろう。 どんな出来事も積み重なって今になる。
イルカが忍者アカデミーで教えるようになれば、仲間の愛を知ってる忍びが、たくさん増えるヨ。
同じアカデミーでも、霧隠れの里とはエライ違いだ。 木の葉は強くなるネ、間違いなく。

「・・・最近、水の国の下忍の捕獲任務が回って来るのは、イルカに感化されたせいですか?」
「他里の事に口をはさんでは影失格じゃが、 あの里のアカデミー制度は間違っておる。」
「恐怖で制された者は、同じように、恐怖で制しますからね。」
「一人でも生き延びて、制度に疑問を投げかけるキッカケになればよいと思おての。」

クス! 三代目らしい。 イルカが愛を教えたい、なんて言わなければ、動かなかったはずだーヨ。
それに。 ああいう捨て身の攻撃で、木の葉の忍びを巻き込みたくない気持ちも、少なからずある。
その下忍達の生き残りが、自分達は間違っていると声をあげる日が、いつか本当に来るかもしれないネ。

沈黙の黒豹は、イルカがこう育つ事を分かっていたような気がする。 なんて思慮深い獣なんだろうか。



「あ。 九尾の器ナルト・・・ 人柱力のナルトを、イルカに任せようとしているんですね?」
「まったく、お主たちは鼻が利きすぎる! 末恐ろしいわい!!」
「でも火影様よりも、いつもずっと後で気付きます。 まだまだボク達はヒヨッコですよ。」
「・・・・おだてても、イルカはやらんぞ?」
「残念、バレちゃったか。 ・・・・三代目、オレ達ずっとイルカのソバにいたい。」
「イルカの情をいつもソバで感じたら、ボク達・・・今よりも、もっと強くなれます。」

オレ達とイルカが出会ったのは、絶対、運命だった気がする。変化してブルの背に乗ったのも何もかも。
オレもテンゾウも、木の葉の為に、暗部の部下達の為に、いつ死んでもいいと思っていた。
今は違う。 どんなになっても生き残りたい。 イルカの中で過去になるのは嫌だ。 一緒に生きたい。
どこからこんな力が湧いてくるんだろう。 そう考えるだけで、体の中が、いや、心が温かい。

「それ以上、強くならんでも良い!   ・・・・・あのような忍びは、もう出てこんじゃろう。」
「それには激しく同感します。 やたら外に出すのも、これからは御免こうむりマス。」
「既定のAランク3回を履歴に加えたら、後はバッチリ内勤でお願いします。ダメです、里外は。」
「わ、わかっておるわい!! じゃからお主たちを付けたんじゃろうが!!」

きっと三代目はオレ達のうち、どちらか一人でもイルカにハマってくれたら、
暗部のストーカーをなんとか出来ると思ったんだろう。 部隊長に逆らう馬鹿は暗部にはいないから。
アイツも一方的だが、イルカの事を本当に愛していた。 でなければ、三代目が黙っているはずがない。
エロ狸ジジイのふりして、双方全て丸く収めようとした火影様に、全部が仕切られていたんだ。


「・・・・へー、オレ達がハマるのを見越していたと・・・・??」
「くそ、ワシとした事が、誘導されてしもうた・・・ 成長したの、カカシ、テンゾウ。」
「どっちかがイルカのガードに回るだろうと、踏んだんですね?」
「両方がハマるとは、思うてもみなんだ。 お主たちは部類の女体好きじゃからの。」

そう、オレ達二人とも、大の女体好き。 だって、柔らかいジャン? もうね、ツッコむの大好きなの。
だけどそれよりイイもの見付けちゃったら、仕方ないでショ。 女体なんか、ノシつけて三代目に譲るヨ。
オレ達は、本来のこの姿でイルカに会いに行く。まだ休暇は4日残ってるんだ。
三代目がまだ何か言っていたけど、もう我慢できない! 早くイルカの待つ家へ帰ろう。

「確かにイルカは 稀な忍びじゃ。 ・・・しかしお主たちもまた、この木の葉にあって、
 他に誰も代わる者がない、最高の忍びであるということを。  ・・・けして、忘れてはならんぞ?」