オセロゲーム 10
@AB
CDE
FGH
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オレ達はこれから、後4日ある残りの休暇を満喫する。 無償の愛情に浸りまくるんだーヨ。
寝る時はオレもテンゾウも、シロとクロに変化。 んで、お互いに術の固定をし合うの。
ヒトの姿でいてイルカを襲っちゃったら、オレ達の未来はあの酉部隊のストーカーと同じだもん。
イルカが寝た後と起きる前に、触れるだけのキスを送るんだ。 それぐらいは許されるよネ?
「イルカ、凄く答えにくいコト・・・聞いてイイ? その、ストーカーの事なんだけどさ・・・」
「ストーカー? なんですかソレ。」
「先輩、その聞き方では通じません。 ね、イルカ。 公園でイルカの前に現れた暗部を知ってた?」
「・・・・・うん。」
オレ達の思っていた通り、イルカは自分がストーカー被害にあっていたなんて、思っていなかった。
知っていたと認めた事で、アイツに犯されたコトが明らかになった。 ヤツは愛し合ったと言ったが。
ヤツの話だと最初に同行した時に、自分とイルカは、両思いになったと。 イルカを抱いたんだヨ。
勘違いとも思わずイルカの恋人を宣言し、後の任務に同行した忍び達に睨みをきかせていたんだ・・・。
良くも悪くも奴の睨みのおかげで、他に勘違いする輩は出なかった。 唯一の被害はヤツだけ。
「何で報告書を提出しなかったのさ。5回だよ? バレないと思った?」
「ホントだったら、もう教員試験を受けられたのに。アレがないと、任務履歴に出来ないんだよ?」
「・・・だって、俺が成功させたわけじゃないから。 自分の仕事みたいな顔をして出せない。」
あれ? なんか・・・ 想定と違くない? イルカはアイツにヤラれちゃったんじゃないの?
暗部の隊員の経歴に傷を付けたくなくて、黙ってたんじゃないの?! ・・・意地っぱりなダケ?!
だって三代目が・・・・ クソッ、やられた!! あのエロ狸ジジイ、オレ達を煽ったんだ!!
餌に食い付かなかった時の為に、保険をかけていやがった! 餌はもちろんイルカ。保険は暗部だ。
「どこまでも、オレ達の上かよ!! クソッ!」
「ちょっと出し抜いたつもりでしたが・・・ 悔しいですね。」
「二重、三重に張った罠に、オレ達はまんまとハマったんだ、悔しいに決まってる!」
「三代目が、木の葉の影でよかった。 あんなヒト、敵に回したくありませんね。」
個人がいくら強くても、知略に長けた忍びには寝首を掻かれる。 改めて肝に銘じておく。
イルカにハマらなくても、暗部からストーカーを出すなんて、火影直属部隊の名折れ。
暗部であることに誇りを持っているオレ達の、そのプライドを刺激したんだヨ。
どっちに転んでも、暗部内で話がまとまるように仕組まれていた。 抜け目ない作戦。
「・・・・・一応聞くけど、あの鳥面の暗部を、何で知ってたの?」
「・・・あのヒトが5回とも任務を、終わらせたんだ。 コレはおれの仕事だ、って・・・」
「・・・・・・ひょっとしてイルカ、任務の時、何かの動物と一緒だった?」
「うん! 九官鳥のキューちゃんと一緒だった! ・・・何でわかったの?! 」
そういや、最近会いに来ないなと、イルカは九官鳥に思いをはせていた。 あの鳥面だ、間違いない。
はー、怒りにまかせて、チョン切らなくてよかった、気持ち悪すぎるもん。 ほんとアズサには感謝だ。
アイツは正真正銘、人畜無害な変態ヤロー、真性 妄想癖過多症の体質だったんだ。 実にキモイ。
あんなのを身内として可愛がっているアズサを、今始めて尊敬した。 あの女の懐はデカ過ぎる。
「意地だってわかってるよ。 でも自分の力で、任務を遂行したいんだ。」
「・・・・イルカの気持ちわかった。 ボク達は応援するよ?」
「イルカ、Aランクのノルマは3回、頑張れ。」
「ありがとう!! シロとクロなら、そう言ってくれると思った!!」
イルカがオレ達に飛びついて来た。ダメでしょ、確かにちょっと前まで、オレ達は仔犬と仔猫だったヨ?
オレ達が抱きつくのはイイのよ、ちゃんと気合い入れてるから。 でも不意打ちでこられたら・・・
イルカのお尻が無事だって聞いたとこだヨ? もう、ナニがエライことになってるんですケド?
テンゾウと目が合った。・・・・ダヨね? 切れちゃうよネ? オレ達の理性、糸並みに細いもんネ?
「・・・・ えっと ・・・・ あの ・・・ あたって・・・るんですが・・・」
「だって、しょうがないじゃない、いきなりだったモン。」
「・・・ その ・・・・ コレは ・・・ お、おさまり・・・そうですか?」
「駄目です。 まったく警戒していませんでしたから。」
「こ、腰と、背中の手を・・・ 離してもらえたり・・・します?」
「「 もう、無理!! 」」
“眠った後、こっそりキスを”なんて誰が言ったの? ・・・オレか! ま、人は皆俗物ってコトで。
ブッ飛んだオレ達は、イルカを朝まで離さなかった。 残り3日間も、もちろんガンガン行くヨ!
『シロとクロ・・・二匹まとめて、オセロって呼んでも良い?』 そう言ったのはイルカだ。
この勝負、勝たせてもらうネ? イルカはシロとクロ、二匹とも大好きで、突き離すワケないモン!