精霊が宿る樹 4
@AB
DEF
GHI
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確かにイルカは潜入部隊では優秀だし、里の営業面でいったら受けがイイのはよくわかってる。
でもね、オレ達のイルカなのヨ。 これからずっと一緒にいるって宣言したもん、火影岩の上で。
『健やかなる時も病める時も、共にいるコトを誓います』 三代目に内緒で三人で登って宣言した。
せっかくそう誓ったのに、あんまり一緒にいられないのは、イルカが長期任務の多い潜入員だから。
「最近サ、計画通りに、イルカ、内勤が多いよネ? フフフv」
「そう言えばアカデミー職員の人員、今度増やすそうですよ?」
「ちょっと、イイじゃない、ソレ! 先生になったら、アカデミーが優先でショ?!」
「三代目は渋るかも知れませんが、それとなく勧めてみましょうか?」
イイねぇ。 忍者学校の先生になったら、しかも担任を受け持ったら、そっちがメインじゃないの!
それってイルカをほぼ里に置いとけるってコトでショ?! いっつもオレ達を待っててくれるの?!
ウン、それ決定。 もう断然、プッシュ。 アカデミー試験にイルカの名前で申しこんでおこうヨ。
イルカと一緒に暮らすようになってから、誰もいない家に帰るのが物足りなくなった。
「いっつも楽しいから、独りで家に居たらつまんないんだよネ・・・・。」
「人の体温や電気の明かりが恋しいなんて、思いませんでしたもん。」
「ネー? 今までどうやって過ごしてたんだっけ? とか思わない?」
「イルカちゃんと重婚後、どんどん贅沢になっていきます、ボク達。」
ホントにネ、不思議だーヨ。 忍びにそんなの必要ないって、思ってたのにサ。 イルカのチャクラ。
あの優しい空気がなかったら、生きていけない。 てか、生きてる意味ない。 呼吸困難で死ぬ。
イルカを抱きしめたら実感する、今までなんでコレがなくてオレ平気だったの? って。
もちろんイルカを抱いたら、つま先からてっぺんまで満たされる。 心も充実、アソコも充実ってね!
どうやったら阻止できるかを相談して、イルカに潜入任務が入ったら、首に歯形をつけるコトにした。
だってキスマークはアザみたいでショ? だから、生まれつきのアザなんです、とか言われて終わり。
歯型なら誤魔化し様がないじゃない、しかも喉ボトケの両サイドにつけちゃえば、ネ?
チャクラを込めて噛むから、痛くないけどソコに血液を集められる。 刺青には絶対見えないし?
完璧でショ? その成果は、受付や火影室の雑用。 イルカはしっかり里内勤務の日々を送ってる。
だってねぇ。 イルカはあんなだから、誰かに殺されたり持って行かれたりしたら、イヤだもん。
「味方を信用し過ぎるのが難点ですよね。 イルカの場合は。」
「ああ。“根”のヤツらと組んだら、間違いなくヤラれる。」
「如月上忍が、イルカとはその論議で平行線だと言ってましたから。」
「だよネー。 ほんとどうにかしてほしいヨ。 気持いいチャクラ。」
「ん? 平行線??」 「え? チャクラ??」
あ、そっか、そっちか。 そうだネ、そうだった。 最初、オレ達も思ったもんネ、殺そうかなって。
オレが危惧したのは、あのチャクラを知ったダンゾウに、研究対象として連れて行かれるかも、だ。
だってホントに和みのチャクラなんだモン。 サラサラでフワフワ。 どう表現したらイイのか不明。
なんにせよ、もしイルカが現場で根のヤツらと一緒になったら、目をつけられるカモ、ってコト。
イルカが輪姦されたり、殺されたり、想像しただけで爆発しそうになる。 コレって、危険だよネ?
そんなコトは絶対ないと思うけど、もしそうなったらダンゾウも根も、オレ達が皆殺しにしてやる。
まだ起きてもいないコトを想像して、同胞を殺すシミュレーションをしてる時点で、ヤバイでショ。
こんな抑えきれない暗い怒りの感情、どこにしまってあったんだろうネ? 自分で怖いヨ、オレ。
コレは多分、テンゾウも同じ。 イルカがオレ達の一部のように馴染んで、もう切り離せない。
イルカがオレ達の一部なら、コレは自己防衛の為の本能ってコト。 先手必勝、ナニも起させない。
束縛し過ぎてる? 違うヨ、オレ達は一体なんだから。 自分を守る為の行動だもん。 でショ?
「「三代目〜 アカデミー教員の申込書、下さ〜い!」」
火影室ではカオルが先に、任務報告をしてた。 んー そういや、イルカがカオルを褒めてたっけ。
無意識でも人助けして、それが里の任務依頼に繋がった、とかなんとか。 思いだしたら腹立ってきた!
さらに、カオルさんって渋い声してますよねー 羨ましい、とも言ってたし。 クナイ投げちゃえっ!
あ、弾かれたっ! ちょっとぐらい刺さりなさいヨ、もう! 面白くないっっ!!