精霊が宿る樹 8
@AB
CDE
FHI
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チョットどういうコト?! せっかく速攻で任務終わらせてきて、休暇をもぎ取って来たのにっ!
イルカってば、生背中を敵に見せたり、カオルに使える潜入員としてアピールしたり・・・・。
ダメだ、やっぱイルカをこのまま潜入部隊に置いとくワケにはいかない。 このままだと殺される!
背中から攻撃されたら、必ず一歩出遅れる。 その一歩は、オレ達忍びの生死の境目と言ってイイ。
敵に後ろを取られるというコトは、その時点で死んだも同じ。 普通の忍びなら無意識で避ける。
敵に背中を向けない様に、自然に体がそう反応してしまう。 でもイルカの場合は真逆なんだ。
相手に背中を向けるのは、それが相手に信用される一番の方法だと無意識で知っているんだろう。
「おい、こら。 顔が痛い。 面が当たる、離れろ。」
「だってサ、イヤホンひとつしかないんだもん、聞こえないじゃない!」
「カオルさんだけイルカちゃんの声を聞くなんて、認めませんからね?」
「・・・・・あのな。 今から移動する。 行くぞ?」
なんと、あの、ギリギリまで動かないカオルが。 気配を殺して建物内部に侵入するだって?
・・・・・イルカ、なにコマしてんの? 顔ありでショ? 中忍が暗部を動かしてどうすんの?!
てか、カオルがそう判断しただけなんだケド。 でもあり得ないっ! 帰ったらお仕置き決定。
気配を殺し、オレ達もカオルに先導されてやって来た。 ここは輪廻の光りの建物内部。
イルカの部屋に・・・・・ えっと、キヨウだっけ? 潜入員のいる巣に入り待機する。
まだ潜入員が調査段階の任務、しかもターゲットもハッキリしていないのに、だ。
暗部がというか、カオルがここまで心配して動くコトは稀。 術だけじゃなく、氷点下男だから。
「・・・・・カオルが暗殺以外で動くのって、珍しいネ?」
「里の事以外を思案するカオルさん、なんて初めてです。」
「優秀な潜入員なら、里の為に保護する価値があるだろ。」
「「・・・・まあ、ね?」」
今イルカは、じゃなかった、キヨウはセキの部屋に行ってる。 “生きる希望”とやらを探りに。
イルカが見聞きした内容で、この組織が有害か無害かをカオルが判断する。 オレ達はオマケだしネ。
だって気になって仕方なかった。 オレ達だって、まさかこんなになついちゃうとは思わなかったし。
氷点下男のカオルだって、あのチャクラを欲しくなるんじゃないか、成り行きで殺すかも、ってサ。
「・・・・何かが・・・・ いるのか?? 精霊・・・?? なんの話だ?」
「ちょっと、カオル、オレ達に判るように説明しなさいヨ。」
「カオルさんしかイヤホンつけてないんですからね、もう!」
「・・・・すまん、これは聞いているだけでは何の事だかサッパリだ。 ・・・・・ん?」
「「どうしたの??」」
「・・・・・・あー カカシ、テンゾウ、まだ有害かどうか判断し難いが。」
「「しがたいが? なに??」」
「乗り込むか? 若奥さん、迫られてるようだぞ??」
「「なんだとぉ?!」」
乗り込むにきまってるっ! 早くそれを言いなさいヨ! オレ達がここに居るって知ってるでショ?!
イルカに手を出した時点で、オレ達にとっては有害なのっ! 適当に罪をでっち上げて殺してやるっ!
責任を取るのはカオルだしネ。 忍び崩れの分際で、ナニ? オレ達のイルカに迫ってるだって?!
え? 自業自得?? もう! 仕方ないじゃない、首噛んじゃダメって言われたんだからっ!!
「・・・・ふっ。 強行か、仕方ない・・・・って、おい。 もう行ったのか・・・・。」
「イルカッ!!」 「イルカちゃんっ!!」
「あ・・・・ れ? カカシさん? テンゾウさん?? なんで??」
「「・・・・・・・。」」
「あはははは。 ごめんなさい、つい、忍術使っちゃった! マズかったかなぁ・・・・?」
いや? 全然オッケーよ? イルカが対処しなかったら、オレ達ソイツを殺るつもりだったから。
イルカの気配を探って部屋になだれ込んだら、処刑対象のセキが金縛りの術で拘束されてた。
意識はハッキリしてるけど、手足は動かせない。 もちろん声も出せない。 うん、上出来だーヨ。
この際だから、直接情報を頂こう。 強引だけどイイよネ? イルカに迫った罰だ。 写輪眼っっ!!
「・・・・・へー。 イルカ、カオルに伝えて? ここ潰すって。」
「?! え・・・・ あ、はい。 カオルさん“潰す”そうです。」
「・・・・・って事は、この協会は火の国にとって有害、って事ですね?」
「ウン。 テンゾウも覗いてみ? 結構えげつないヨ?」
「ほう? おれも確認させてくれ。 どれどれ・・・・ 氷遁 氷結吸引っ!」
「あ、カオル、来てたのネ? てか、お前、それサ・・・・。」
「カオルさん、脳ミソ凍らせて吸い取ったら、ソイツ死んじゃいますよ?」
「ん? 有害なんだろ? なら問題ない。」
「・・・・・・。 (カオルさんって・・・・ 実は何も考えない人??)」
はは、これが本来の氷点下男。 記憶覗くだけじゃない。 有害ならついでに殺しとこう、ってサ。
ターゲットが判明するまでは絶対動かない、例え潜入員が犯されてもネ。 判明したら即暗殺実行。
まだ隠し持ってる情報があるかもしれない、ナニかに使えるかも、って。 そうは思わないのヨ。
情報分析部の天敵と言われている、こんなカオルを動かしたんだ、イルカ、お前、その意味分かる?
「えっと・・・・ 理事長も関係あるんですかね? 優しそうだったけど・・・・」
「あの女が、諸悪の根源だ。」
「あ、そうなんですか・・・・ 俺、潜る必要あったんですかね? これ。」
「どいつが一番情報を持ってるかが分かった。 若奥さんのおかげだ。」
「へへへ、 じゃぁ、ちょっとは役に立ちましたね? よかった!」
「・・・・・・カオル、あげないヨ?」
「ん? 何がだ??」
「・・・・・・ボク達のですからね?」
「・・・・ああ、それか。 ・・・・つまらん。 普通の男モドキになりやがって。」
普通の男モドキ?! れどういう意味?! まあいいや。 これでこの組織を潰して、とっとと任務終了だ。