火影の嫁探し 10   @AB CDE FGH JKL




思った通り、アスマ兄ちゃんの顔色が変わった。 ってか・・・・ あれ?? なんか引きつってる?
え、嬉しくないの? 赤ちゃんだよ?! 里の皆は家族、今さら母が違うとかなんとか言わないよね?
どこまで高いマザコン数値なんだ! いい? はっきり言いうけど、死んだ人は戻ってこないんだ。
思い偲ぶ事で自分の生きた時間を無駄にする事は、ビワコさんが喜ぶ事じゃない、悲しませる事だっ!

「がーーーーーーっっ!! んなこたー、分かってるよ! おめーに言われるまでもない!」
「・・・・・へ? アスマ兄ちゃん?? 脱・・・・ビワコさんしてたの?? いつの間に?!」
「その超ド級マザコンの情報源は・・・・ 親父か? あ? そうなんだな?!」
「火の寺に籠ってるのは、大好きなビワコさんを弔うためだ、って三代目が・・・・」

「・・・・確かに俺は母さんが大好きだった。 四代目の嫁と子を死守した、おれの中じゃ誇りだ。」
「ア、アスマ兄ちゃん・・・・。」
「火の寺でついでに喪に服したのも本当だ、もう6年以上前の話だ。 マザコンでもなんでもねぇ。」
「・・・・・・・てっきり、里に戻ってこないのは、まだ弔ってるからだ、って思ってた・・・・。」

なんとアスマ兄ちゃんは、マザコンじゃなかった。 木の葉隠れを代表する忍びとして火の寺へ行った。
大名直々に推薦され、国主のいる城下町に一番近い山の上の火の寺へ。 火の国の民を守っていたんだ。
へへ! さすがアスマ兄ちゃんだ。 そうか。 三代目・・・・・ 淋しかったんだな、きっと。
そうだよ、そうでも思わないと、息子が自分の側からいなくなるなんて、辛すぎるだろうから。

「で、なんでそれが、超ド級のマザコン説にまで発展したんだ?」
「・・・・・・・・あ。 俺。 その話からマザコンだと思い込んでた!」
「・・・・おめーかっ!! まあ、おめーにそう思わせた責任は、親父にあるわな。」

「あははは、ごめんごめん! でもこれで誤解は解けたよ?」
「本来なら張り倒すとこだが、これでチャラだ、心配かけてたみたいだしよ。」
あでででで!! うぅ、こんなので気が済んだの??」
「おうよ。 ところで、さっきの話だが・・・・・・」

マザコン説を広めたのは俺だ、甘んじて罰を受けよう。 ブッ飛ばされるかと思いきや、違った。
一つにまとめてある髪の毛を、ギューって引っ張られただけだった。 アスマ兄ちゃん、優し過ぎ!
強面だけどイイ男だ! 次はアスマ兄ちゃんの嫁さんを探してみたいっ! 提案してみようかな?

え、子供?! あ、そうそう、それそれ! ・・・・・ん?? じゃ、なんでリンゴさんを認めないの?
マザコンじゃなかったら、三代目が再婚してどんな人がお母さんになっても、平気なんじゃ・・・・??
・・・・・・火影の妻は長生きできない? うん、そんなことは、リンゴさんだって了承してるよ?
しかも赤ん坊は、ことごとく暗殺される? ・・・・・・アスマ兄ちゃんの兄弟も・・・・ 全員??

そっか。 アスマ兄ちゃんは、あまりに若すぎる母を死なせたくなかったんだ、自分より年下の。
しかも三代目の子の中で生き延びたのは、アスマ兄ちゃんだけなんて。 俺、全然知らなかったよ。
三代目やビワコさんが、惨事を公表しなかったのは、新たに憎しみの種を蒔くだけだと知っていたから。

そりゃそうだよね。 強い忍びの出る家系は、それだけで暗殺対象になる。 ましてや火影一家だ。
でも何か忘れてない? 直轄部隊の暗部だっているし、今や守護忍十二士のアスマ兄ちゃんだって。
もう不安定な時代の里じゃない。 三代目や、生き残った忍び達が・・・・ 皆が平和にした里だ。
そう易々と火影屋敷に侵入はさせない。 ネズミ発見に命を懸けてる小助さんもいる事だしね!

「・・・・・・・そうだな。 ・・・・・・・イルカの言う通りだ。」
「じゃぁ・・・・ アスマ兄ちゃん!」
「はははっ! あのイタズラ小僧のイルカに論されるなんてな。 おれもヤキがまわったな。」
「む! 俺はイタズラ小僧はとっくに卒業! あれから主夫まっしぐら!」

「はぁ? 主夫って、おめー・・・・・ はははは! 木の葉のベストを着た主夫か? こりゃいい!」
「三代目の身の回りのお世話で、あの当時のアカデミー生はほとんど、家事炊事の上級者だよ!」
「・・・・・そうか。 おれのいない間に、親父を支えてくれてたんだな? ありがとうよ。」
「・・・・・う。 うぅ・・・・ アスマ兄ちゃんっ!! 俺、俺・・・・ わ〜ん!!」
「はははは、泣き虫な所は変わってねーな! イルカ。」

俺の知ってるアスマ兄ちゃんは、何倍もイイ男になって帰って来た。 髭面で強面で大男だけど。
超ド級のマザコン扱いしてごめんね? 安心して、俺がアスマ兄ちゃんの嫁もみつけてあげるから!
三代目の再婚を認めてくれて嬉しいのと、真実を知って悲しいのと、いろんな感情が襲って来た。
俺は子供に戻って、思いっきりアスマ兄ちゃんに飛びついて、ビービーと泣いちゃったんだ。



「・・・・・・カカシ先輩。 今ボク、無性にアスマさんに樹海降誕の気分です。」
「・・・・・・やめなさいヨ。 オレだって雷切たいの我慢してるんだカラ。」
「これって・・・・・ 俗に言う“嫉妬”とかいうヤツですかね?」
「ウ〜ン、多分そう。 イルカはオレ達の忍耐力の鍛錬をしているのかもネ。」
「「これも耐えてこそ、木の葉の暗部! イルカの恋人!!」」

「あ、ふたりでもり上がって・・・・・ どっかに行くみたいですよ?」
「・・・・・アスマのマザコン説は崩れたけど、プランCは誤解したままだよネ?」
「・・・・・って事は・・・・ 火影室に?!」
「・・・・おいテンゾウ! 鍛錬はココまでだ、乱入するぞ!」
「はいっ! 待ってましたっ!」





「ハイ、ハイ、そこのふたり、離れてネー? アスマ、のいて。」
「うおっっ! アブねーな、クナイしまえよ! 今度はなんだ、カカシ! テンゾウもか?!」
「小隊長はこっち。 はい、ボク達が撫でてあげますよ。 よしよし。」
「うぅ、えっ、っ! チーム・・・・ アス母・・・  わ〜ん!」

「・・・・チームアス母?! なんじゃ、そりゃ。」
「ンー 話せば長いけど・・・・・ 取り合えずコレ、オレ達のだから。」
「はい、ボク達のです。 チームアス母は、ボク達の自主任務コード名です。」
「・・・・・・・・なんかややこしい事になってんな、おい。」