火影の嫁探し 8   @AB CDE FHI JKL




まったく。 アスマ兄ちゃんにも困ったものだ。 確かにリンゴさんはアスマ兄ちゃんより年下。
リンゴさんの年を聞いた途端に、カカシより年下の女を母ちゃんと呼べるかっ! って吠えた。
でもリンゴさんは、母ちゃんではなく母さんと呼んでね、アスマちゃん ってホンワカ微笑んでいた。

火の寺 守護忍十二士がひとり髭面の大男、猿飛アスマに対して“アスマちゃん”などと・・・・
俺は火影屋敷に出入りしてたから、アスマ兄ちゃんを見慣れているけど、普通はビビると思うぞ?
興奮した大男をホンワカかわすなんて! 俺達受付忍にも引けを取らない、笑顔でスルーっぷりだ!
三代目が言った様に、リンゴさんはただのホンワカ美人さんじゃなく、胆が据わった美人さんだった。

「ところで、なんでアスマが知ってんの?」
「いくらなんでも、山奥の火の寺ですよ?」
「・・・・・・・・・ぁ。 そう言えば最初、再婚の話知らせたっけ! はははは!」
「「・・・・・・・やっぱり。」」

そうだ、俺が知らせたんだ。 アスマ兄ちゃんが再婚をキッカケにして山を下りてくればいいな、って。
まあ、いいじゃないですか。 ほら、家出も同然のマザコンが、やっと猿飛家に帰って来たんだし!
俺達は嫁探し任務の仕上げとして、アスマ兄ちゃんにリンゴさんを母さんだと認めさせましょう。
ね? ・・・・まあ、パッと見でいくと、アスマ兄ちゃんとリンゴさんの方が、夫婦っぽいですけど。


アスマ兄ちゃんは俺の思惑通り、火の寺を出て里に戻って来た。 これでやっと、親子水入らず。
それにこれからはリンゴさんがいるから、アスマ兄ちゃんは脱マザコン・・・・ いや、脱ビワコさんだ。
ビワコさんは本当に凄い人だったと思うよ。 俺の思い出は、イタズラしてよくゲンコツくらった事。
里の子供は忍びでも忍びじゃなくても、いっしょくたに怒られてた。 偉大な胆っ玉母ちゃんだったな。

確かに死んだ人は大切。 でもずっとその事に捕らわれていたら、その死んだ大切な人が悲しむ。
俺も、死んだ両親が笑って応援してくれる様な、そんな生き方をしたい、といつも思っているんだ。
ビワコさんはビワコさん、リンゴさんはリンゴさん。 別の人間で死者と生者だ、比べても仕方がない。

チーム嫁探しは、チーム 布路リンゴさんアスマの母PRに変更。 リンゴさんの人柄をPRするんだ。
長いからチームふじピーと略すのはどうかだって? 何気にピーナッツの入ったおつまみみたい、却下。
チームリンピー? それはなんだか・・・放送禁止用語みたいじゃないですか、誤解を招きます、駄目。
ここはひとつ俺が命名を。 ・・・・・よし、アスマの母で、俺達はチームアス母、これ決定です。

「「別に、なんでもいいよ? その前に恋人っぽくしよう?」」
「恋人・・・・?? はっ!! そうだった、約束! ・・・・でもそれは後! こっちが先!!」
「「・・・・また先送りか・・・・。 ちぇ!」」
「くす! ちゃんと覚えててくれるなんて、いい人ですね、おふたりとも。」

「テンゾウ、オレ達、いいヒトだってv」
「やー、照れちゃいますね、なんだかv」
「「ここを耐えてこそ、木の葉の暗部っ!!」」
「あはは、なんですか、それ! ヘンな気合いの入れ方ですね、くすくす!」

チン揉み挨拶にも飽きない、スキンシップ大好きな暗部のトップツー。 仕事は超出来る甘えた坊主達。
そりゃ最初は、なんだこの理解不能な生き物は・・・・とか思ったけど。 根は良い人なんだよな。
任務だ、根性ある刺客探しだ、幼妻だ犯罪だと、なんだかんだ言いながら、三代目の為に動いてくれた。
そして今も。 アスマ兄ちゃんにリンゴさんを母だと認めさせよう、なんて。 もう任務じゃないのに。

任務じゃなきゃ、中忍の俺が小隊長のまま、って言うのもおかしい。 偉ぶらなくて、気さくな人達だ。
それになんだ、あー その・・・ 恋人? 俺に紹介してくれるみたいだしな! でも今は駄目だ。
俺の事より、猿飛一家の幸せが先。 一家でそろって笑い合う、ニュー猿飛家を誕生させるんだ!

「そうでしょう? 血の繋がりなんかクソくらえ! 義理でも幼妻でも、リンゴさんは母なんです!」
「「チーム 嫁探し解散、チーム アス母再結成!」」
「ええ、俺達はニュー猿飛家の縁結び役ですよ?! おぉー! なんか燃えて来たっ!」

「生真面目で鈍感なトコ、超可愛いいんだケド。」
「凄く一生懸命ですよね。 笑顔も可愛いです。」
「ですよね。 リンゴさんって、本当に一途で可愛いらしい方です!」
「「・・・・・・・・うん、ほんとマジで可愛い・・・・・。」」

よし! 明日から早速、行動開始です! 頑張りましょうね、火影一家の幸せがかかってるんですから!
え? 今日も一緒に寝ていいか、ですか? う〜ん・・・ 今朝みたいに寝ボケないならいいですよ?
へへ、やっぱりプチ淋しんぼです、俺。 正直、家族が出来たみたいで嬉しい、なんて思ったりして。

・・・・・・って、いや、今はチン揉みしなくていいから。 さっき帰ってきて、挨拶したでしょう?
だから! そんなに揉ん、だ、ら・・・・・ くそ、俺の正直な息子が! また風呂場直行かよっ!!
くそーっ! 絶対、面白がってやがる! ええ、俺は正直なんですよ、息子ともども! 悪かったなっ!

「「小隊長〜 手伝ってあげようか〜?」」
やかましい! さっさと布団敷いて寝てろっ!!
「「は〜いvv」」





いい加減、チン揉み挨拶は禁止しないと。 他の忍びにやったら大問題だ。 あ、でも元凶は三代目か。
火影様に“緊張をほぐす為の下ネタスキンシップは禁止令”を、大々的に公布してもらうしかない。
・・・・・てか、もうそろそろ、飽きてもいい頃だと思うんだけど。 俺、緊張ほぐれまくってるし。
家に居る時、たまに敬語も忘れたりするほどだ。 暗部の司令塔が友達なんて、これ、自慢できるよな?!