火影の嫁探し 11   @AB CDE FGH IKL




ふたりの事、甘えた坊主なんて言えないよ。 俺、アスマ兄ちゃんがいたせいか、子供に戻ってた。
アスマ兄ちゃんほどデカくないけど、ヨシヨシと撫でてくれた手が、ちょっと嬉しかったりして。
それに、なんかまた恥ずかしい思い込みをしてたみたいだ、俺。 リンゴさんのお腹の子はプランC。
そうだよ。 そう言ってたよ、確かに。 思わず本気で喜んじゃったよ。 さすが三代目、って。

「んだよー。 デマか、喜ばせやがって。 せっかくおれが、守る決心を固めたのによ。」
「ふふふ! アスマ兄ちゃん、ちっちゃくて可愛いの好きだもんね?」
「・・・・・・リンゴさんにも詫び入れねーとな。 “母さん”っつってよ、ははは!」
「ア、アスマ兄ちゃんっっ!!」

「はい、そこ。 飛びつかないの。 飛びつくならオレ達にしなさいヨ。」
「アスマさんも。 あんまりビシバシ兄貴オーラ出さないでくれます?」
「・・・・なんだかなぁ。 お前らも今迄ありがとな。 里の守りの要になってくれてたしよ。」

「「・・・・・まあ、怪しいのは“根”に纏めてあるから、監視しやすいし。」」
「はははは! それでこそ、暗部の司令塔、黄金コンビだ! コイツの事も頼んだぞ?」
「「当然。 ハマった。 餌付けされたし。 なにより、真面目でボケてて可愛い。」」
「ははは! なんだそりゃ。 ベタ惚れじゃねーか。」

ふふ、なんだか楽しそうだ。 俺は今までアスマ兄ちゃんに会えなかったけど、ふたりは違うらしい。
里外で、何度か合流した事があるんだって。 そりゃそうだよね、つい忘れがちだけど、ふたりは暗部。
火影直属 暗殺戦術特殊部隊の部隊長と補佐だ。 淋しかった俺の周りが一気に賑やかになって嬉しい。
へへ! リンゴさん、あなたの守りを固めるのは、里でも最高の忍び達ですよ? よかったですね。



「まあ! アスマちゃん! やっとお母さんと呼んでくれたのね?」
「・・・・やっとって・・・・ 昨日の今日だろ?」
「ふふふ。 なんとなく感動的なノリで、言ってみました!」
「ははは! おれが言うのもなんだが、お似合いだ。 楽しい人だな、母さん。」

「当然じゃ。 ワシのリンゴちゃんは、優しくて楽しくて、オマケに美人なのじゃ!」
「くすくす! ゼンちゃん、褒めすぎですってば! アスマちゃんの前で。 恥ずかしいv」
「ほほほほ。 このはにかんだ顔が可愛いのじゃ。 のう、アスマ、そう思わんか?」
「へーへー。 今すぐ子供が産まれても不思議じゃないほど、ラブラブだと? けっ!」

これをなんと呼ぶべきか。 火影室で俺達を出迎えてくれた三代目とリンゴさんは、お似合い夫婦。
一緒にお茶を飲みつつ、ホンワカタイム実施中。 いや、ほんとマジで長年連れ添った感バリバリ。
もう子供が巣立った後の、老後の生活を楽しむ老夫婦丸出し。 片方はめちゃめちゃ若いけどな!

「・・・・・・ゼ、ゼンちゃん。 バレてました、どうしましょう。」
「リンゴちゃん、まだ安定しとらんから、慌てるでないぞ?」
「「「「・・・・・???」」」」

「さすがは我が息子、アスマ。 実はの、昨日発射しての、一発必中じゃ。」
「安定期に入るまでは、公表しない予定だったのです。」
「ワシもいい年じゃからのお。 活きのよい種がたくさんいる内に、と思ってな。」
「出来ちゃった婚なんて、今時、珍しくないですが。 内緒にしてて下さいね?」

「「 ・・・・・・・マジでっ?! 」」
「 でかした、親父っ!! 」
「 さすが三代目っっ!! 」

「「へ?!」」
「「ん??」」
「「・・・・・ふたりともホントの兄弟みたい。」」
「「あははは! そっちこそ!」」

なんてこった! プランCが現実になろうとしてる!! てか、やっぱり三代目は偉大だ、スゲー。
リンゴさんもね? “ゼンちゃん”だって! どうなの、たった一日でこのラブラブっぷり!
ビワコさんといい、リンゴさんといい、本当に三代目は良い伴侶に恵まれてる。 うん、そうだよ。
いつも戦いに明け暮れていた三代目に、これぐらいの幸せがあったって、いいじゃないか。

三代目、任せて下さい、これはチーム嫁探し改チームアス母と、猿飛家だけの秘密ですよ!
そのまま胎盤にくっついて、無事に産まれてくるといいですね! やっぱり今日は赤飯にします!
やっほーい! これでやっと俺にも恋人がっっ!! あ、アスマ兄ちゃんの嫁探しはその後ね?





「ところで三代目、ご報告があるんですが。 オレ達も嫁を見つけました。」
「何?! それはめでたい! すぐ連れて来い、ワシが許す!」
「もう目の前にいます。 なんか楽しいんですよね、一緒にいて。」
「目の前に・・・・ はっ! ・・・・・リンゴちゃんは駄目じゃぞ?! 売約済みじゃ!」

「「違います! イルカですっ! イルカを嫁に貰いますっ!!」」
「・・・・・・へ? お、俺?!」
「よかったな、イルカ。 まぁ、頑張れや。」
「むむむ・・・・・ イルカか・・・・。 気に入ったのなら仕方なかろう。 よし、認める!」
「「わーい!!」」

や、あの・・・・・・ ストップ。 ちょっと待って? 頭を整理させてもらっていいかな?
俺に恋人を紹介してくれるはずでは?? 俺が嫁にいくの?! なんで?! 俺が貰うはずでは??
なにがどうなってそんな話に?! 整理しても整理しても、全くもって謎のままだ。 まじですか?