火影の嫁探し 9   @AB CDE FHI JKL




「 アスマや。 今まで忘れんでくれてありがとう。 お前の気持ちはちゃんと届いておる。
  彼女がお前の母になっても、わたしは消える訳ではないぞ? ヒルゼン殿を支えるのじゃ。
  皆がこちら側に来た時、色々な話を聞かせておくれ? その日を楽しみに待っておるよ。
 」

「・・・・・・・・イルカ。 バレバレだぞ? 人の枕元で何してるんだ?」

・・・・・・・ちぇっ! ビワコさんに変化して、愛息子の枕元に立ち思いを断ち切ろう作戦、は失敗。
だってマザコンのアスマ兄ちゃんは、ビワコさんの言う事なら、耳を傾けると思ったんだもん。
母さんがおれの枕元に立った、リンゴさんおれの母さんになってくれ! ・・・・て、なるハズだった。
なんで分かったの? 昔の記憶だけど声も姿も、結構忠実に再現できてるって、自信あったのに。

「・・・・・・家じゃ母さんは、親父の事を“ゼンちゃん”と呼んでた。」
「おおーーーー、三代目はそんな風に呼ばれてたんだ?」
「・・・・・ああ。 “ビワちゃん”“ゼンちゃん”って呼び合ってた恥ずかしい夫婦だった。」
「恥ずかしくない! 誰だって公と私は使い分けてる! へへへ、そうか、三代目がねぇ。」

「・・・・・で? 何しに来たんだ? 朝っぱらから。」
「え? そりゃ、三代目の再婚を祝福して・・・・・」
「あぁ? それだけは断じて認めんぞ!!」
「むかっ! 親父に似て、頑固者!! リンゴさんは良い人だっっ!! この・・・・ マザコン!!」

もういい! 俺のこの作戦、プランAは失敗だが、チームアス母には、プランBもちゃんとある!
任務での作戦は、失敗した時の為に、常に用意しておくのが当たり前。 イレギュラーはつきものだ。
家に帰って報告しょう。 残念、上手くいくと思ったんだけどなぁ。 並みのマザコンじゃなかった。
マザコン度を軽く見ていたのが敗因だ。 敵は尾獣に匹敵するほどの超ド級マザコン、切り崩さねば!

「・・・・・マザコンって・・・・ まさか、おれの事か??」



「ねぇねぇ、アスマ。 ちょっとこっち見て? ・・・・・今だ! 写輪眼っっ!!!」
「・・・・あのな、カカシ。 額当てをとるポーズをした時点で、お前の目を見る馬鹿はいないぞ?」

「つまんないの! 大人しく暗示にかかりなさいヨ、楽でいいじゃないの。」
「・・・・一応聞くが、何の暗示をかけようとした?」
「無性にリンゴさんを母さんと呼びたくなる暗示。」
「・・・・・ほう。 まあ、同じ手は二度と通じないがな?」
「ちっ! この超ド級マザコンが!」
「・・・・・・超ド級・・・・・。」



俺の報告を聞いて、プランB提案者チームアス母 暗部部隊長のカカシさんが挑んだ。 が、あえなく玉砕。
残るはプランCだ。 それでも駄目だったら? はぁ?! 拷問部に洗脳してもらおうか、だって?!
そんな事駄目に決まってるでしょう?! まったく! エリートの考える事は強引すぎるっっ!!
・・・・・え? プランBは、写輪眼でお母さんと呼ぼう暗示作戦?! な・・・・ なにぃ?!

「何考えてるんですかっ! そんな身も蓋もない事は駄目に決まってます!!」
「エ―?! そうなの?」
「・・・・・・アスマ兄ちゃんが冷静で良かった・・・・・・。」

「じゃぁ、プランCも駄目ですか? 既成事実公表作戦なんですが。」
「・・・・・・き、既成事実・・・・って??」
「リンゴさんのお腹には、三代目の子供がいるんです!」
「ぇ?! マジで?! どんなヒット率?! てか、三代目ってスゲー!!!」

うわ!! さすが火影だ。 お人好しでも優柔不断でも、三代目火影 猿飛ヒルゼンだ!! 隙がねぇ!
俺にその行動力の欠片でもあれば、今頃は紹介を待たずして、姉さん女房的な恋人がいたはず!
これはもう、認めるしかないだろう。 アスマ兄ちゃんはあの顔で、可愛いモノとか結構好きなんだよ。
もし自分に年の離れた弟が出来たら・・・・・ デレデレのベタベタになる事間違いなし!

これはビッグニュースですよ! 出来ちゃった婚なんて、三代目、やりますねーv 俺もめちゃ嬉しい!
あ、今日の夕飯はお赤飯にしましょうね? 混ぜご飯は嫌いだけど、炊き込みご飯は好きなんですよ、俺。
やー、火影一家にもう一人増えるんですよ? めでたい!! 俺、アスマ兄ちゃんに知らせてきますっ!



「・・・・・行っちゃいましたね。 先輩、いいんですか?」
「ウ〜ン・・・・ イルカが言った方が、真実味がでるかも。」
「あ、それもそうですね。 ちぇ。 ボクが考えた作戦なのに。」
「まあまあ。 オレも警戒されてるだろうし、テンゾウが行ったら即アウトだよ。」

「・・・・・・まさかとは思うけど・・・・・・ プランCだ、って分かってるよネ?」
「・・・・・・多分。 ボク、ちゃんとプランCだって言いましたよね、先輩。」
「・・・・・・・・・あー・・・・ 一応、様子見に行こうか?」
「・・・・・・・・・そ、そうですね。 その方がいいかも。」

「「イルカだし。」」