死人〈しびと〉探し 10
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あ〜あ、安心して寝ちゃってるヨ。 狼が二匹横にいるのにネ? うみの中忍は目下、スヤスヤ爆睡中。
テンゾウもオレも、眠れやしない。 真ん中にうみの中忍、オレ達は両端、三人で川の字になって寝てる。
というか、くっついてるし。 布団を横にしてるから、正確には十の字だ。 なんだろーねコレ。
布団がひとつでも、こうやって横にすればお腹だけでもかけられますよ、ってね。 この彼が言ったのヨ。
「忍びはさ、雑魚寝は慣れてるよネ? 立ったままや座ったまま寝る事も多いし。」
「戦忍は野宿は当たり前。 潜入員は違うんでしょうか。」
「里の中ならいざ知らず、横になって寝るなんてあり得ないんだケド。」
「でも、一緒になって寝ちゃいましたよね、ボク達。」
「「ほんと、不思議・・・・。」」
このうみの中忍が敵の潜入員だったら、オレ達はとっくに死んでる。 出された食べ物を食べたし、
手すがら食べさせてもらたったり。 果ては、ひとつの掛け布団を腹にかけて、一緒に寝転がっている。
暗殺戦術特殊部隊の、それも部隊長と補佐が。 お腹は冷やすなとかなんとか、教わったんだネ?
敷布団も横にして半分折って、横長の枕代わりにした。 麻のシーツもやっぱり横にして畳の上に。
足が出るからくっつけていましょう、なるべく寄ったほうが温かいですよ、三人もいるしね、なんて。
思わずこの方がもっと温かいよ、って言いながら裸にひん剥いてやろうかと思ったヨ。 ・・・・でもネ?
「カカシ先輩・・・・ ボク・・・・ この人欲しいです。」
「・・・・オレも。 なんかいろいろもってかれちゃった感じ。」
「年貢の納め時ですかね、ボク達。」
「散々遊んだしな、そうかもネ。」
やっぱ、お前もそう思ったんだ? オレはテンゾウより暗部生活長いけど、グレてた時期が長かったから。
コンビでよく三代目に遊びに連れ出されたっけ。 暗部・遊郭デビューはオレの方が大先輩。 けど・・・・
生還の楽しみを知ったのは、ほぼ同じだ。 まったく息の合ったトップツーだと、仲間の誰もが認めてる。
「男か・・・・・ 知識だけはありますが。」
「うん。 三代目大の女体好きだったしネ。」
「そっちもいろいろ勉強すれば良かったですね。」
「そんな変わんないよ、むしろ気持ちイイポイント、わかるじゃない。」
そう、オレ達は三代目にいろいろ遊びを教えてもらったから、女の抱き方はそれこそ海千山千。
男の体は抱いたことないんだよネ。 戦場での里からの慰安支援にも、馴染みの遊女達が出向いてくれたし。
今日一日で、うみの中忍そのままを抱いてみたくなった。 つまり、変化させず、男の体のままで。
全く安心して寝てる・・・・ まさかオレ達が、こんなコト考えてるなんて思いもしてないだろうネ。
そっと頬に手をやってみる。 あ、テンゾウも手を伸ばしてた。 目が合って、思わす苦笑いする。
手の甲で感じるうみの中忍の頬の感触・・・・ うん。 温かい、生きてる人間のホッペタ。 当たり前か!
「「!!!!!!」」
「父ちゃん・・・ 母ちゃん・・・・ へへへ・・・・」
「くすっ。 どっちが父ちゃんで、どっちが母ちゃん?」
「ふふふ。 この場合は、どっちも父ちゃんですよね。」
頬に温かさを感じたうみの中忍は、オレ達の手をキュっと抱き込んで、笑いながら寝言を言った。
なんだろう、スゴク体の中が温かい。 多分、コレを守る為なら・・・・ どんな鬼にでもなれる。
ごめんネ、もう我慢できなくなってきた。 所詮オレ達は小僧。 三代目のように遊びの頂点にいない。
日頃のお楽しみに、愛玩忍を愛でる心の広さも、持ち合わせてないの。 師匠オレ達・・・・未熟者です。
「ん・・・・・ ん?? え?? あ、なに?? ふぅ、んん・・・ ぁ・・・・」
「ね、うみの中忍。 ご褒美頂戴。」
「はっぅ・・・ んん な・・・の・・・んん!」
「応援に来たご褒美。 うみの中忍がいい。」
「あ・・・・・ ど・・・・どう、ぞ? でも、ひっ! 何をすれば・・・・んん・・・」
「何も。 何もしなくていいですよ。」
「そう。 ただ言われた通りに、ネ?」
計画ではご褒美はクラブSを貸し切って、 【禁断の地 淫妖植物地獄】 ごっこをしようと目論んでた。
もうそんな遊びは卒業だ。 生きて帰って、この心と体に包まれるだけでいい。 他になんにもいらない。
温かい心、我慢しないで聞かせてくれる声、言う通りに開いてくれる体、ブッ飛ぶほど気持ちよかった。
一から教える調教の醍醐味。 ・・・・なんなの?! 素直な心も、声も、体も、めちゃくちゃ最高!!
ああ、これって、俗に言う ≪恋≫とか≪愛≫ っていうヤツ? そんなの一生縁がないと思ってた。
人間はひとりじゃ生きられないなんて、バカな弱者のいい訳だと思ってたヨ。 でも違ってた。
多分もう、彼がいなくちゃオレ達生きられない。 この腕に抱いて、抱きしめられたいと、心底実感したヨ。