死人〈しびと〉探し 5
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木の葉の忍服を着た男性ふたりが店内に入って来た。 みと屋では木の葉の忍びはお得意様らしい。
タツキさん曰く、任務の帰りによく土産を買って帰るそうだ。 まあ、小物なんかも置いてあるしね。
髪留めやミサンガ、よくみると忍び用にゲートルやポーチまである。 なるほど、商売上手だ。
「いらっしゃいませ、いつも御贔屓にして頂いてありがとうございます。」
しかしふたり共、戦忍丸出しで目立ってるな・・・・ 鼻と顎に覆面ひっかけて、額当ても個性的だ。
一人は斜めにして片目を隠してるし、もうひとりは扉間様のマネっこだ、二代目のファンなのかな?
里からの繋ぎだったみたい、俺が潜る時用によく使ってる今回の合言葉を言った。 よし、指文字を送ろう。
へへ、じっちゃんにこの前教わったんだ! いろいろ勧めるふりして、ふたりの太ももに指文字を書く。
「「!!!!!」」
〈テキトーに何か買って、裏の中庭の巣で待っててもらえますか?〉
「「・・・・・。」」
「お、おにーさん・・・・コレ頂戴。」
「あー ・・・・ボクは、コレで。」
「はい、かしこまりました、ありがとうございます!」
うわぁ、さっき触れた太もも、無駄がない! いいなぁ、強いんだろーなぁ、必殺技とかもあって。
戦忍の人って、ホントしなやかな筋肉してる。 俺、いらない肉すぐついちゃうから羨ましい。
はは、潜入部隊の俺が羨んでも畑違い。 じっちゃんもコレぐらいが丁度いい、って言ってくれたし。
戦忍っぽくないほうが、潜入には向いてるんだから! けど、いまいち女の子には受けないんだよね。
「お待たせしました! すみません、なかなか抜けられなくて。」
「ストップ! その前に確認したいコトがあるんだケド?」
「指文字を書くのは良いんですが、なぜわざわざ太ももに?」
「え? 三代目が指文字はももに書け、って教えてくれたんですが、間違えてましたか?!」
「「・・・・・いや? エロ爺・・・・ 」」
ここは俺の住み込みの部屋。 みと屋の裏手の中庭にある、住み込みの奉公人専用の長屋の一番奥だ。
こんな事もあろうかと、チャクラをぼかす香を焚いてある。 この部屋の中なら、例え戦忍がいても大丈夫。
潜入員のいる所は“巣”といって、他の忍びが応援に来た時に集まるから、きちんと巣作りをしておく。
三代目はオリジナル忍具をいくつも生みだしている。 この【モザイク香】もそのひとつだ。
「んで、アンタが、まだ みと屋に潜ってる中忍?」
「はい、潜入員のうみのイルカです! ・・・・ところで、今日はどういったご用件で?」
「え?! 蔵を調べるって、その後 式が来ないから三代目が・・・・」
「あ!! そうだった、術紙がもう無くなったんでした、ははは。」
「「・・・・・・・・・。」」
そうだ、じっちゃんからもらった術紙が無くなったんだった、紙も送ってくれって、念込めるの忘れた!
・・・・・え?! じっちゃんお手製の忍具、変化術紙をもらってきてくれたんですか?!
わざわざそれだけの為に・・・・・ なんて心の広い戦忍の方達なんだ。 ありがとうございますっ!
よし、早速じっちゃんに砂ネズミを送ろ・・・・ え?! 俺を手伝って下さるんですか?!
「とにかくせっかく来たんだから、さっさと死体を持って帰りましょう。」
「あー、これから首を突っ込もうと、じゃなくて、調べようとしてるコト、話してくれない?」
「助かりますっ! 結果によっては応援を呼ぼうと思ってましたから。」
「・・・・ところでうみの中忍、何してるの? ソレ。」
「え?! 三代目に式を作ってるんです、応援ありがとうございます、って。」
「・・・・舌を出して紙を舐めろと教わったんですか?」
「はい、生き物に変化させるには、本人の唾液と息が、生物になり息吹を与えると教わりました!」
「「・・・・・ほう。 エロ爺め・・・・ 」」
「ツツーーーッ、ぺロリ。 はぁ・・・ よーし、可愛い!! さ、三代目のとこに行っといで?」
「「・・・・・・・・まあ、コレはある意味、可愛いかも。」」
「でしょ? 砂ネズミって、なんであんなに可愛いんでしょうねv」
三代目に【ご心配おかけしました、応援ありがとうございます】と念を刻む。 砂ネズミが話してくれる。
あのちっこい体でピョンピョン跳ねながらじっちゃんに話す砂ネズミ・・・・・ 想像しただけで可愛い!