死人〈しびと〉探し 7
@AB
CDE
GHI
JK
自慢じゃないが、オレもテンゾウも昔っから強かった。 モノ心ついた時から忍術をバンバン使ってたし。
超不幸だった過去もなんのその。 世の中には楽しいコトがイッパイあるんじゃ、と三代目に教わった。
キレーなお姉さんがサービス満点のご奉仕をしてくれる。 出せばスッキリ、気分爽快リフレッシュ。
お腹すいたら食べに行くか、電話すれば持ってきてくれる。 信用出来る料亭や宅配忍は限られてる。
自炊はするけど、糠漬けなんてしたコトなかった。 ヨボヨボでクタクタの大根。 不思議と美味しいネ。
オレ達暗部は危険度大の部隊だから、収入も大。 体を作る“食”には、アレもソレも金を惜しまない。
「・・・・・なんかさ、落ち着いちゃうよね。」
「・・・・・今、任務中なんですよね、一応。」
「ふふふ、はい、食後のお茶もどうぞ?」
「「・・・・・頂きます。」」
この信頼感溢れる目がイケない。 潜入部隊の連中は信用させるのが仕事なのに、本気にしそうになる。
・・・・まあ、三代目ご贔屓のこのうみの中忍は、下心があってそうしてる訳じゃないと判ったけど。
あ〜あ、頭から信用してるよネ、絶対。 なんだこの箱入り息子は。 しかも相当、愛玩忍と化してるヨ。
よく今までヤラれなかったもんだ。 ・・・・・あ、だから“贔屓しとる”なのか、ナルホド。
「わざわざ公言してるのは、お手付きだと勘ぐらせる為か。」
「ですね、三代目の遊びは派手ですから、あり得るかもって。」
「・・・・多分さ、まだ無事な感じだよね、ウシロ。」
「・・・・三代目の影がチラついてますからね、彼。」
懐メロっぽい曲をハミングしながら洗い物をしいている中忍。 ねえ、その曲の歌詞エロいよ、知ってる?
“恋の奴隷”っていう曲で、三代目が行きつけのスナックでよく歌うんだよネ。 結構ノリノリで。
映像もハンパない。 ポルノ? え、これポルノなの?? みたいな、かなりイケてる映像がながれる。
うみの中忍のハミングに合わせて、こっそりふたりで歌ってみた。 三代目も絶対そうしてるはずだから。
「「あなたに会ったその日から〜 恋の奴隷になりました〜♪」」
「♪右といわれりゃ右向いて〜」
「♪悪い時はどうぞ、ぶってね〜」
「「あなた好みの、あなた好みの、女に〜 なりたい〜♪」」
火の国の花街の有名どころの廓は制覇した。 廓の女達はみんなプロだから、きっちりわきまえている。
他国では怖くてハメをはずして遊べないけど、火の国ならお家元。 ガツガツ腰振るたび、生を実感。
それこそいろんな遊びを体感したけど、日常生活にも潤いを・・・・ なんて考えた事もなかったヨ。
さすが三代目、エロと愛の伝道師。 普通にやってるトコロがツボ。 褒美にねだったら、くれるかな?
「じゃぁ、その蔵を覗いてみよう、と思った訳だね?」
「はい。 あそこに奉公人失踪のカギが隠されていると思うんです。」
「でも、ボク達が来たんだから、直接入って探ってくるよ。」
「よかった、これならもうすぐ、里に帰れるかもしれませんね。」
どうやらこの店に新しく来た住み込みの奉公人は、みんな姿をくらますらしい。 行方不明というヤツだ。
長く務めているのは三人だけ。 後は新人が入れ替わり立ち替わりで、蔵に近付いてはいなくなる。
今回の遺体を引き渡しただけじゃ、また同じことが繰り返される・・・・ そう感じたと。
ただの愛玩忍じゃなく、抜けてるけど、ちゃんと先を考えて行動してる。 ヤバイ、これはハマるかも。
「わかった。 その漆黒の蔵というヤツには、オレ達が入るから。」
「うみの中忍は、そのまま潜ってて下さい。 みと屋の奉公人として。」
「助かります。 俺も実は、どうしても確かめたい事があるんですよ。」
「「??」」
「まさか・・・ 危ないコトじゃないよね?」
「あははは、まさか。 前回の式で、すでにお願いしておいた事なんです。」
「ボク達が来る発端になった、砂ネズミの式に?」
「はい。 待ってる間に、蔵を覗いとこうかなって・・・。」
「「・・・・・・。」」
三代目、それに関しては何にも言ってなかったなぁ。 なんか送ってもらう予定だったのか。
それがなかったら、蔵を覗けないというほどのモノじゃない。 あくまでも待ち時間で蔵探り、なんだから。
今のところ、なんだかあの漆黒の蔵が、一番問題のあるトコロのようだ。 そっちは引き受けるからネ。
アンタは、おとなしく三代目にお願いしたモノを待っている、これがエロ爺の望みだと思うヨ?
『ちとトラブルに巻き込まれそうでの』って、三代目も言ってた。 きっと蔵探索がトラブルの元なんだ。