死人〈しびと〉探し 6
@AB
CDF
GHI
JK
三代目が『馬鹿息子と違って』なんて言うから、てっきりアスマさんと同じ位の年かと思ってた。
ボク達を見つけて寄って来た時“これぞ、接客!”みたいな笑顔でニッコリほほ笑んだ青年。
合言葉で確認したら、彼だった。 どう見ても若い、ひょっとしたらボク達より下かもしれない。
カカシ先輩も、そこまで抜けてないよ、みたいな感じだったしボクもそう思ってた。 やっぱりそうか。
一応持って行け、と術紙を渡された。 いるのかコレ、って思ってたんだけど、ドンピシャだった。
まあ、まだ動いてなかったようだから、トラブルに巻き込まれるのは阻止出来たらしい。
・・・・・・・・てか、さっきも思ったんだけど、この人、三代目を盲目的に信用し過ぎ!!
「先輩、指文字は手の甲や腕に書きますよね、普通。」
「式の作り方も。 念込めて術紙を折ればイイだけ。」
「三代目、絶対楽しんでますよね、コレ。」
「なあ、アスマが家出したのって・・・・。」
ソフトタッチで太ももを撫でるし、舌を伸ばして術紙を舐めるし。 息を吹きかけるって何ですか、アレ。
『はぁ ん・・・』って、まんま喘ぎじゃないですかっ! 立派なセクハラでしょ、コレもう。
これだけ調教し甲斐があると、楽しいし面白いでしょうね。 そういう意味では確かに、可愛いですよ。
三代目は調教がてらセクハラを楽しんでいるが、当の本人は気付いてない。 もの凄く信頼を寄せている。
「でも巣作りはちゃんと出来てるし、もう遺体も見つけてるんだよネ?」
「そうですね、潜入も店員そのものでしたし、中忍の実力はありますよね。」
「・・・・・抜けてるけど最低限押さえてるトコは押さえてる、みたいな感じ?」
「合言葉も熱血っぽい言葉でしたから、本人はいたって真面目なんでしょう。」
確かもう本来の任務は完了しているはず。 “遺体を発見”と報告があったと、 そう最初に聞いた。
たった二週間で潜入に成功し、結果を出す。 その上で何かを探るなんて、優秀だと認めざるを得ない。
各潜入員の使う合言葉は、本人の趣味とか意向とかが反映される。 なんじゃこりゃ、みたいな言葉も多い。
【全ての道は火の国に通ず】なんて、火の国のお抱え木の葉隠れの里、その忍びとしての誇りすら感じる。
「はい、どうぞ。 朝の残りモノです。 お口に合うかわかりませんが。」
「・・・・・みそ汁?」
「・・・・おにぎり?」
さっきからなんか良いニオイがすると思ったら、おみそ汁のニオイだったのか。 塩にぎりも作ったんだ?
ボク達暗部は、というか上忍連中もそうだけど、巣であっても他人の用意した食べ物は口にしない。
賞金目当てで首を狙う敵が大勢いるから。 いくらボク達でも内臓は完璧に鍛えられないしね。
ある程度の毒や薬の耐性はつけてるけど、未知の毒や新薬を仕込まれたらどうしょうもない、だから。
「へへ、里から駆けて来たなら、お腹がすいてるだろうな、って思って。」
「「・・・・・・・・。」」
「あ! 大根の漬けたのがあった、食べます?」
「「・・・・・・頂きます。」」
絶対他人の作った物なんて口にしない、そう思っていたのに。 ニコニコ笑顔の彼を見てたら頷いていた。
ボク達が食べてるとこをじーっと見てるから “美味しい” と言ってみる。 次の瞬間フリーズした。
タクアンが目の前に、というか口元に、差し出されている。 とびっきりの笑顔のオマケがついて。
「あ〜ん。」
「「ア? ・・・・・・アーーーーン。」」
「美味しい、って言ってくれたから。」
「「ポリ、ポリ、ポリ、ポリ・・・・。」」
「わわ、すみません! 三代目が喜ぶもんで、つい・・・・。」
料理を褒められたら“よっしゃ!”とガッツポーズです、間違っても“あ〜ん”じゃありません。
三代目、美味しいと言っては食べさせてもらってる訳ですか。 なにが『贔屓にしておる』ですか。
いっつも、いっつも、こんな素直な気質の人をダマクラかして、セクハラ三昧ですか。 ・・・・でも。
「「・・・・・・あ〜ん。」」
「あははは! ひな鳥に餌あげてる気分になって来た!」
「「ポリ、ポリ、ポリ、・・・・。」」
「美味しいですか?」
「「・・・・うん。」」
カカシ先輩もボクも、タクアンのおかわりをねだってた。 たかが大根。 ヌカに漬けただけの根菜。
なのに高級火の国野菜の聖護園大根の千枚漬けより美味しいと思ったのは、気のせいじゃないはず。
褒美にこの人を抱いてみたい、って言ったら殺されるかな? なんて、考えながら完食した。