死人〈しびと〉探し 4
@AB
DEF
GHI
JK
三代目の“頼み”とはほぼ私的な用事。 血生臭いニオイのする時は“任務”と呼び出される。
今回は頼みなのに、なぜが任務だった。 贔屓している中忍の潜入員をサポートして来い、だって。
彼が潜っているみと屋は、今まで表だって何かするという事はなかった。 とくに苦情も寄せられていない。
けれど、一代で富を手にするヤツは、なにかしらの秘密を抱えてる。 まあ、企業秘密とも言うが。
「“それに伴い”ってコトは、見過ごせない何かがあったんだろうネ。」
「時間がかかってるっていう事は、面倒な事なんでしょうね、きっと。」
「多分。 潜入員は、よっぽどじゃないと忍術を使わないし。 報告も術紙だしネ。」
「・・・・単に式に使う術紙がなくなっただけ、とか言わないですよね?」
何枚ぐらい術紙を用意してたのかわからないけど、そこまでは間抜けじゃない・・・・ と思いたい。
今回の依頼は、遊んでた花街である芸子に頼まれたらしい。 三代目の場合、よくあるパターンだ。
ひょっとしたら一夜をもらったのかもしれない。 まあ、下半身も元気に越したことはないんだケド。
「私的な頼みと任務の中間・・・・ってトコかな。 何もなければそれでイイし。」
「なんだか頼りないようなそうでないような・・・・ 謎な潜入員ですね。」
「アスマと同じ位だろ? オレよか年上の男のくせに可愛いもクソもないと思うんだケド。」
「ボク達はもう可愛げがないんですよ、きっと。 とっくに巣立っちゃいましたから。」
そう、オレもテンゾウも、ちっこい頃から可愛がって貰っていた。 なんだかんだで三代目を慕ってる。
オレは親父を早くに亡くし、テンゾウは親の顔なんか知らない。 だから三代目を親父だと思ってる。
本人もオレ達忍びの親だ、と恥ずかしげもなく公言してるし。 どエロ爺だけど、我らが火影だ。
そんな親父から巣立ち、オレ達はその片腕と言われるまでになったが、実の息子アスマは違う。
「なあ、アスマが里を飛び出したのって・・・・ その中忍が原因じゃないの?」
「あーーー、考えられますね、そっちばっかり可愛がるから・・・・ みたいな?」
「偉大な父に遅すぎる反抗期か。 バカアスマめ。 里をほっぽらかしやがって。」
「逆に、その中忍がいたおかげで、三代目も淋しくないとか?」
「それはいえる。 よし仕方ない、いつも通り、エロ爺の為にヒトハダ脱ぐか。」
「結局、三代目の我儘は、ボク達暗部の仕事になるんですよね、直轄部隊だし。」
全くだ。 暗殺戦術特殊部隊を私物化して、反乱を起こさせないっていうのは、ある意味尊敬に値する。
あの人柄に、皆が惚れこむんだ。 エロ爺だけど愛情がある。 それが手に取るようにわかるから。
ご褒美が美味しいコトも皆が知ってるしネ。 オレ達の使い方をよく知ってるんだよ、悔しいコトに。
生きて帰った後のお楽しみって言うの? 人間欲望には忠実に、ってね。 ためると体に良くないし。
「前回は“ソープ桃の雫”のVIPスペシャルでしたよね?」
「贔屓の中忍君か・・・・ コレは期待できるネ。」
「ボク一回、忍術可のクラブSを貸し切ってみたいです。」
「・・・・・成長したな、テンゾウ。 よし、リクエストしてみよう!」
アソコは元潜入部隊のくのいちがオーナー。 本番はダメだけど、忍術の使用許可が売りの会員制クラブだ。
テンゾウが木遁で女達を弄りまくってるのって、結構燃えるんだよネ。 オレの土遁を組み合わせれば、
『 〜禁じられた遊び〜 近付いてはいけない禁断の土地 そこには淫妖植物の根がはびこっている 』ってか?
ちょっと、イイじゃないの、ソレ! 舞台作ろうよ!! んー、なんか知んないけどヤル気が出て来た。
「爺の贔屓の中忍君、なるべーくピンチでいてね!」
「危機一髪をボク達が助ける、みたいな感じですね?!」
「そう! でもって、三代目に猛アピールしてもらう!」
「お好きなご褒美をあげて下さい、おれの命の恩人だから・・・ とか?!」
「「イイ感じ〜!!」」
散々盛り上って着いた先 みと屋では、アスマと同じ年どころか、テンゾウと同じ年頃の青年が迎えてくれた。
繋ぎの合言葉って、その本人の性格が出るんだよネ。 三代目の贔屓の中忍君は、愛国者らしい。
「「・・・・・全ての道は?」」
「・・・・火の国に通ず!」
忍服着てるから合言葉なんて意味ない、と思うなかれ。 結構敵の変化だったりするんだな、コレが。
繋ぎの為に潜入員は、毎回合言葉を自分勝手に決めていくから、確認しとかないとエライ目に合う。
スルーされるだけじゃなく、下手したら応援を呼ばれて、同士討ちになるコトだってあるから。
合言葉を確認しなかったが為に味方に殺られたんじゃ、シャレになんない、慰霊碑にも刻まれない。