毒を喰らう 2
@BC
DEF
GHI
JK
「取り込むのに時間がかかり過ぎだ。 護衛の要請もまだない。 今どうなってるのかを知りたい。」
「・・・・そんな強い奴なら“毒”を行かせなければイイじゃないデスか。」
「ボク達が普通に暗殺して来ますよ、綱手様。」
「依頼人たっての頼みだ。 最後まで気付かせず、綺麗に死なせてやりたいと。」
さっき連絡を受け、カカシ先輩とボクは毒の護衛に行くことになった。 依頼主は鉄の国 ミフネ様。
毒の・・・ イルカさんのターゲットは白金〈しろがね〉城の城主。 香月 キリト。
大陸唯一の中立国、鉄の国の大将が忍びを雇うとは、何か深い事情があるのだと想像できる。
わざわざ木の葉にそういう依頼をしたのは、どこかで暗殺成功率100%の、毒の噂を聞いたからだろう。
場所も時間も、殺し方までも、全て自在。 指定したその通り、暗殺を実行する・・・と。
相手は鉄の国にこの人ありき、と言われている勇猛果敢な武将だ。 彼なら対忍び用訓練も受けている。
幻術対策も暗示対策も完璧だろう。 どちらも相手の目を見なければ良いだけだ。
木の葉の里のマイト・ガイ上忍など、優れた体術者が、そうやって瞳術対策をしている、が、
並の人間にはまず不可能だ。 それが出来てしまうから、彼は鉄の国 次代大将の、最有力候補でもある。
「香月か・・・ 一対一で正面からいったら、まず、勝てないネ。」
「まあ、ボク達は忍びですから、一対一で正面からいく馬鹿はいないでしょうけど。」
「ふふふ、侍の謎な部分だね。 正々堂々、一騎討ち、死への美徳、数えたらキリがない。」
「自害に対する潔さダケは、オレ達忍びにも相通じるものがありますが、それダケですネ。」
「後はナンセンスですよね、そんなことしてたら、戦いでは生き残れませんから。」
「ふっ、価値観の違いだ。 侍からみると私ら忍びは、背中から斬りつける卑怯者らしいぞ?」
大将であるミフネ様が、切腹を申しつけられない理由。 考え抜いた末、五代目に頭を下げたのだろう。
そんな卑下していると言ってもいい忍びに頭を下げるなんて、一体どんな理由があるというのか。
木の葉の里としては、中立である鉄の国に貸しが出来るこの機会を、逃すはずはない。
綱手様は白金城 城主 香月 キリトを、必ず侍の価値観に沿うやり方で暗殺する、とミフネ様に約束した。
「毒はすでに白金城に潜入している。」
「ボク達のチャクラは目立ち過ぎますよ・・・ ボクらが行って、暗殺した方が楽なのに・・・。」
「そう愚痴るな、これも里の為だと思え。 鉄の国と裏で取引が出来るんだ、こんな良い話はない。」
「・・・・・綱手様、 いのいちさんに協力してもらってイイですかネ?」
「なるほど。 考えたな、それが一番良い方法かもしれんな。」
「ボクらの身柄はイビキさんにお願いします。」
「よし、わかった。 カカシ、ヤマト。 毒の護衛に就け。 ・・・自分自身を守ってこいっ!!」
「「御意。」」
毒による白金城の近況報告は、先日山賊から助けた兄弟が、恩返しに城を訪ねて来たそうだ。
ふたりとも、浴室の清掃係として召抱えられる事になった。 頑張って働いているらしい。
香月 キリトとの性交には、今だ至る気配なし、信は重く置かれている、という事だった。
「お、来たな。 綱手様から連絡を受けて、いのいちも呼んである。」
「カカシはコピーして知ってると思うが、ヤマト、チャクラが使えないから体術しか頼れんぞ?」
「はい。 オリジナルは遠方まで効力があるんだ・・・ だからいのいちさんに頼んだんですね。」
「うん。 オレのは効力せいぜい30キロ。 だってコピーだもーん。」
今回いのいちさんに協力してもらうのは、毒の報告にあった兄弟の立場が、利用できるからだ。
その兄弟とボク達の中身を入れ替えてもらう。 中身が兄弟になったボク達の体はイビキさんに預ける。
多くチャクラを練る忍術に頼らなくても、対処できる体術があれば問題ない。 こっちはふたりもいるし。
向こうでの兄弟の記憶も、少し覗かせてらおう。 でないとバレちゃうからね。
それに・・・・ そんなに信頼されていながら、毒が手こずる理由も知りたい。
「ははは、普通は30キロもあれば十分だろう。 いくぞ? 心換身の術っ!!」
「お疲れ様、いのいち。 ・・・帰っていいぞ。」
「イビキ・・・・・ これは、極秘任務か何かか?」
「そうだ。」
「わかった。 せめて、子供な言動のカカシや、ヤマトをみてからと思ったが。 ・・・・残念!」
「何度も言わせるな、余計な詮索は無用だ。」
「おー、怖い、怖い。 俺は退散するよ。 じゃーな!」
「お、気が付いたか? ここは木の葉隠れ、忍びの里だ。 おれは森野イビキ、よろしく!〈ニコッ!〉」
「ひっ! ・・・・・ヨ、ヨロシ・・・・・・・〈バタッ!〉」
「ぎゃっ!! フ、フランケン・・・・・・〈バタッ!〉」
「なんだ? 白目向いちまってる。 まあ、おとなしくて良いか。」