再会の時 6   @AB CDF GHI JK




当たり前じゃない。 いくらイルカがオレ達の情人でも、暗部の個人情報なんか話さないヨ?
ンー でもカオル自身が口にしたんだから、話してもOKってコトだよネ? シークレットでもないしサ。
イルカは中忍だから聞いたコトないかもしれないケド、上忍の中ではほとんどのヤツが知ってるのヨ。
フフ。 好んでペラペラしゃべるヤツが少ない、ってダケ。 カオルは氷河一族の生き残りなんだよネ。

・・・・・・ウン、そう。 この北の土地に存在していた氷の国の隠れ里の、たった一人の、ネ。
氷の像に封じられてたらしいヨ? 猿魔が平定遠征の記念にと、ソレを持って帰って来たんだって。
そうなのヨ。 池の真ん中の小島で倒れかかっていた彫像が、ナニを隠そうカオルだったワケ。

他にたくさんの氷の像があったみたいだケド、原形を留めていたのはカオルだけで、後は・・・・ネ?
里側は、一族の子供達を助けようとしたんだろうと思うケド、ほとんどが壊されちゃったんだーヨ。
古臭くてパッとみはさえない彫像はイタズラに壊され潰された。 一体だけまともなのが残ってたの。

氷の彫像がたくさんあったという報告を聞き、三代目は不思議に思ったんだヨ、里内を知っていたからネ。
自分の記憶では、あの池の小島には彫像などなかったはず、ならばこれはもしかすると・・・・ って。
三代目の読みは当たった。 彫像に解術を施してみたら、人に戻ったんだヨ。 カオルは息を吹き返した。

だからってワケじゃないケド、カオルは三代目と猿魔に忠誠を誓った。 つまり、木の葉隠れの里に。

「・・・・・・そうだったんですか。」
「ウン。 こんなでも、誰よりも木の葉を愛してるヨ?」
「・・・・・・・・ “こんな”は、余計だ。」
「“種まき”も同情を買って黙認ですからね。」
「・・・・・・・・・ それも任務だ。」

これだもん。 コイツの自由な下半身は当然問題になったケド、三代目がワザとらしく大演説したのヨ。
“あ奴は氷河一族の血を残す為、一生懸命種付けをしておるのじゃ、理解してやってくれ”だってサ。
里の上層部は同情しちゃって、カオルの種付けに関しては黙認する方針を固めたらしい。 笑えるでショ?
そんなワケないのにネ? カオルは木の葉の里のコトしか頭にないダケの冷血漢で・・・・・ イルカ??

「ぅ・・・・・ 俺、知らなくて・・・・・ ごめんなさい・・・・ スンスン・・・」
「ヤ、あの・・・・・・ “ワザとらしく”ってトコ聞いてた?? コイツは・・・・・」
「カオルさん、一族を増やす任務、頑張って下さい、俺も・・・・うぅ、応援しますっ!!」
「・・・・・・・イルカが応援しなくても、カオルさんは食い放題だから。」
「・・・・・・応援されてしまったな・・・・ っふ。」
「「・・・・・・・・・・・・違うって。」」

カオルのちょいとばかり悲しい過去を知って、イルカはボロボロ泣き出してしまった。 しまった・・・・
で、ウケを狙うつもりで下ネタをフッたんだケド、これも・・・・ ヤ、これはオレがマズった。
三代目が上層部を説得した名セリフを、つい、なりきって話しちゃったから。 イルカが感動しちゃたヨ。
・・・・・大丈夫だと思うケド。 一切の情をシャットアウトしちゃう冷血男だし、ヤローに興味ないし。

「この地は・・・・ カオルさんにとって、辛い思い出の場所なんですね・・・・・ うぅぅ・・・・・」
「・・・・・・お前、聞きしに勝る涙もろさだな?」
「「・・・・・・・・・・。」」

「カオル、イルカの情に興味出た・・・・ とか。 ないよネ?」
「ええ、念の為に改めて確認しておきたいです。 一応。」
「心配するな。 おれはビービー泣かれるのが一番苦手だ。」
「「・・・・・納得。」」

ところでサ。 今回もアレでショ? カオルのコトだし、何も考えずに全員殺しちゃったんでショ?
スパ施設もどきに居たヤツ、一人ぐらい残しといたら情報を聞き出せたかもしれないのに。 全く!
でも、ま・・・・ 大筋は読めたーヨ。 その北王の噂を聞いたどっかの里が、三代目をおびき寄せた。
スパ施設で例え仕留められずとも、山頂にいる獣の話をして、狩って欲しいと頼むコトはできる。

近寄れば忍びでさえ命がない、そんな高位の口寄せ獣が棲んでいるらしい山頂に、獲物を向かわせる。
上手くすれば共倒れ、そうでなくとも手傷を負うはず。 そこを狙うつもりだったんだろうネ。
どこか遠くから、カオルの抹殺任務を見ていたのかもしれない。 それなら敵さんは撤退した後だヨ。

ナンも考えないで殺しまくったカオルのおかげでネ。 迅速かつ正確に、を文字通り受け止める男だから。
ひょっとしたら・・・・・ 働いていたという人間は、ほとんどが一般人だったかもしれないネ・・・・
三代目にスパ施設の無料券を渡したお婆さんも、ただ頼まれただけかも。 変化なら三代目が気付くから。

火影一人を殺す為、おびき出す為に一般人の駒を何人でも使い捨てる相手、それは間違いなく忍びの里だヨ。