再会の時 8
@AB
CDE
FHI
JK
・・・・・今回もまた、上手く使われた様な気がしないでもないケド。 仕方ないよネ、三代目だもん。
昔、氷の国の救援要請に間に合わなかったコトも、少なからず気にしているのかもしれないネ・・・・。
この地の暗殺任務にカオルを行かせたのも、故里の地を踏ませたかったからかもしれない。
カオルに行かせれば全てを破壊してくると分かってても。 自分を狙った輩の発見より情を優先、か。
幻の黒豹が、どうして主を亡くしても遺言を守り続けていたのか。 歴代火影が築き上げて来た里。
忍びと言えど失くしてはならない情があると知っている影達が治める里だからこそ、なのかもネ。
そしてその思いは、無償の愛情を与える獣によって、イルカに受け継がれたんだ。 火の意志として。
ま、イルカのは火の意志というより、なんでも許すし、やたらめったら可愛がる愛情だけどネ。
オレ達はその愛情にドップリ浸かっちゃってる。 一緒にいるとネ、たまらなく気持ちがイイのヨ。
オレ達三人は、あれからずっと仲良く手を繋いで登山。 忍びには雪山の恐怖とか、全然関係ないから。
下忍じゃあるまいし、体温調節の一つもチャクラで出来ないようじゃ、木の葉のベストは着れないでショ。
本当なら来る時みたいにシロとクロに変化して、イルカの懐に入って甘えながら登りたいのに、残念!
ヤー イルカに抱っこしてもらうと、ほんと気持ちが落ち着くのヨ。 不思議だよネ、テンゾウ。
ひたすら動物を求めてフラフラウロウロと、ほおっておいたらチョロチョロするからネ、イルカは。
だからおてて繋いで頂上を目指すんだーヨ。 ・・・・どっちかていうと、子供のブランコ状態かな?
オレとテンゾウがジャンプするでショ? 真ん中のイルカはブランブランしてるの。 もう大はしゃぎ。
「じゃ、カカシさん、テンゾウさん、俺、飛びますから! 投げて下さいっ!」
「「OK! 飛んでけっ、イルカッ!! それっ!!」」
「・・・・・はっ!! 待ってますからーーーーっ!! 」
5度目の大ジャンプで、イルカから手を放す。 その反動でポーンと飛んでっちゃった。 おー 飛ぶ飛ぶ!
一足先にイルカだけ頂上に。 ・・・・・イルカめ、狙ってたネ? 口寄せ獣に早く会いたいんだろう。
頂上付近にきて、いてもたってもいられなくなたんだーネ。 フフフ。 絶対待ってないヨ、アレ。
・・・・・なんか。 たかだか謎の口寄せ獣に負けた気分・・・・・。 仕方ないか、イルカだもんネ?
「・・・・・お? 結構綺麗な着地だな。」
「「一応、アカデミーの先生だし?」」
「そうだったな。 つい忘れてしまうな、動物マニアだから。」
「「・・・・・・・・マニアって・・・・。」」
動物マニア? そういえばアズサも動物フェチの猛獣使いだって言ってた。 確かにその通りかもネ。
だってオレ達が懐いちゃったもん。 それにカオルだって、自分の過去をポロリと言っちゃったし。
あのアズサもさ、文鳥に変化した時、木の実を食べたらしいヨ? 考えられないよネ、ホント。
イルカの情はいつもそこにあるの。 どんな時も同じだけイルカの中にあって、惜しげなくそれをくれる。
もう二回飛んで、オレ達も頂上に着いた。 そこで見たのはやっぱりな光景。 動物まみれのイルカ。
あのオコジョ・・・とかいう、オレがブン投げたヤツ。 アイツの連れがウジャウジャとたかってた。
雪に埋もれている様に見えるけど、雪じゃなくてオコジョが群がってたんだ、イルカに。 全くもう!
「あははは! どうした、もうランチは終わったのか? 全部お前の家族なの?? くすくす!」
「ハイハイ、アンタ達は自分達の巣に帰ってチョーダイ! ジャマなのっ!」
「ホラホラ! 行った、行ったっ! イルカが見えないじゃないか!」
「・・・・・・・なるほど、投げはアリだと言っていたな。 おれも参加するか・・・・・。」
カオルもオレ達に協力して、イルカからオコジョ軍団を引っぺがしてブン投げてくれた。 でも大丈夫。
オコジョはイタチ科なんでショ? くるくる回って上手に着地するヨ、イルカほど上手じゃないけどネ。
アー ようやくオレ達のイルカの可愛い顔が見えた。 イルカ、毛むくじゃらだったヨ、マジで。
不意に思ったケド、アレ捕まえて毛皮にしたとしたら、そうとうな数だーヨ。 死骸背負ってる様なモン?
さあイルカ、その最後の一匹を頭の下からどけて・・・・ っ?! ・・・・・・イルカ、そのまま。
ヤ、前から真のライバルは動物だと、知ってはいたケド、これは。 今まさに、それを実感した。
どこまでも獣に愛される体質らしい。 アズサも言ってたっけ。 動物センサーがついてるかも、って。
イルカがオコジョまみれになって寝っ転がってた雪の上、イルカの頭の下に残っていた最後の一匹は。
この頂上のどこらヘンに潜んでいるのかなと思ったケド。 そんな問題じゃなかった。 明らかに違う。
どう見てもイタチ科の動物じゃない。 オコジョと同じなのは色だけで、丸い尻尾と丸い体の獣だった。