あしらうは毒花 12
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「蚕村の抹消、雲の抜け忍三名の討伐、共に完了です。」
「首を封印してある巻物は、医療班に渡してあります。」
「うむ。 ・・・・・殲滅任務、ご苦労じゃった。 ・・・・・して、それはどういう事かの?」
「三代目、知っていましたけど・・・・ 暗部って凄いですねv」
首を封印した巻物は即、医療班に押し付けた。 最優先で防腐処理して、って。 外気に当て過ぎたし。
乾いてシワがイッパイ出来てたら、人相が変わってしまうけど、ウチの医療班は優秀だから大丈夫!
報告をしている間もずっと、イルカはボク達の腕を掴んだまま。 当然ながら、三代目の視線が痛い。
男三人、ただ腕を組んで並んでいるだけじゃない。 イルカの腕はまさしく “絡みつく” 状態。
この触り方、イヤラシ過ぎるから。 三代目の前で、事後の雰囲気をこれでもか、ってほど垂れ流し、
内側から絡めて、ボク達の腕の筋肉のつき方を確かめるように、何度も上下する指・・・・・。
“さっきまで致してました、今充実してるんです、俺” みたいな触り方をするイルカ。 MAX混乱状態。
「・・・・・・ほう? お主たちが自制できなんだとはの?」
「アー それなんですが三代目、オレ達と組めば問題ないですよ?」
「イルカが欲しい時に満たしてやれますから。 集中力も倍増です。」
「・・・・・・・お互いが足枷となり、生きる事に執着する。 ・・・・よかろう。」
「「やったっ!!」」
さすが三代目! こんな状態のイルカ、外に出せないでしょう? 自分が房術使いだと公言してる。
アカデミーの新人教員や、チョロッと受付忍っぽくないでしょう、どこから見ても。 その存在は極秘。
房術使いの正体は、ごく限られた信用のおける人間だけが知る事ですよね? ボク達の面と同じで。
自分の存在を公にしてはならない、その事をきれいさっぱり忘れているんです、今のイルカは。
勘の良い忍びなら、このフェロモンを嗅ぎわける。 それってマズイですよね? 危険ですよね??
房術使いモードと里の中忍モード。 今は混乱してこんな状態ですが・・・・ 見てて下さい。
イルカは、ボク達がひと声かければ、すぐ切り替えができるんですよ。 いいですか? 証明します。
「イルカ。 三代目に報告を。」
「イルカが覗いた記憶を全部。」
「!! はい、三代目。 あの村での事の起こりは・・・・ 始めは・・・・・・」
ほら。 どうです? 超優秀な情報搾取道具のままでしょう? ボク達と一緒に居るイルカは。
無意識でイヤラシく絡みついていた腕が解かれて・・・・ ちょっと淋しいけどね。 でも。
誰も知らなかったあの村での出来事、一部始終を報告する忍びとしてのイルカの横顔に、見惚れる。
この房術使いを、三代目はボク達に与えてくれた。 その期待には応えますよ、必ずね。
ボク達と一緒に居れば、イルカは安心して任務に集中出来るんです。 それはボク達も同じ。
だから・・・・ 最期は一緒に死なせて下さい。 でもボク達が守ります、それはもう死に物狂いで。
ボク達三人の死は担保です、あくまでも保険。 絶対に生き残ってみせますから、お互いの為に。
「うむ。 イルカや、お主が最後の証人じゃ。 秘密を洩らさぬように生き残るのじゃぞ?」
「・・・・・はいっ!」
「「大丈夫です、ご心配には及びません。」」
「ほほほほ。 ・・・・・・その意志を必ず貫いてみせよ。」
「「はい。」」
「時にイルカ。 あの仕立てた朱色の着物じゃが、どうする? 焼くか? それとも着るか?」
「大切に着ます。 他国の姫の血肉で出来た着物、それは彼女が生きた証ですから。」
「・・・・・まこと頼もしいの。 ワシはお主達三人を誇りに思うぞ?」
「三代目・・・・。」
「「それも 当然です。」」
「ほほほほ、ぬかしおるわ。 うむ、うむ。」
一緒に死ねるのは最大の魅力。 でももっと生きて、もっとイルカにイヤラシイ事を一杯したい。
イルカはまだ混乱したままだから、勘違いしているけど。 ボク達は羽多宵に惚れた訳じゃない。
自分が言ったんじゃないか、房術は俺の一部だ、って。 羽多宵もシンもイルカの一部、イルカ自身。
きっかけは羽多宵の姿だったけど、ボク達はあの目に宿る誇りに惚れたんだ、忍びとしてのイルカに。
それに気付くのは、まだまだ先だろうけど、今はまだこのままで。 ボク達も散々混乱したんだから。
煽られっぱなしじゃ悔しいから自分で気付いてね? 相性抜群のあの体とあの誇り高い心。
その誘惑に逆らえるはずがないけど、少しの憂さ晴らし。 暗部の長を籠絡した責任はとらなきゃね?