あうんの門の狛犬 10
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前部隊長は、今や木の葉カンパニーの自称会長。 今日のイルカ君の巡回場所を確認してみた。
火の国の中でもわりと大きな町に行くらしい。 で、あうんの門に先回りして、こっそり後をつけて来た。
先輩、思い出しますね、二年前の事。 ・・・・は? 違いますよ! ミニジョウロの話じゃありません!
はいはい、おかげさまで育ちました、もうちょいのトコロまで来て・・・・ あ、イルカ君が店に入った。
ペーペーの下忍から想像もつかないほど成長したイルカ君は、今や単独で町に放たれる客寄せパンダ。
他の下忍達のスリーマンセルの追随を許さないほど、ぶっちぎりで営業の花形だ。 もちろん現物支給の。
そのイルカ君がわき目も振らず入ったお店が、紅屋。 紅花の加工製品が有名な、大きな御店だ。
紅花からとれた油は食用に、加工してアロマオイルや香水、化粧品なんかを販売している。
なんと言っても有名なのが、紅貝と言われている口紅。 ハマグリの合わせ貝の中が口紅というヤツ。
これ持って行くと、花街の女が喜ぶんだぞ? って教えてくれたのは、木の葉カンパニーの会長。
そういう有名な御店だから人手には困らないだろうし、現物支給で頼むほど金に困ってはいないはず。
「おはようございます、べにやさん! お約束通り今日も来ました!」
「ああイルカさん、お待ちしておりましたよ? 坊ちゃまが奥でお待ちです、ささ、どうぞ?」
「今朝の坊ちゃまのおかげんはいかがですか?」
「まあ、イルカさんがお友達になって下さって・・・・ 坊ちゃまは喜んでおいでですよ?」
坊ちゃま? お加減がどうの、お友達がどうの、か。 ・・・・察するところその坊っちゃまは病人?
ひょっとしたらイルカ君は、病弱な坊ちゃまの話し相手になってあげてるのかも。 人見知りしないし。
・・・・あれ?? でも昨日、絵のモデルがなんとか、って言ってましたよね、イルカ君・・・・。
案内された部屋にイルカ君は入った。 ボク達ももちろん入る。 お決まりだけど天井裏から。
プスリと覗き穴を四つほど開ける。 後で木遁で補修しておくから問題ない、どれどれ・・・・・
なるほど、小さなアトリエ風な部屋だ。 あのワザとらしい咳をしているのが坊ちゃまか。
病気でもなんでもないように見えるけど? 肺や気管からの咳なら音が違う。 あんなに軽くない。
耳の横に筆をさして、いかにも絵描き風を装ってるけど怪しい。 目がギラギラしてるし・・・・・
・・・・・?! イ、イルカ君?! 何突然脱いでんの?! 絵のモデルって・・・・ 裸体?!
なんか、いきなりイルカ君がポイポイと忍服を脱ぎ出して、素っ裸になった。 額当ては首にかけて。
「今日は動かない様に頑張りますからね? へへへ!」
「こほっ・・・・・ ありがとう、僕がもう少し早く描けたら・・・・ こほっ!」
「どういうポーズをとればいいですか? 昨日と同じ??」
「いや、ここをこういう風に・・・・・ こほっ・・・・・・・こほ、こほ。」
ちょっとまったぁーーーっ!! イルカ君にポーズを注文するふりして、今なにやった、お前っ!!
ボク達の目はごまかせないよ?! その耳の横の筆、故意に触れさせただろっ、首にツツー って!!
見ろ、イルカ君がビクッってなったじゃないかっ!! 柔らかそうな小さな乳首が起っちゃっただろ?!
「これは、ココに巻いてもらっていいかな・・・・ こほこほ・・・・ こほ・・・」
「ぅえっ?! ひ、額当てを?! な、なんか間抜けなんだけど・・・ まあいいか。」
「こほ・・・・ この位置にあるほうが、こほ・・・・・ かっこいいよ、こほ こほ・・・」
「そう言えば、里のガイ上忍もここに巻いてるっけ! そうか、かっこいいのか・・・ へへ!」
なんでわざわざ腰回りに巻くの?! そんなとこに巻いてカッコいいのは、ガイさんだからだよ?!
注文通り、ヘソを隠すように額当てを腹に巻いているイルカ君。 腕を後ろに回して結び直している。
腰をクイっと突き出す格好で額当てを結んでいるから、当然小ぶりなゾウさんも小さく左右にフリフリ。
わーーーーー 病人っぽい怪しい絵描き風な坊ちゃま、イルカ君のゾウさんをガン見してる・・・・・・。
今にも舌を出して舐めそうな雰囲気だったから、仕込麻酔針を飛ばして、坊ちゃまには眠ってもらった。
見れば、ボクが坊ちゃまに飛ばしたのと同時に、カカシ先輩も仕込麻酔針をイルカ君に飛ばしてた。
?? イルカ君フラフラしてるけど・・・ 眠らない? そうですね、あれから二年も経ってますもんね。
じゃぁ、もう一本・・・・・ エイッ! ふぅ、時間差だけど、二本の仕込麻酔針でイルカ君も夢の中だ。
妙に凝り性の木の葉カンパニー会長が作った仕込、例の食料捕獲用仕込針は、今でも大変重宝している。
あの時は一本でダウンしたけど、今は二本か・・・・ イルカ君、修行積んでるんだね、エライエライ!
カカシ先輩とアトリエモドキに乱入。 今、忍服を着せてあげるからね? よいしょっと・・・・
「イルカ君の、可愛いですね・・・・ じゃなくてっ!! どうなってるんです、これ?!」
「写輪眼っっ!! ・・・・・ンー 記憶読んだ。 ワー イルカ君の弱い所ついてるネー。」
「カカシ先輩! 一人で納得してないで、何がどうなってこうなったのか、説明して下さいよっ!」
「余命わずかな僕の夢は、健康な肉体を描く事です・・・ って、イルカ君に言ったみたい。」
「・・・・・え、それ信じちゃったんですか?」
「・・・・・ソウなったからコウなったのヨ。」
・・・・・・今は亡きご両親が、ホイホイついて行くからと、帰巣本能を植え付けた意味がわかった。
ちょいボケだったあの頃と違って、手足もスラリと伸び、鍛錬で綺麗な筋肉もつけた立派な下忍。
無自覚営業スマイルが評判の15歳になったイルカ君は、大変食べ頃のフェロモンを垂れ流していた。