あうんの門の狛犬 5   @AB CEF GHI JKL




テンゾウが言った通り、中に下忍がいた。 だがヤツらは木の葉の下忍とは思えないほど無神経だ。
人が帰っていない家に上がり込んで、冷蔵庫の中を物色。 “あと少しで空だぞ?”なんて。
お前らそれでも里の忍び? 仲間を待っているフリしながら食料を喰い尽すの? へーーー。
沸点が低いオレも、里の事になったら熱いのヨ? チョビット悪夢のオマケつき、写輪眼っっ!

「育ち盛りなのは分かるケド、弱い者から奪うのは木の葉の恥だーヨ?」
「あ。 カカシ先輩、それ誤解です。 この野菜のスペースを作ってたんですよ、彼ら。」
「は? どういうコト?!   ・・・・・ナルホド、お前ネ。 先に言いなさいヨ、そういうコトは。」
「やー 最初ボクも同じ事思ったんですよ。 だから同じだなー って思ってる間に先輩が・・・・」

「チョビット悪夢がハッピーエンドになるプラスアルファー 写輪眼セカンド! ・・・・ふぅ!」
「あの。 ・・・・・技名とかトラップ名とか、やたら長いのって、暗部の伝統ですか?」
「催眠術に技名なんてなーいヨ、アドリブに決まってるジャン。 ノリは大事でショ?」
「・・・・・そう言えば、カカシ先輩の親友のガイさんも、そんな感じですよね・・・」

ン? ガイ?? ま、アイツも馬鹿かなと思いきや超強いからネ、意外性を気に入ってる。 ・・・てか。
ナニ、なんなの? それじゃ、このイルカ君は善意のボランティア活動をしてるってコト??
んー そう言えば海野夫妻も、よく行方不明になってたなぁ・・・・ 強いからほっとかれてたケド。
生前の海野上忍夫妻のシビアさはよく知ってる、まさか子供の顔に言霊傷印を刻みつけるとは。

「・・・・じゃぁ、イルカ君の迷子癖は、親譲りって事ですか。 ヘー。」
「海野夫妻は、きっちり任務報酬もぎ取って来てたヨ? タダ働きはしない主義だ、って。」
「それはそれでなんだか・・・・ ただの押し売りの様な気が・・・・」
「四代目は、さすが海野だね! って感心してたし・・・ それもアリなんじゃない?」

海野夫妻が任務に行ったら、必ず5〜6枚の報告書を出してたしネ。 それだけ稼いでた、ってコトだヨ。
う〜ん このイルカ君があの海野夫妻のシビアさを受け継いでいれば、財源を確保出来てよかったかも。
下忍の任務報酬なんてたかが知れてるケド。 塵も積もれば山となる、だヨ。 実にもったいない。
・・・・・ま、食料だって立派な任務報酬には変わりないか。 ・・・・ン? そうだ、そうしよう!

「テンゾウ、このスリーマンセルに野菜を販売させよう!」
「はぁ?! いきなり何言ってんですか、カカシ先輩。」
「我ながらイイ案だーネ! 火影様に提案してみるヨ、オレ。」
「・・・・・部隊長のトラップをショボイとか言えませんね。」

今は少しでも財源を確保しなくちゃ。 小さな八百屋さん・・・ 実に可愛くて意外性があるじゃない!
しかし・・・ 帰巣本能の植え付けか・・・・。 息子にも容赦しないシビアさは、さすが海野夫妻だネ。
・・・・・チョット、テンゾウ。 冷蔵庫を勝手に開けてナニしてんの? 野菜は全部入れたでショ?

「いやボク、木の実系、好きなんですよ。 このサクランボ、ちょっと頂いて行こうかな、と。」
「あ、オレもナス貰って行こう、っと! かなりの手間だったもんネ? おー 美味そう。」
「・・・・・忍びの脚力を利用して移動販売すれば・・・・ 何気に儲かるかも、ですよ?」
「でショ? 移動販売の八百屋さんなら、ペーペーの下忍達にとっても安全な任務だしネ。」

多種多彩の野菜・果物を販売する、しかもとれたて新鮮ときた。 どうやっても儲かるでショ?
これでサ、少しでも里の財源が潤えば、暗部の予算が増えるかも。 下忍も死なないし、一石二鳥!
でも、このイルカ君・・・・ 面白いネ? オレ意外性あるヤツって大好き。 楽しいでショ?
オレに写輪眼をくれたオビトが気付かせてくれた。 クソ真面目もイイけど、人生楽しんで生きろ、って。

「木の実が好き・・・・ やっぱりテンゾウは木なんじゃないの?」
「だから!! いい加減、ボクを植物扱いするのはやめて下さい!」
「だって楽しいじゃない! 大きく育て、木遁小僧!」
「・・・・どうしてもボクを木にしたいんですね?」

ウンそう。 大きく育てて、行く行くは廓で触手プレイをさせる。 んで、廓で部隊長より上を行くの!
イイよネー 部隊長。 遊女の腰紐もらえるぐらい慕われてる、オレもそういう粋な立場になりたい!
“この紐を解いていいのは旦那だけよ?”なんて・・・・ 花街に出入りする男のロマンだーネ。
ま、それは置いといて。 近い将来テンゾウに触手プレイをさせるコトが、目下の楽しみなのヨ。

「そのうち、なんか生えてきて、花とか、実とかつければ・・・・ 売れるんじゃないの?」
「・・・・・そこまで財源が苦しいんですか、木の葉の里は・・・・」
「ネー? まじピンチだよネー?」

「先輩、めちゃめちゃモテるんだから、女の人に貢いでもらえばイイじゃないですか。」
「ん? ソレはもうやってるヨ? 一回デートしてあげて5000両。  ・・・・写輪眼で。」
「・・・・・・・瞳術ですか。 ってか、それって詐欺なんじゃ・・・・・??」

イイじゃないの、それも里の財源の為なんだから。 使えるモノは下忍だろうが暗部だろうが使うヨ?
それに詐欺じゃないヨ? 夢を売る商売だと言ってくれるかナ。 部隊長も了承済みだしネ?
てか、部隊長は実践で貢いで貰ってるヨ。 あのトラップも遊女の腰紐だし。 アー 時間喰い過ぎた。
花街の遊郭にいる部隊長の色、ルミさんの顔みそこねた・・・・ 仕方ない、また今度行こうネ?