あうんの門の狛犬 8
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ほふく前進するの? って体制で、茂みの中に待機していたイルカ君。 閉門と同時に姿を現した。
いつぞやの野菜をまき散らしていた尋問室の時の様に、額当てにさしていた小枝をまき散らしながら。
イルカ君はとっても親切そうで話しかけやすそうだけど、周りの事なんか全然気にしない、って感じ。
カカシ先・・・ じゃなくて部隊・・・・ いいですよねもう、カカシ先輩で。 馴染んじゃったし。
イルカ君、狛犬とか言ってましたが。 あうんの門に、都合の良い見張りがいると思ってるんですかね?
紐を引っ張ると自宅に転送してくれるとか、そんなような事を考えているんじゃ・・・ ないでしょうか。
しかも柏手をしっかり二回打って。 あれですかね、神社の狛犬の様なものが棲みついて居るとか。
あ・・・・・ やっぱり。 前部隊長がこしらえた貧乏ったらしいトラップの紐を引っ張ろうとしてる。
ボクが止めようとしたら、すでにカカシ先輩が先手を打って仕込針で眠らせてた。 さすが、先輩!
ほんの少しの麻酔薬が塗られた、これまたほんの小さい仕込針。 これも実は前部隊長の仕掛け。
カッコよく腕を振り上げると、飛び出す仕掛けなんだ。 もちろん針は消耗品、回収して仕込み直す。
腕のプロテクターにね、仕込まれてるんだ。 何に使うか? 主に戦場における食料の調達の為だよ。
暗部が送られる戦場は、まさに自給自足のサバイバル、自分の食料は自分で確保しなければならない。
で、移動がてら小動物を発見したら、道々に捕獲し、巻物の中にストックしておく。 これは基本。
一応食料にする為の小動物用麻酔だけど、ペーペーの下忍ならこれで十分。 二秒で楽しい夢の中。
イルカ君も、幸せそうにスヤスヤ爆睡中だ。 取り合えず・・・・ また家に置いてきます?
「おにぎりどうしましょうか。 もったいないですよね。」
「居もしない狛犬にくれたんだから、オレ達が貰ってもいいでショ。」
「ですね。 わ! 白ご飯だ、久しぶりですよ、ボク!!」
「イルカ君、食べ物には不自由してなさそうだもんネー。」
肉か野菜か正露丸か。 そのどれかでしたからね・・・・ あ、この前のサクランボ美味しかったー!
考えてみたらボク達って・・・ 里のエリートなのに、ハングリーな食生活してますね・・・・
“暗部は水鳥の遊泳でいーの、あと少しの辛抱でショ?”先輩にそう励まされながら、木遁を操る。
修行も兼ねて、イルカ君に姿勢矯正ギプスのような木材をつけた。 なかなかコントロールが難しい。
「木の葉の狛犬さん・・・ 里を見守ってくれて ありがと・・・・ へへ。」
「「!!!!!」」
イルカ君が言う木の葉の狛犬さんはボク達だったのか。 暗部は里のエリート、お礼なんて言われない。
何でも出来て当然、経費削減だって実践出来る。“ありがとう” か、寝ぼけた下忍のたかが寝言なのに。
木遁製姿勢矯正ギプスでカクカク歩かせていたイルカ君に、ボクの頭をボコボコと撫でさせてみた。
なんとなく羨ましそうにしているカカシ先輩の頭もついでに。 褒められちゃいましたよ、ボク達。
「イルカ君のサ・・・・ クソちっぽけな夢を・・・ わざわざ壊す必要もないよネ?」
「ええ、イルカ君達は大事な・・・ 木の葉カンパニーの客寄せパンダですから。」
「借りは返すのが暗部の掟。 おにぎりのお返しって・・・ ナニがいいかナ?」
「頑張ってボランティアしてもらうには、兵糧丸が一番いいんですけど・・・・。」
「財源が潤うまで・・・・ オレ達と同じで、正露丸でも置いとく?」
「・・・・まあ薬だし、体に悪いものじゃありませんからね。」
「おにぎりは2個だったから、2粒置いておこうネ。」
「ですね、ボク達暗部は、里の狛犬さんらしいですから。」
例え、命知らずの下忍が暗部にチョップをしている様に見えても。 ボク達はホッコリ、温かになった。
門前待機の辞令すら忘れる好奇心旺盛な下忍。 迷子癖があっても、帰巣本能もちゃんと身につけてる。
ボク達がこんなに手間をかけさせられても、なんだか憎めない・・・ イルカ君は不思議な少年ですね。
寝言でお礼を言われ、つい頭を無理やり撫でさせただけなのに。 すごく嬉しいのは何ででしょうね?
この前と同じく、爆睡しているイルカ君を布団につっこんで来たから、また夢だと思うはずだけど。
・・・・あのトラップ自体は、結構使えるんですよね。 本人曰く、もう下忍監督忍ですし?
念の為、イルカ君が触ったら三代目の屋敷に転送するように、前部隊長に改良してもらいましょうか。
毎回毎回三代目に怒られたら、さすがのイルカ君も狛犬に・・・ ボク達に会う事は諦めるでしょう。
「さっきの木材より、もっと細い植物を操れるようになろうネ?」
「・・・・・もっとチャクラコントロール出来ないと、無理ですってば!」
「ム! 努力して出来ないコトはない! ・・・バーイ マイトガイ。」
「なんだかんだ言って、仲良いですよね、先輩とガイさんって。」
「アイツもネ、意外性があって面白いのヨ。 イルカ君と同じ。」
「・・・・・・・果たしてガイさんに失礼なのか、イルカ君に悪いのか・・・・」
「ア、テンゾウもネ? 頼りないと思いきや木遁忍術だし!」
「それはどうも・・・ 一応、褒めてもらっているのでしょうか、ボク。」
「目指せ、モノホンの触手プレイ!! オビトー 待ってろヨー!!」
「聞いちゃいない・・・・・。」
・・・・ところで、オビトって誰ですか? ・・・・・・へ? その写輪眼の元の持ち主??
それじゃ、先輩が触手プレイにこだわっているのは。 カカシ先輩、今ボク猛烈に感動していますっ!
命の恩人への恩返しとは!! さすがは木の葉にこの人ありと言われている写輪眼のカカシですっ!
任せて下さい、ボクは必ず恥辱のツルを生やしますっ! 今は亡き触手マニアのオビトさんの為にも!!