あうんの門の狛犬 6   @AB CDF GHI JKL




翌日ボク達は、イルカ君がタダでもらって来た野菜を、下忍達に販売させてはどうかと進言した。
三代目と部隊長は、そこまで里の事を思ってくれているのかと、大げさに感動してくれて即決。
なぜか財源確保担当 臨時 下忍監査忍なるものに任命されて、下忍達の監督まで任されてしまった。
上忍師じゃないのに。 素直に喜べないのは、ていよくコキ使われている感じがしてならないからだ。

「お、時間通りに集合してるネー イルカ君達。 エライエライ!」
「・・・・カカシ先輩、下忍達を少し見習ってはどうです?」
「オレはイイのヨ。 部下の集中力を鍛える為に、ワザと、だから。」
「どうだか・・・ って、 ・・・・・ちょっと! やめて下さいよ!」

先輩が暗部のマントから取り出したのは小さいジョウロ。 ボクを育てる為に買ったとか何とか。
で、ボクの頭にチョロチョロと水をかけてくる。 そんなモンまで購入して、何がしたいんですか!
水かけたって大きくなりません! 花も実もつけないんです! 木じゃないって、言ったでしょう?!
はいはい、そうですね、小さいジョウロだけに水を張る水遁チャクラコントロールは凄いですよ!

「ほら、先輩がいらない事してるから、もう行っちゃったじゃないですか!」
「こんなに可愛がってやってるのに・・・・ シクシク・・・・」
「・・・・・・・廓に連れて行ってくれた事には感謝してます。」
「テンゾウ、いつか触手プレイが出来るぐらい、育ってネ?」

「・・・・・感謝は取り消します。 忘れて下さい。」
「なんでー?! イイじゃん、やろうよ、触手プレイ! 幻術だと限界があるモン!」
「・・・・・幻術ではもう実行済み、ってコトですか・・・・。」

こんな人でも部内でNO.2の実力者。 コピー忍者のカカシと言ったら他国では高賞金首だ。
これも部隊長補佐に可愛がられている証拠だと思えば・・・ ってか、触手プレイって・・・・
まだまだボクの知らない世界がたくさんあるらしい。 はたけカカシはやっぱりその道の先輩だ。
さ、イルカ君達を追いますよ? ボク達は一応、財源確保担当 臨時 下忍監査忍なんですから。








実際の所、どれぐらいの成果が得られるのか確認する為、今日一日コッソリと同行する事にした。
三代目の話によると、イルカ君をほおっておけば、勝手に向こうから仕事が来るらしい。
なので、イルカ君のいるスリーマンセルにはDランク任務を振らず、火の国の町々に派遣する。

散歩しておいで、っていうのも可哀想だから、町を巡回する・・・ っていう偽任務を与えた。
今までイルカ君一人でしていたお手伝い、三人ならもっと効率よくボランティア出来るでしょう?
よりたくさんのお仕事をこなせるし、三人なら単純に考えて、三倍のお礼の品が手に入るはずだ。
少々出遅れたが、ペーペーの下忍の足の速さは知れてる。 すぐに追いついた・・・・・ あれ?

「いらっしゃいませ、安いよー!」
「とれたて新鮮海の幸はいかがー!」
「今朝網から上がったところですー!」

早くも魚屋さん? なぜに?? 魚屋さんになった理由を見損ねた・・・ もう、先輩のせいですよ?!
・・・・・あ。 漁師のおじいちゃんが・・・・ 腕に怪我をしてる? ・・・・・なるほど!
魚をさばけずに困っていて・・・・ で、忍びに声をかけたのか。 代わりにさばいてくれないか、って。
さばくだけじゃなくて、呼込みもやってあげてるんだね? ははは、飛ぶように売れてますねー。

「イルカ君の親切そうオーラは、凄い効果ですね。」
「小さな魚屋さん・・・・ これもイイねぇ・・・・。」
「いっその事、ボク達が買い占めて、卸すのはどうです?」
「・・・!!! テンゾウッ!! ソレだ!!」

え。 ソレって、どれです? 下忍達に流通ルートを確保させる?! 木の葉卸しを興す?!
里内に・・・・・ 卸問屋を・・・・ これからの下忍にその運営を任せるっていうんですか?!
そこまで大規模に事業を興すなんて・・・・ 本当に財源確保の事を考えてたんですね・・・・
任命されたからには妥協はない? ・・・・・さすがです、カカシ先輩。 あくなき探究心ですね?

イルカ君達が、お魚を一杯もらって別れを告げていますよ? あ、ちゃんと忍術で冷やしてます。
これチャクラを上手くコントロールする鍛錬になる・・・ どんなことでも修行につながるんですね!
この後もイルカ君達の後をついて回った。 腰の曲がったお婆ちゃんに頼まれて枝豆を収穫したり、
飯屋のおばちゃんに呼ばれてお店のお手伝いをしたり、おじさんに裏山の竹の伐採を頼まれたり・・・・

ポヤポヤしている様に見えて、ちゃんと忍術をいかした働きをする。 これは確かに里のイメージアップ。
下忍の自給自足スタイル、食品流通カンパニーを興せば、里の財源・食料は確実に確保できますよ!
イルカ君達は客寄せパンダ、経理や交渉に適している下忍を集める。 暗部も本来の活動がっ!!

「ヨーシ、さっそく里に帰って、三代目と部隊長に報告するヨ!」
「はい! 部隊長のセコイ経費消費チェックともオサラバです!」
「予算削減10%なんて冗談じゃないっ! クナイを拾い直している時間がもったいない!!」
「ボク達を殺す気ですか! 錆びた得物じゃ、何度も突かないと駄目なんですよ!!」

はっ!! 今、ボクを育てて触手プレイを夢見るカカシ先輩と、激しく意見が一致した。
そうだ、結局先だつモノがあってこその安心なんだ! 暗部に十分な必要経費を戻しましょう!