あうんの門の狛犬 3
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九尾に里が襲われてから約一年か。 木の葉隠れは、他里のちょっかいを受けながらも復興してる。
全体的に忍びが不足してても、それを他国に悟られるワケにはいかない。 その為に影のオレ達がいる。
木の葉が弱っている、火の国を攻めるなら今だ、なんて。 そんな事を思わせちゃダメだから必死。
オレ達を舐めんじゃない、三代目も健在なんだ、そう思わせなくちゃならない。 実際はアップアップ。
上忍師は不足してて、毎日アカデミーを覗いては下忍試験を実施、骨のありそうな下忍を引き抜く。
そんな寄せ集めの下忍でスリーマンセルを組ませ、Dランクをこなしている様なアリサマ。
ま、A、Sランクはオレ達が出向いて、強行に終わらせて来るから問題ない、鬼ハードだけどネ。
上中忍でB、Cランクをこなして、暗部は木の葉の弱体化を悟られない為に、日々、水鳥の遊泳中。
“水鳥の遊泳”なんてコトワザはないヨ? これは三代目が掲げた、復興のスローガンなの。
優雅に水の上を浮んでいる様に見える水鳥は、水中でスゴイ速さで水かきを動かしているんだってサ。
だから三代目がそう言ったワケ。 “お主達はしばし水鳥になって浮んでもらうぞ?” ってネ。
表には決して見えないところで倍以上働け、それを内外の忍びに悟られてはならんぞ、そういうコト。
「カカシ、仕事だぞ。 またネズミがかかったようだ。」
「信じられないケド、アレに結構引っ掛かるヤツがいるんだよネ・・・」
「あははは。 人間の心理をくすぐる仕掛けだからなぁ、我ながら!」
「部隊長、ソレ何気に自慢してる? 安っぽい自作トラップを。」
当然予算もない。 木の葉史上、始まって以来の赤字か・・・・ そうまことしやかに囁かれている。
ハッキリ言って暗部が一番経費を使ってるのヨ。 得物、クナイ、アンダーの消費率が果てしなく高い。
暗殺戦術特殊部隊だもん、仕方ないよネ? なのにサ、部隊長が無茶なケチケチ要求を押しつけたの。
暗部の予算削減10%が目標だって。 本人が率先して作ったトラップは、なんとクタクタの紐。
「安っぽいとはなんだっ! あれは花街のルミさんの腰紐だぞ?!」
「遊女の腰紐のお下がりを再利用・・・・・ ココまで財源が圧迫してるのネ・・・・」
「泣き事を言わず、ネズミを尋問してこいっ! 実際、役に立ってるだろうがっ!」
「 ・・・・・・・・どう口説いたら腰紐なんてもらえるんだか。 」
「あ? なんか言ったか、補佐。」
「イーエ。 カカシ水鳥は遊泳して来マース。」
そのヨレヨレのトラップは、触れた者を尋問室へと瞬間移動させる。 部隊長が言う通り成果も上々。
夜間の見回り人員を温存、ようはその分しっかり休んで、また明日水鳥の足の様に高速で働けってコト。
三代目の結界術と上手く連動して発動する様になっている。 ・・・・見てくれはナンだけどネ。
さて、遊女の腰紐とは知らずに、ヘロヘロのトラップに引っ掛かった間抜けな侵入者を尋問して来よう。
「カカシ先輩! お疲れ様ですっ!」
「お前ネ。 ちゃんと補佐と呼べって言ったでショ。」
「だってボクにとって、先輩は先輩ですもん。」
「・・・・・・ま、イイけどネ。」
コイツはテンゾウ。 暗部に入りたてで右も左も分からずにオドオドしてた・・・・ と思ったら、
いきなり木遁忍術をかまして、周りをビビらせたフェイント野郎。 オレは意外性のあるヤツが好きだ。
チョメチョメと思いきやホニャララとか、え? そうなの?? マジで? みたいなヤツに弱い。
だからコイツも暗部内で可愛がっている。 オレが遊郭デビューさせてやったら、ナゼか先輩呼びに。
「アレ? お前、影番じゃないの今日。」
「はい、三代目がもう上がっていいって。」
「アー まぁ・・・ 24:00回ってるしネ。」
「そういう先輩は外門の見回りじゃ・・・・??」
そう。 ネズミが部隊長のトラップに引っ掛かったから尋問しに行くトコ。 あ、そうだ、お前も行く?
んで、終わったら一緒に廓に行こうヨ。 ルミさんっていう部隊長の色を拝みに行こうかな、って。
なんかサ、このトラップ、その遊女の腰紐を使ってるらしいヨ? ネー、やっぱ気になるでショ。
顔を拝もう、弱みを聞き出そう、とかテンゾウと遊郭に行く予定を立てながら、尋問室に入ったら。
「・・・・・・・ナゼに木の葉の・・・・下忍が??」
「・・・・・・・あっ! ひょっとして・・・・」
「ナニ、お前の知り合いなの?」
「いえ、知り合いというか・・・・・」
尋問室は暗黒空間風にしてある。 ソコがどこだか想像すら出来ない様に。 真っ暗で何にも見えない。
オレ達の声も、別の音声で聞こえるようにしてある。 ちなみに部隊長の趣味で、エコーつきだ。
だから相手は夢の中かなって思うらしく、結構ペラペラ喋ってくれる。 なかなか効率的でショ?
尋問の内容いかんでは、拷問室にご案内。 忍びと無関係なら眠らせて、門の前に返却するんだよネ。
部隊長に報告する? 額当てしてるし。 あー とりあえず・・・・ 写輪眼で眠らせるか。
テンゾウ、写輪眼覗かせるから、頭固定してくれる? 目はこじ開けてネ? ん、準備オッケー!
てか、なんでナス? トマトとトウモロコシ?? チョット、そこらじゅうに散乱してるんだケド?
もう、なんでこんなゴチャゴチャ持ってるワケ?! は? この下忍の習性?! なにソレ!
「木の葉の下忍ダネ? チョット気持ち悪くなるかもしれないケド。」
「ああ、でも気持ち悪くなるのは一瞬だからね。 頑張れ、迷子君。」
「写輪眼っっ!! ふー。 尋問室が野菜だらけだーネ。」
「この野菜、袋に詰めておきますね、迷子君のだから・・・・。」